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鉄道模型工学 牽引力か 引張力か?

 さるブログの記事に注目し、自分の記事の内容を振り返ってみたところ、疑問点や反省点を見つけた。今回は、鉄道模型工学と銘打って進めてきた記事の中で使用していた「牽引力」と言う用語について調べ直してみた。すると、鉄道用語のJISや専門書では「引張力」という用語が使用されていることに気が付いた。

 そこで、我が記事で使用している用語について、お詫びとともに読み替えをお願いいたします。今後はこの「引張力」を使用することにしますので、よろしくお願いいたします。

 

■ いきさつ

 いつも愛読しているブログ「Giants of the West」さんの「物理実験」という記事に注目している。この中で牽引力について説明されているが、いろいろな点で懸念を持ってしまったのである。例えば、

   牽引力と言っても、どの部位の力を指しているのだろうか? 動輪の駆動力なのか、カプラー部の力なのか。

 そこで、関係する情報をネットでいろいろ調べている時に重大な事に気が付きました。なんと「牽引力」では無くて「引張力」と言う用語を使用している記事を多く見かけたことでした。

 

■ 使用されている用語

 そこで、「日本工業規格 JIS の 鉄道車両-用語」を見てみると、アー!と叫んでしまった。そうです、JISでは「引張力」が正式な用語なのです。

   日本工業規格 JIS E 4001:2011 鉄道車両-用語 −−−−−(注) 「日本工業規格」は、2019年7月1日以降「日本産業規格」に名称が変更されました。

 さらに、自分の手持ちの書籍を当たってみたら、やはりすでに使用されていました。見落としていました・・・・・・・・・。

 と言うことは、自分のホームページ「鉄道模型工作実験室」の関係する記事が全滅なのです。自信をもって記述した「鉄道模型工学」の記事も、使用している用語はもう古い用語なのです。工学社さんからは書籍も発行してしまっているのだ。赤面の至りである。

 

■ 関連用語の検索

 ちなみに、鉄道総合技術研究所の用語辞典で検索した結果を下に示します。「牽引力」では検索結果はゼロでした・・・・・・・・。

 次に、「引張力」で検索すると、動輪周引張力とか、引張棒引張力とか、粘着引張力とかの用語が示されていました。

 さらに、引張棒引張力[動力車の]の意味を開くと、

 そして、参考項目に「けん引力」があったのでクリックすると、

 なんと、けん引力についての記述もあったのだ。これってどうなっているの? そうか、漢字でなくてひらかなで表記するのだ。さらに連結部に伝わる力を指すのである(エー?)。 自分としては混乱してしまったので、この用語辞典のサイトをあくまで参考資料とすることにした。

 また、あの有名な国際鉄道模型コンベンションでも「牽引力コンテスト」と言って古い用語を使用しているのだ。彼らは 日本工業規格 JIS なんて知らないようす。このような場合には、JISには拘束力が無いので、使い慣れた用語を使用すればよいようです。

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 ちなみに古い資料からも取り出してみました。関係する部分だけを切り貼りしたものです。これは、国立国会図書館デジタルコレクションにあった「初等蒸気機関車」 昭和13年 交友社発行の書籍の197頁の部分です。

 昔はこちらの用語を使用したようですね。

 

■ JISからの抜粋

 参考として、日本工業規格 JIS E 4001:2011 鉄道車両-用語 から抜粋し、転記しました。

13015:引張特性

   動力車の速度と引張力との関係を表す特性。

13018:粘着

   列車を加減速するために必要な引張力及びブレーキ力の伝達を可能にする車輪踏面とレール面との間の摩擦現象の総称

13019:粘着力

   粘着によって伝達される引張力又はブレーキ力。

13021:(動輪周)引張力

   機関車,電車など動力車の有効な引張性能を示す数値で,主電動機又はディーゼル機関から動輪を経てレールに与えられる車輪の円周方向の力。

13022:引張棒引張力

   動力車の連結器のところで出す引張力。すなわち,(動輪周)引張力から動力車自身が動くのに必要な引張力を減じた力。

     (注)用語の一部に丸括弧を付けてあるものは、紛らわしくない場合には,括弧内の部分を省略してもよい。

     (注) 「日本工業規格」は、2019年7月1日以降「日本産業規格」に名称が変更されました。読み替えて下さいとのことです。

 

■ まとめ

 結論として、今後は「引張力」を使用することにし、すでに報告済みのホームページの用語は修正しない事にします。また、当初の懸念事項であったどの部位の力を示すかについても、勝手に解釈されないように区別して表現することにします。

 お詫びして訂正しますので、よろしくお願い致します。