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鉄道模型実験室  超音波距離センサーを使って発進特性を測定

■ はじめに

 超音波距離センサーを使って発進特性を測定してみることにした。 特にフライホイールの有り無しによって、速度特性とした曲線のパターンがどの様に異なるのか、あるいはその差を判断できるのかに注目して、いろいろな電気機関車を測定してみることにする。 

 

■ 実験結果

 使用した車両は、新旧取り混ぜて下記の5種類のEL を「超音波式の距離センサーを使う」で述べたデータ処理で実施した。 また、同一車両を3回ずつ測定してデータのバラツキ具合も観察する。

◆ ED17-2号機

 この車両は、MICRO ACE 製で品番がA2902、品名国鉄ED17-2 4段通風器 、発売が2010年製の新品である。  フライホイール無し。

◆ EF65-505号機

 この車両は、KATO製で品番が302、品名EF65 、発売が1970年製の中古品である。  動力部の構造は上下分割型のモデルで、フライホイール無し。

◆ EF70-27号機

 この車両は、KATO製で品番が301、品名EF70 、発売が1979年製の中古品である。  動力部の構造は左右分割型のモデルで、 フライホイール無し。

◆ EF81-119号機

 この車両は、KATO製で品番が3010-1 、品名EF81 一般色 、発売が1989年製の中古品である。  動力部の構造はフライホイール付の新シリーズ第1弾となったモデルである。

◆ EF510-510号機

 この車両は、KATO製で品番が3065-2 、品名はEF510 500 カシオペア色 、発売が2010年製の新品である。  動力部の構造はフライホイール付で新サスペンションを採用したモデルである。  消費電力が少なく、「パワーが向上した」新ユニットを採用している。

■ 考察

 グラフをいっぱい掲載したが、見ていてもよく判らない! この様な時は一覧表にして全体を眺めて見るのが得策である。 左側のグラフを一覧表にまとめてみた。

         ⇒  グラフの一覧図 (PDFファイル)

 この一覧図より、次のような事が言えるであろう。

  1. どの車両も速度のデータは大きくバラツイテいるが、推定速度の近似曲線はそれぞれ異なったパターンを示している
  2. その速度特性を示すパターンは、確かに車両毎に違っている。
  3. しかし同じ車両では、同じ様なパターンを示している。
  4. フライホイールの無い車両は確かに早く収束している。
  5. フライホイールの有る車両は立ち上がり時の電流が大きく山を作っている。

 即ち、今回実施した解析方法を用いると、スタートからの加速における速度パターンを、なんとか知ることが可能であると判断される。 精度の良い安価な速度計が見つからない状態では、これが最良の道具と考える事にしよう。

 また、立上り時間は、どれも0.1〜0.2秒程度で殆んど差が無いようである。 バラツキの方が大きいのでモデル毎の特徴を判別出来ない様である。

 

 尚、幾つかの改良点として、

 実際の車両の測定を開始する前に、もう一つの課題である停止時の測定を検討している。 停止時にはフライホールの影響で発電ブレーキが作用するはずである。 このモータによる発電作用によって電流は架線、否、鉄道模型では線路に戻すように働くので、電流が逆流するはずである。 さて、その逆流する電流をどうやって測定するのか?

 次回は、この逆流電流を如何に測定するか、苦心惨憺した結果を報告しよう。