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鉄道模型実験室  SLのモータ回転数を測定しよう その5  C57-180号機の測定

■ はじめに

 いよいよ実際に車両を走らせて測定しても大丈夫であると言う確信が持てたので、C57-180号機を使って性能測定を実施した。

 

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■ C57-180号機のセンサ出力の確認

 モータのロータに塗り付けたペイントをこすり取り、回転に支障が無いように拭き取った。 そして、カップリング部に紙テープを巻き付けて、白黒のマークを付けた。 今度は、一回転あたり2回の信号が出るようにした。 下左の写真である。 そして、C57-180号機に取り付けて、発信状態の確認のため下右の写真のようにベンチテストを実施した。

 その時の、オシロ画面を下に示す。 モータ回転センサの出力を CH2 に(ゲイン1:1)接続し、サテライトユニットのカウンタ入力を CH1 に(ゲイン1:2)に接続した。 下左はモータ供給電圧が 7.0 ボルトの高速回転状態で、下右は 3.0 ボルトのゆっくりとした回転の状態である。

 サテライトユニットのパルス状態を示す赤色や橙色のLEDは小気味良く点滅していた。 オシロ画面からも、均等なパルス状態が確認出来る。 何よりも高速回転でも綺麗に応答しているのが嬉しいですね。 パルスの山から計算するとモータは、15,750rpm で回転していると計算された。 大成功である!

 

■ 測定台での性能測定

 ベンチにてパルスの発生状態が正常であることが確認出来たので、いよいよ測定台にて測定する事にした。 測定車の車列は下の写真の状態である。

 最初に、重り車両を取り外し、平坦路無負荷の状態 (無負荷といっても測定車の走行抵抗が 1.24 グラムある。 ) で速度特性を測定した。

 今回は電流値の異常もなく、正常に測定出来ている。 tp/tt のグラフは、速度測定ゲートを通過する時間 tt と、モータの規定回転数をカウント完了する時間 tp の比率を示すもので、既定の時間内にカウント完了している事を示している。

 次に、重り車両を連結して牽引力特性を測定した。

 2013年7月9日に実施した測定値と比較すると、ほぼ合っているものと判断される。 牽引力が少し落ちているようであるが、トラクションゴムが経たっているのでは?などと勝手に都合よく解釈している。 なお、以前の測定値はマイコレクションのC57-180号機のページに記載している。

 また、動輪の直径はφ12.0mm と測定されているが、今回のスリップ率の測定値からみて、φ11.7mm と少し修正している。 このことも、トラクションゴムが経たっているのではと推定する理由である。

 とはいっても実際は? と思って動輪を外し、ノギスで測定してみた。 測定結果は、11.85〜11.9 mm であった。 トラクション以外の動輪も同じ値であった。 車輪は少しテーパーになっているし、根元でRが付いているので厳密には測定できないのである。 0.1mm の誤差は、0.1/11.9 = 0.8%の誤差である。 従って、数%の違いは誤差の内として、ホビーの世界では神経質にならない事にしよう。

 スリップ率のパターンは電気機関車の場合と傾向は同じと判断した。 しかし、摩擦係数としてグラフ化すると、0.2以下でやや小さいようである。 また、tp/tt のグラフから、制動領域になると車輪の前方えのスベリがだんだん大きくなって、tp/tt = 1.0 に近づき、ついには速度測定用のゲートの範囲内では、回転数カウントが完了しない事になり、プログラム上測定不可能な領域に入ってしまうのである。 なんとか工夫はないか、以前から考えているのであるが、良案が見つかっていない。

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<計算間違いのお詫び>
  摩擦係数のグラフについて、どうも変だなと思いつつ、電気機関車の場合と同様な計算式で計算していた。 しかし、蒸気機関車の場合はテンダー車を連結している事にハタと気が付き、摩擦係数の計算には、このテンダー車の重量を差し引いて計算しなけらならない事に気が付いたのである。
  摩擦係数の計算には、牽引力を動輪に掛る軸重で割って計算するのであるが、厳密には先輪や従輪で逃げる荷重も差し引かねばならない。 しかし、その測定については意外と難しいので無視する事にしている。 これらの軸重を測定する場合、測定値が測定のたびに異なってくるのである。 他の車輪と線路上で水平を保ちながら荷重を測るので、それらしき専用の道具を工夫する必要があるのである。 その道具作りに一度は失敗しているのである。 問題はグラム単位で測定出来るコンパクトな秤、あるいは荷重計が無いのである。
  でも、SLの場合はテンダー車は別体にして測定する場良いし、結構な重量があるので無視できないのである。 このテンダー車の重さを差し引いて再計算した時のグラフを右に示す。
  動輪にはトラクションタイヤを履いている車輪と、履いていない車輪が混在するので、その違いは判別出来ない。 ここでは、複合された場合として表示している。 厳密に調査するには、全て同じタイヤに組変えて測定する必要があるが、ここでも各動輪の軸荷重を把握しておく必要があるので、なかなか難しいテーマと思われる。 イコライザーもないことだし。
  (  2015/9/6  追記  )

 また、電圧降下量を見てみると、牽引力、電圧、電流、車速には影響されずに殆ど一定である。 これは電気機関車の場合とは異なっており、今後注目すべき点と考えている。

 

■ まとめ

 やっと、当初の目的を達成する事が出来た。 お粗末なミスにより、色々遠回りさせられたが、その分はしっかりと勉強させて頂きました。 これがホビーの楽しさだったかも知れません。 SLの模型にはいろいろな構造のモデルがあるため、今回のように旨く測定出来るかどうかは分からないが、手持ちの車両を使ってさらに測定を実施して行くつもりである。