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鉄道模型実験室  新しい測定車を作る その1

■ はじめに

 またまた「改善の虫」が動き出しました。 先回のSL測定時に、測定対象の車両と測定車を結ぶセンサー回路の配線が邪魔して、曲線走行時に度々脱線することがあった。 そこで、このセンサー回路の連結部の改善を考えることにした。 また、回路的には機能するものが確立出来たので、全体をもう少しコンパクトにするアイディアも検討すつことにした。

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■ 新しい測定車の構想

 何時ものように漫画チックな絵を描いて、あれこれアイディアを巡らせた。 重心の位置も下げたかったので単4の乾電池を車体の中央下部に持ってきて、前後の台車を設置してこれを全長とした。 センサー回路の連結部は、首振り可能か構造にして曲線走行時の拘束を緩和する案にした。 一番の問題は無線通信端末のXBee ユニットの置き方であった。 アンテナ部分の高さを低くするために傾斜させて取り付けることにした。 これらのアイディアを図にしてラフな設計図としたのが右の図である。

 処理回路は、センサーと測定ユニット間に挿入した増幅回路を基板内に取込み、チップ部品を使用する事を前提にして、回路の簡素化を実施した。 特にNAND回路は、発信回路と信号合成回路の2ヶのみで構成するようにした。

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 その回路図を左に示す。 表面実装部品を使うからには回路基板は、エッチング処理したスマートな基板としたいが、その技術も道具も無いので、何か便利な基板は無いかと探っていたら、ワイヤード・ユニバーサル基板を見つけた。

 これは格子状の配線パターンが既に設置されているため、その部分をカットして必要な回路を構成する事を狙ったものである。 回路構成とサイズを検討しながら最適なサイズを探したが、秋月電子の十字配線ユニバーサル基板Dタイプ(47×36mm)を見つけた。

 チップ抵抗は既に照明用に使用しているので、足りない仕様の物を取り寄せることにした。 また、トランジスタとNAND始めてなので、なるべくサイズの大きなものを選定し、取り寄せることにした。

 

 今回は実体配線図をパソコン上で書いてみた。 5本足のNANDの中間の足は、パターの中間に来るので、足を上にのばして空中配線とする。 また3本足のトランジスタは位置をねじって取り付けることにした。

■ 工作開始

 まず、車両の車体を作成した。 構想図では3mm のプラバンを使う予定であったが、強度的には2mm でも充分そうであったのでこれを使用している。 台車のピポットや基板の取り付けは、M2mm のネジを使用した。 また乾電池基板との接続は、0.1mm の銅板を車体に貼りつけて取り付けネジで押さえるようにした。

 次にセンサー部と接続する回転式のコネクタ取り付け部を作る。 回転部は基板のφ3mm の穴を活用して工作した。 外径がφ3mm のアルミパイプを切り出してカラーとし、M2mm のネジとワッシャーを使って固定した。 ふたつの基板の間に1mm 厚さのプラバンをはさんで、基板同志が直接擦れないようにした。

 十字配線基板の工作は、配線パターンし検討した実体配線図を見ながらマジックで印を付け、十字配線部の切断を行った。 右上の写真。 切断はルータを使って実施した。 その後、いよいよ部品のハンダ付けを開始した。 部品をハンダ付けした状態を下に示す。 トランジスタチップは、ハンダ付けのために少し傾けて、足の位置を調整した。

 この基板を車体に取り付けた状態を下に示す。 

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 先のモデルと比較した状態を右に示す。 基板としての大きさはほとんど変わっていませんね。 でも 乗っかている部品はすっきりとしています。

 この状態で発振回路などの機能チェックを実施することにした。 

 

■ 機能チェックの実施

 まず、以前工夫した小道具を持ち出して発振周波数の確認を実施しました。

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 ところが、何故か周波数の測定が出来ませんでした。

 もしや道具が悪いのかと思って、先のモデルの周波数を測ってみると、異常はありませんでした。 左の写真のように 37.99KHz と表示される。

 そこで、発振波形を見るためにオシロを準備して観察した。 発振チェック端子をCH1 に、赤外線LED信号端子をCH2 に接続した時の状態を下に示す。

 最初は、形は崩れているもののなんとか矩形波を発振しているようですが、時間が経ってくると右の画面のように、下側の電圧がだんだん上昇してきて、最後には発振が止まってしまいました。 その時間はおよそ 20 秒程でした。 リセットを何度かするものの、状況は同じでした。 どこかに電気が貯まって来るようですが、自分の技術と知識ではその原因を探求することが出来ませんでした。

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 この様な波形であるために、周波数を計測出来なかったと判断した。

 

■ チップ部品を諦める

 配線図が拙いのか、あるいは工作が不良なのかは判断出来ないので、さっさと諦める事にした。 実績の無いチップ部品を止めて NAND IC と3本足のトランジスタを使うことにした。

 その回路図を右に示す。 そして実体配線図を下に示す。 少しゴチャゴチャしているが同じ基板の上に納める事が出来た。 抵抗はチップ部品を使って回路のコンパクト化を維持するようにしている。 なお、10KΩのプルダウン抵抗は、実験の途中で追加したものである。

 

 基板右側に電源部と水晶発振回路はそのままにして、チップ部品をはぎ取った。 さらに新しい回路の邪魔になる十字配線部も削ったが、もう、十字配線の有難さはなかったのである。 綺麗に掃除した状態を下に示す。

 新しく NAND IC やトランジスタを取り付けた状態を下に示す。

 車体に取り付けた状態を下に示す。

 出来あがったので発振周波数を測定してみた。 結果は下左の写真の様にバッチリと 37.99KHz で発振している事が確認出来た。 そして、下右の写真のようにオシロでも波形を確認した。

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 その時のオシロ画面を右に示す。 綺麗な矩形波で発振していることが分かる。 

 ワン・サイクルがおよそ25μsec であるので、約40KHz で発振している波形であることが確認出来る。

 

■ 配線と機能確認

 測定ユニットの基本部分の機能が確認できたので、センサとXBee ユニットとの配線を実施した。 センサ部はフォトリフレクタとチップ抵抗のみなので、小さく仕上げた。 また、配線も自由度を持たせるためにやや長めに作ったが、すこし長過ぎた様であった。 XBee ユニットとはコネクタを廃止して固定配線とする。 車体に取り付けた状態を下右の写真に示す。

 センサ部は、KATO のC57-195 号機の取り付けた。 品番が2023のC574次形である。 この機種はふたつのフライホイールを持っているが、モータ側のフライホイールに白黒のペイントを施し、フォトリフレクタの反射マークとした。 1回転で2サイクルのパルスを出すようにしている。 取り付け状態を下左の写真に示す。

 前回と同様に、この状態にてベンチにてパルスの発信状態を確認した。 その時の記録を忘れていたので紹介出来ないが、結果はNG であった。

 モータの信号パルス (トランジスタ増幅後の信号、即ち、実体配線図のモータパルスチェック端子で測定) が、2ボルト弱のあたりで少し凸凹する程度で、パルス信号になっていなかった。 LOW 状態が下がりきらないのである。 モータの回転数を上げるとそれに従って早くなるので、モータパルスを拾っている事は確かである。

 原因はすぐに理解出来た。 フォトリフレクタ内蔵のトランジスタがOFFの時、即ちOUT信号がLOW の時に、増幅用トランジスタのベース電極に接続しているだけなのでゼロ電圧まで下がり切らないのである。 そこで、プルダウン用の抵抗 10KΩを追加加工して、再度実験を行った。

 その時のオシロ画面を下に示す。 左右の画面は、モータの回転数を変えた場合を示している。 LOW側の電圧がゼロ近くまで落ちており、回転パルスとしても矩形波に近いので、取りあえず合格としておこう。 後は、赤外線通信を受光するサテライト・ユニットとの通信具合をチェックすることにする。

 ダーリントン接続だとばかりに、形だけ真似したのが良くなかったようである。 もっとトランジスタの勉強が必要であり、回路の計算が出来るようにならないと失敗ばかりする羽目になりそうであるが、今更勉強出来るような柔らかい頭脳は持ち合わせていなし・・・・・・・・・・。 解説書を読んでもこ難しい事は頭に入らないのである。 トホホホ・・・・・・・・・・・。

 次回は、この測定車を使って測定台でチェックすることにする。