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鉄道模型実験室  自動運転システムのセンサー

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■ TCSワンタッチ装着センサーの検討

 自動運転システムに使用するセンサーとして、既成品であるTOMIX のTCSワンタッチ装着センサーを検討した。 まず、3本ある信号線の使い方を知る必要があるので分解して処理回路を見てみることにした。

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 部品に隠れた回路も含めて追って行き、回路構成をメモして行った。 222 と記された小さなチップ部品は 2.2KΩの抵抗と直ぐに解ったが、黒い二つのボックスはフォトカプラーらしいと睨んで、ボックスの上に記された「738」の数字を頼りにネットで調べてみた。 しかしヒットする情報は無かったが、似たような番号の部品はフォトカプラーとして存在していた。 もう生産中止になってしまった部品か、あるいは特注品かもしれない。

 とにかく、この情報をもとに回路図にしたものを右に示す。 ただし、フォトカプラーの仕様が不明なためダイオードやトランジスタの方向は不明であったので、当初は図とは逆の接続と判断していた。 

 即ち、3本の信号線の中央の線を電源線と判断して、+5ボルトを供給し、両側の信号線から出る信号によって、二つのLEDが点灯する回路をブレッドボード上に構成して実験してみた。 下の写真参照。

  ・・・・・・・・・・・・ ところがLEDは全く点灯しなかった。

 供給電圧が5ボルト以上ではないのかとも考えたが、もしかして負論理での構成ではないかと気が付き、極性を反対にしてみた。 即ち、中央の線をGNDにし、両側に+5ボルトをかけて、LEDを点灯させるようにした。

 すると、結果は見事に正解であった。 車両が通過するたびに、一方のLEDが消灯し、反対方向に進行させると、反対側のLEDが消えるのである。 こうして右の様な回路であると結論した。

 しかし、車両による走行チェックをしていると、LEDが消灯しない場合が度々発生したのである。 車輪と接するセンサー先端部分を磨いたり、曲げ具合を調整したが、意外と微妙であった。 今回のシステムの場合、自動測定中での作動不良は影響が大きく、不安のある要素は避けるのが賢明と判断して、このセンサーの採用を保留することにした。

 

■ Cdsセンサーの検討

 次に検討したのは、速度測定用のゲートに使用した LEDとフォトIC の使用を検討したが、線路周りの工作が面倒であったので、自動列車停止システムで採用したCdsを使用してみることにした。 今回の場合は、少し明るい室内で測定作業を実施するので、部屋の明るさは充分であると考え、Cdsサンサー単独で使用してみることにした。

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 Cdsセルは、Linkman 製のGL4516 で、外径がφ4.1 の物である。 「光センサーを使った通過センサーを作る」 で使用した残り部品である。 その仕様は、明抵抗が 5KΩ〜10KΩ(10Lux時)、暗抵抗が0.6MΩ、応答時間が30msecである。 線路にはφ5mm の穴をあけ、横からの光をなるべく遮るように厚手の紙で筒を作り、その奥にCdsセルをはめ込んだ。 上左の写真。

 テスト状態を上右に示す。 今回もブレッドボードを使ってテストを実施したが、問題無く作動した。 その時の回路は、右に示す「パターン 1」の構成であった。

 スタンバイ状態でLEDは点灯し、車両通過時は消灯する。 また、半固定抵抗を調節してそのON/OFFのしきい値を調整可能にしている。

 ・・・・・・・・・・ところがこれは失敗例であったのである。

 後から ( システムでのテスト中に ) 判明したのであるが、OUT信号をArduino が正確に受け付けてくれなかったのである。  この通過信号は、デジタル入力として設定しているので、HIGH レベルは3ボルト以上、LOW レベルでは2ボルト以下になるように設定しておく必要があったのである。 そうでないと、正確に HIGH / LOW を判断してくれないのである。

 LEDの通電開始電圧が2ボルト以上あるので、LOW レベルが充分に下がってくれないのが原因と考えている。 LEDの使用を中止すればOKであろうが、LEDの点灯とOUT信号の両立を何とか出来ないだろうかと素人考えで構成したのが右に示す他のパターンである。

 各パターンでのOUTポートの電圧を測定した結果、パターン4にて充分な HIGH / LOW レベルの電圧を出力することを確認した。 ただし、スタンバイ時は、LEDは点灯するもOUT出力はLOWレベルとなり、通過時にはLEDは消灯し、OUT出力はHIGHレベルの正論理となっている。

 信号系を正論理で構成した場合には、ノイズに対して弱くなると認識しているのでベストな方法ではないが、Cdsセルとその処理回路を分離して長い導線で結び、処理回路をコントロール部内部に収めることで、信号線へのノイズの侵入を少しでも減らす工夫を実施することにする。 Cdsセルとその処理回路の間は、スタンバイ時に電流が流れ、信号発信時には電流がゼロに近くなる負論理を構成しているので、この信号線上のノイズ侵入は防止できると考えているからである。 また、その間の導線抵抗はCdsセルの抵抗と比べて充分に低いため、長い導線でも影響が少ないであろうと楽観視している。 また、導線は3本でなくて2本で済むというのもメリットかも。

 そこで、当面はこのパターン4の回路で構成することにし、不具合があれば、LEDの無いパターン1を採用することにしよう。

 

 次回は、システムを構成するセンサーなどの要素と、処理回路、制御ソフトなどの検討結果を順次報告して行こう。