HOME >> 鉄道模型実験室 > ポイントの切替駆動の制御方法

鉄道模型実験室  ポイントの切替駆動の制御方法

   .

■ TOMIXの電動駆動ポイントの制御方法

● TOMIXの電動駆動ポイントの作動電圧について

 最初に、作動電圧の調査を実施した。 方法は、TOMIXのポイントコントロールボックスN-W (品番 5532 )を使用し、電源として安定化電源を電源として電圧を調整し、ポイントを切り替えることが出来るかどうか実験してみた。 実験は見事に失敗した。 12ボルトに上げても作動しなかった。 理由は安定化電源の安全装置が作動しているようであった。

 そこで、12ボルトのACアダプタを持ち出して実験すると作動は正常であった。 9ボルトのACアダプタの場合も正常に作動した。 さすがに5ボルトでは反応してくれなかった。 取りあえず9ボルト電源でも作動出来ることを確認したので、この電圧に設定することにする。

● 駆動方法の検討

 自動運転システムに使用するポイント制御方法として、ネットでの事例を調査した結果、スイッチとコンデンサを使用する方式とモータドライバIC を使用方法が紹介されていた。 スイッチとコンデンサを使用する方式では、スイッチを手動で操作して切り替える方法であったので、今回のシステムのようにAruduino で制御するには容易ではない。 そこで、モータドライバIC を使用する方法を紹介している拓啓ぽんさんの方法を参考にさせてもらい、DCモータ用フルブリッジドライバ TA8458K 2個を注文した。

  .

 モータドライバIC にはいろいろな種類があるが、ロジック用電源と出力用電源を共通に用いているTA8458K を選択している事には納得した。 この東芝製TA8458K の仕様は、動作電圧 7V〜27V、出力電流1.5A(AVE)、3.0A (PEAK) であうる。

 入手した部品を使ってブレッドバード上に回路を作りテストしてみた。 テスト用の回路を下に示す。

 10KΩの抵抗は、インプットポートをGNDにするために挿入している。 ドライバ用の電源はArduino の電源を利用することを考えて、DC 9volt とした。 入力信号のスイッチは、+5ボルトに接続したリード線 (右の写真の橙色のリード線) を10KΩ抵抗の足に、チョンと接触させる事で入力している。 長時間通電はコイルの焼損の恐れがあるとのネットでのアドバイスを実行しているのである。

 TOMIX製のいろいろなポイントを持ち出して、テストしてみた。 さらに2個同時に作動させてみた。 その結果、多くの場は作動していたが、

   ・・・・・・・・・・ ダンマリのポイントがあったり、片方向しか作動しないポイントもあった ・・・・・・・・。

 不作動のポイントをTOMIXの品番 5532 ポイントコントロールボックスN-W を使用して駆動させると、この方法では問題なく作動した。

● 不作動の原因調査

 不作動のポイントについて、駆動電源をDC 9volt から DC 12volt のアップさせたが改善しなかった。 また、単独で作動させても不作動であったので、ポイント本体や、ソレノイド部(正式にはポイントN用駆動ユニット 品番:0107 と呼ばれているもの)をいろいろ取り換えてテストした。

 その結果、ポイント本体側に原因があると判断したが、品番 5532 を使っての駆動では確実に作動するので、切替時の瞬間的な電気パワーが関係するのではないかと想定する。 モータドライバIC での立ち上りパワーと、スナップの利いた品番 5532 のパワーの違いが、少し抵抗のあるポイント本体の動作に影響しているのではないかと思っている。 また、モータドライバICでは、その制御素子の関係で数ボルトの電圧降下があると説明されているので、その影響かもしれない。

● 作動時の電圧波形の観察

 それならば作動時の電圧波形を観察すれば、違いを観察できるのではないかと睨んで、例の簡易オシロで電圧波形を観察してみた。 しかし、これも失敗であった。 瞬間的な反応のために、簡易オシロの応答が付いていけないのである。 トリガの設定をするも上手くいかなかった。 このような速い反応を観察するにはそれなりの高度な測定機器が必要であると諦めることにした。

● 結論

 取りあえずは、駆動電圧を12ボルトとし、ポイントのダブル使用でも作動する個体を選別して、テスト用レイアウトを構成することにする。

 

  .

■ コンデンサ方式の駆動

 モータドライバIC での立上りパワー(急激な電圧あるいは電流の立ち上りの様なもの? と勝手に定義している)・・・・・では力不足とするならば、コンデンサ方式によるショートする様なパワーを期待して、コンデンサを使った駆動方法を実験してみた。 右の写真。

 テスト回路は、コンデンサを並列に並べて、リード線をスイッチ代わりにした簡単な回路である。 手持ちのコンデンサは、470μFが最大であったので何個かを並列に接続している。 先ほどの不作動ポイントを用いてテストした結果を下に示す。

テスト順番 電源 コンデンサ ポイント作動状態
9 volt 470μF×4個 片方向のみ作動
12 volt 470μF×4個 両方向作動OK
12 volt 470μF×3個 不確実
12 volt 470μF×2個 作動せず

 やはり、立上りパワー(?)が影響していると判断される。 また、「立上りパワー」と言う表現よりも、ポイント駆動装置の「切れ味」と言う表現でも良さそうである。

 

■ TOMIXのパワーユニット N-401のポイント駆動メカニズム

 ここで、脇道にそれてみよう。 ポイント駆動方式をどうするか迷っている時に、目に入ったのがいつも使っている「パワーユニット N-401」なのである。 このユニットはポイント切替スイッチを内蔵しているので、パワーユニットの側面に取り付けるポイントコントロールボックスとは違った方法で実施しているはずと睨んだのである。

 そこで、禁断のユニット分解を実施した。 その時の写真を下に示す。

 ユニットの内部には、大きなコンデンサが3個も並んでいた。 そして、側面には大きなアルミ製の放熱板が設置されていた。 基盤の表と裏を眺めながら、回路に落とし込んだものを、右上に示す。 回路を追いながら記録したものなので、正確さは保証しませんのであしからず。

 3端子レギュレータはDC12ボルトを作るためのものと読み取れたので、その上流の電圧を測定してみたら、18.5ボルトもあった。 ポイント切替は、2200μFのコンデンサとこの電圧を使って駆動しているのである。 フムフム・・・・・・やはり充分な立上りパワー(?)がありそうである。

 ********* またまた、脇道にそれる ******************

 このポイント駆動回路には200オームの抵抗が挿入されているが、何故なのだろうか? ポイントを接続していない時に切替スイッチをガチャガチャいじるとコンデンサの片側に電荷がたまってしまい、もしかしてショートは発生する? ・・・・・・・・・・ のを防止している? ・・・・・・・・・。

 また、3端子レギュレータの端子にはダイオードらしき部品が接続されていたが、このような使い方があるのだろうか・・・・・・・?

 さらに理解できなかったのは、DCフィーダー回路を制御しているトランジスタ回路である。 このパワーユニットは電圧制御ではなくて、電流制御なのだろうか?

 自分の先入観として、鉄道模型のパワーユニットは、ある調整された一定の電圧を供給して、動力車のモータの回転数を制御しているものと考えていた。 昔はスライダックスの様なもので、供給電圧を変化させて速度制御していたと聞いていたことも、この先入観を作っていたのである。 この回路をみると、どうしても電圧制御しているようにはみえないである。 動力車の性能測定には、安定化電源を使うなど、供給電圧を一定することに気を使ってきた自分にとっては、驚きの事象なのである。

 あくまでおもちゃの範疇なので、速くしたり、遅くしたり、と変更出来れば商品として成り立つものなので、驚くことはないのである・・・・・・と自分には言い聞かせている。

********************************************

 .

 とは言っても納得しない場合には実験してみることにしている。 そこで右の様な簡単な実験回路を組んで測定してみた。 パワーユニットの負荷として、以前使用した1Wの12Ωと5Wの50Ωを持ち出して、いろいろな抵抗値になるように配列して、その時の出力電圧と電流を測定した。 ダイヤルは3目盛り相当と、5目盛り、7目盛りの三つの位置に固定した状態で測定したのが下のグラフである。

 トランジスタ回路の特性をほとんど理解ていないので、とやかく言うべきではないと認識した。 ダイヤルの回転量に応じて電圧は比例的に設定されており、模型車両の速度を上手く調整しているようである。 ただ、電流が大きくなると電圧がそれに従って下がっているのは、やむを得ない事だろう。

 ともかく、電圧制御だとか電流制御とかと決めつける問題では無いと考えることにしよう。 その様な高度の制御が要求されるような商品ではないのである。 手軽な価格で手軽に楽しむ商品なのであり、それで十分なのである。

 いや、急な登り坂を重い貨車を牽引して、喘ぎながら登っていく蒸気機関車を想定すると、負荷が大きくなるに従って電圧を下げて車両の速度を低下させることは、かえって現実にマッチしており、鉄道模型用のパワーユニットとしては望ましい特性なのかも知れない。

 

  .

■ 結論

 結論として、Arduinoから制御し易いモータドライバIC を使うことを前提にして検討を進めることにする。 電圧は12voltとする。 そして、使用予定のポイントをチェックしてソレノイドのパワー不足の場合は、コンデンサ式の強力なパワーを使うことにする。

 この場合は、リレーを使用して右の様な回路で駆動することにする。 コンデンサの容量は2200μFか、3300μFの物を使えば良さそうである。 リレーについては、ソレノイドが一つのシングルステイブル形のリレーでも良さそうである。 また、N-401に習って、ポイント駆動用のソレノイドと並列に 200Ωの抵抗が必要かもしれない。