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鉄道模型実験室 No.112  モータ特性を測定しよう その2 負荷方法

■ はじめに

 先回に引き続き、トルク測定部の検討結果を紹介しよう。 まず最初に以前トライしたモータを使用した方法について、再検討してみた。

 

■ モータを使用した負荷方法の再検討

 ネットでの先人の方々によると、トルクの負荷を付与する方法として、モータを発電機と使用して回転トルクの負荷を得る方法が紹介されている。 小生も以前に、「モータのトルク特性を測定 その1」にて検討していた。 データはそれなりに測定出来ていたが 10gf-mm 以下のトルクは測定出来ていなかった。 原因はマグネットモータの磁力によるものなのか、装置の精度なのか原因追求をうやむやにしたままで、この方法をあっさりと放棄致していた。

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 モータのコギングトルクならば、コアレスモータを使用すればクリアー出来ると判断して、まずは手持ちもモータで再トライしてみた。

 一番の課題は負荷モータ (否、発電機!) の指示方法である。 先回はモータの回転軸を使って支持軸としたが、回転の摩擦抵抗に影響すると考えて、モータの筐体部で軸支する方法とした。 とは言っても摩擦の少ない軸支方法にするためにベアリングなどを使用する手段が必要であるが、これまた大掛かりな工作となる恐れがある。

 このため、右の写真のようにモータ筐体のφ5.0mm のボス部を使って軸支する方法にした。 支持部は 0.1mm のリン青銅板を使った。  そして、以前使用したいろいろな道具類を持ち出した来てテスト用モータと連結させ試験運転してみることにした。

 まず、テスト用モータの支持方法は以前と同じ方法とし、そのセット位置が調整できるようにL字金具を用いて固定するようにした。 この金具は地震対策のための家具固定用である。 さらに、テスト用モータと負荷用モータとの連結は、KATOのジョイントを流用させてもらった。

 このときの試運転を実施した状態を下に示す。

 回転時に少しカラカラと言う音を出しながらも滑らかに回転しており、駆動電流値も無負荷時から少しばかりアップしている状態であった。 負荷用モータは停止した状態であったので、問題点が潜んでいた事をここで気が付くべきであった・・・・・・・。

■ 測定側の検証

 負荷用モータに発生した負荷トルクを計測部に連結する方法として、モータの外径φ14.0mm の部分から糸で接線力を取り出し、滑車を使って拡大レバーに連結する方法を採用した。 

◆ この接線力と台秤の値の関係を検証するために、一円玉を使用してテストを実施した。

 モータの外径近くを通る位置に糸を張り、その先端をまた滑車を通して一円玉を入れる籠に連結した。

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 テスト結果を下に示す。 線形性は問題無いであろう。 ヒステリシスやドリフトなどはまだ改善の余地があるようである。

■ この方式の問題点

 一見した良さそうに見えたこの方式であるが、大事な検討項目を忘れていた。 そこで、右の写真に示すようなテストを実施した。 負荷用モータの筐体を軸支する部分の摩擦トルクを測定しようとするものである。 モータの外径部に糸を巻き付け、その先に一円玉を受ける籠を取り付けた。 そして、モータの筐体が回転を始める時の重さをテストしたのである。

 一円玉一つでは右の写真の様に動かなかった。 二つ載せるとくるりと回転した。 即ち、モータの外径はφ14.0mm なので、軸支部の摩擦トルクは 7gf-mm と 14gf-mm の間である事が分かる。 仮に 10gf-mm とすると、測定データのヒステリシスなどに影響し、目標とする 「測定分解能は 1gf-mm 以下、精度は数%程度」 に対しては明らかに不合格と言えよう。

 軸受け部には、本格的なベアリングなどを使用する等の配慮が必要となってくるが、ホビーの領域では無理と判断してこの方式はやはり放棄することにした。

 

 さて、次回は当初のアイディアどうりの構成を検討しよう。

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 2016/9/21 作成