HOME >> 鉄道模型実験室 > スマホの傾斜計アプリを使う

鉄道模型実験室 No.115  スマホの傾斜計アプリを使う

■ はじめに

 勾配のあるレイアウトを工作したことのある方は、その勾配が設計どうりなのかを検証するのに苦労されていたのではないでしょうか? また、レイアウトを変更した場合などは充分にチェックする必要があるのであるが・・・・・・・・。 自分は「物置部屋のレイアウト第4期工事 登り坂の改善 その1」でも紹介した水準器を取り付けた車両を用いて勾配のチェックを実施していたが、精度の面で不満足であった。

 先日、ある方の鉄道模型のサイトを閲覧している時に不思議な傾斜計を見つけた。 さっそく画面を拡大してメーカー名や型番を参考にしようとしたが、明示されていないのである。 でもよく見ると見覚えのある形の測定器なのである・・・・・・・・・。 スマホだ! そうなのだスマホのアプリなのである。 そこでアプリの検索を実施したら、有る有る!

  .

 

■ スマホの傾斜計アプリ

 幾つかのアプリを見つけたが、使い勝手の良さそうな角度傾斜計を見つけダウンロードした。 無料であるが、App内課金がある。 右の写真。 広告などの表示が出るが、無料なので気にしないことにする。 背景画も変わるようである。

 表示する勾配の種類も、法面、屋根勾配、水勾配があり、建築屋さんの専門語のようだったので、調べて理解した。 そして水勾配の表示にした。 %表示でなくて‰表示であったら鉄道屋さん用であっただろう。

 また、校正については、適切な面にスマホを置いて、180°回転させてチェックする方法を指示していたので早速校正を実施した。 この水準器の校正方法は、江戸時代の伊能忠助さんの時代から実施しされている簡単で精度の高い方法なのだ。

■ 精度のチェック

 センシング方法が気になるが、内部のGセンサを使っているのではないかと推定する。 そして、本当に表示どうりの 0.1%までの精度が出るのだろうか疑問となった。  そこでいつも自分が実施している簡単な傾斜を利用してチェックしてみることにした。

  .

 テスト線路は、TOMIX の直線レールを木板に貼り付け、その板の底にはφ3.0mm の丸いプラ棒を 300mm の間隔で貼り付けて足にしたものである。 そして、1.0mm のプラ板を何重にも張り付けた階段を作って、その上に、片方の足を載せて傾斜を構成させるものである。 傾斜角は長さと高さから計算する。 3mm の高さなら、3/300 = 10‰ なのである。 本当は分母として水平距離を用いなければならないが、微小角の範囲ではこのような近似計算で十分である。 少し傾斜がある自分の机の上で実験してみた。

 測定結果を右のグラフに示す。 横軸に計算した勾配を、縦軸にアプリの読みをプロットした。 基準となる自分の方も少し曖昧なので大きな事は言えないが、0.1%とは言わないまでも、コンマ何%かの精度はありそうである。 リニアリティも全然問題無いし、感度も十分であるようだ。 上記で紹介した水準器付き車両とは、格段の精度となっていることは確かである。

 さらに、スマホを置く位置を変えてみると、測定値が少し変化するのである。 よくよく観察してみるとテスト線路の中央部が少し下がっている事を発見した。 湾曲しているのである。  ムムム・・・・・・・・・!

 

■ レイアウト上で使ってみる

 さらに屋根裏部屋のレイアウトにて、色々な場所に置いてチェックしてみた。 iPhone5S を使用しているのであるが水平に置いた場合には、複線路ではギリギリである。 そこで気になる箇所に置いて勾配を計測してみた。

 先回改造した場所や、登山電車の急斜面でも問題なく測定できそうだ。

 そして、一番苦労した機関区周りの旋回路をチェックしてみた。 すると、最後のカーブの辺りで 50‰にも跳ね上がっている場所を見つけた。 下右の写真。  どうりでこのあたりで一休みする機関車があるのだ。 再調整が必要か!

 次に、スマホを立て測定する方法に変更してみる。 高さに制約がなければ単線路でも測定できる。 

  .

 

■ まとめ

 この測定器は使えそうである。 精度は数パーミル程度と思っておけば間違い無いであろう。 それも無料である事がうれしいですね。 このレイアウトの全線について、改めてチェックすることにしよう。

 このほかに鉄道模型のための便利なスマホアプリはないだろうか?

 

ページトップへ戻る  .


 2016/10/2 作成