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鉄道模型実験室 No.129  パワーユニットを知ろう TOMIXのパワーユニット

■ はじめに

 パワーユニットを知ろう の第2弾として、2種類のTOMIX 製のパワーユニットを調べた。 測定環境は前回と同じ状態で測定する。

 

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■ TOMIX製パワーユニット N - 401 の出力波形

 このパワーユニットは、週刊 昭和の「鉄道模型」をつくる にて提供されたパワーユニットである(上右の写真)。  ミニ鉄道模型運転セットなどに含まれているパワーユニット「N400」とは色違いであり、昭和の「鉄道模型」をつくるのために作られら専用のユニットと思われるが、その仕様は N400 と同じものと思われる。

 仕様は、走行用:0〜8.5V、TCS出力、ポイント2個操作用スイッチ付との説明があるが、製品底面のラベル(右の写真)では、フィーダー出力 DC 0 〜 9V TCS出力 DC12V とある。 定格電流が 400mA なので大電流では使えない設定である。

 オシロでの出力波形観察は、先回と同様に実施した。 即ち、パワーユニットの操作ダイヤルの位置をおおよの3ヶ所に設定して、その時の出力電圧の波形をオシロで観察した。 オシロ画面は、カーソルによる電圧測定状態を示す Cursor モードと、波形の色々なデータを表示する Measure モードの画面をハードコピーして並べて表示する。

ダイヤル位置: 9時
 

モータ接続なし:

 上のピーク値: 3.2 volt

 下のピーク値: 3.2 volt

 平均値:  3.6 volt

 周波数: ? Hz

全く静かである。

 

モータ接続:

 上のピーク値: 3.0 volt

 下のピーク値: 3.0 volt

 平均値:  2.9 volt

時々ノイズが現れる。

電圧は少し低下している。

ダイヤル位置: 12時
 

モータ接続なし:

 上のピーク値: 6.0 volt

 下のピーク値: 6.0 volt

 平均値: 7.0 volt

 周波数: ? Hz

やはり静かなり。

 

モータ接続:

 上のピーク値: 5.8 volt

 下のピーク値: 5.8 volt

 平均値: 5.9 volt

時々ノイズが現れる。

電圧はやはり少し低下した。

ダイヤル位置: 3時
 

モータ接続なし:

 上のピーク値: 9.8 volt

 下のピーク値: 9.8 volt

 平均値: 10.0 volt

 周波数: ? Hz

これまた静かである。

 

モータ接続:

 上のピーク値: 8.8 volt

 下のピーク値: 8.8 volt

 平均値:  3.6 volt

時々現れる大きなノイズにオシロは反応している。 このため、平均値が低下している。

 このパワーユニットは安定した直流を供給しており、安価で気楽に使用できる便利なパワーユニットと思っていたが、性能的にはなかなかイケルではないか!

 

■ TOMIX製パワーユニット N-1001-CL の出力波形

 このパワーユニットは、旧モデルのN-1000-CLのリニューアル版で、電源が別部品のアダプター式となっている。 出力仕様は、直流1.2A(0〜12V車両走行用)/12V TCS用/12V 電動ポイントN駆動用)と説明されており、本体とその底面のラベル、およびアダプターとその仕様を下に示す。 スイッチングレギュレーター式のアダプターで、直流出力である。

 パワーユニットの出力波形を次に示す。 ダイヤル位置を3時以上にするとデューティ比が飽和してしまうので、少し下側にずらして測定した。

ダイヤル位置: 8時
 

モータ接続なし:

 上のピーク値: 12 volt

 下のピーク値: 0 volt

 平均値:  1.1 volt

 周波数: 17.6 kHz

 デューティ比: 8.7%

このあたりではまだ矩形波になっていない。

 

モータ接続:

 上のピーク値: 未測定 volt

 下のピーク値: 未測定 volt

 平均値:  -0.1 volt

 デューティ比: ?%

パルスの底辺の波形が少し崩れてきている。モータの逆起電力の関係だろうか?

ダイヤル位置: 11時
 

モータ接続なし:

 上のピーク値: 12 volt

 下のピーク値: 0 volt

 平均値:  6.1 volt

 周波数: 20.7 kHz

 デューティ比: 50.7 %

立下がりの波形が綺麗な矩形波なっていない。

 

モータ接続:

 上のピーク値: 未測定 volt

 下のピーク値: 未測定 volt

 平均値:  ? volt

 デューティ比: ?%

モータを回すことにより、矩形波の形状が歪んでしまっている。

ダイヤル位置: 2時
 

モータ接続なし:

 上のピーク値: 12 volt

 下のピーク値: 未測定 volt

 平均値:  10.7 volt

 周波数: 23.4 kHz

 デューティ比: 89.4 %

デューティ比は飽和前の状態である。

 

モータ接続:

 上のピーク値: 11.6 volt

 下のピーク値: -0.96 volt

 平均値:  9.3 volt

 周波数: 23.4 kHz

 デューティ比: 82.8 %

波形が安定しなかったので4回平均で表示。

いつの間にか綺麗な矩形波になっている?

モータを回すと綺麗な矩形波になるなんてなんで? よく分からないね!

 KATO 製に習ってアダプタ単品での出力波形を調べてみたが、まったのくの無駄骨であった。 波形はどこまでも一直線で綺麗な直流そのものであったのだ。 

 PWM制御の範囲は、ダイヤルの8時から2時の間ではデューティ比が制御されているようであるが、その前後では制御外と思われる。 ダイヤルの回転具合と制御される様子を調べてみるのも面白そうだ。 また、PWM制御の周波数は少し変動するが、およそ 20 kHz に設定されている。

 また、パルス波形に目が行っており、モータのノイズがどのような形で影響しているのか観察することを忘れていた。 KATO 製の場合の様に、mSec 単位での観察も必要だったのではないかと編成している。 そして、パルス波形もいろいろ変化しており、その状態をもっと観察して行こう。

 

■ まとめ

 TOMIX 製のパワーユニット N - 401はアナログの直流電圧制御であり、N-1001-CL は、0-12ボルト、 20 kHzでのPWM 制御であることが確認できた。 このPWM 制御によってモータがどのように制御されるのか、また、レイアウトで見られた電圧降下とどのように結びつくのか見ていくことにしよう。


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 2017/1/9 作成