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鉄道模型実験室 No.140  PWM制御と手作り室内灯

■ はじめに

 スハフ42-2053 号車に組み込んだ室内灯は手作りの室内灯ユニットであった。 構成している部品の仕様は、ブリッジダイオードを小型の物に変更していることと、10μF のコンデンサの取り付け位置を変えたことである。 狭い場所に取り付けたために、ブリッジダイオードの上流側に取り付けている。 この結果が思わぬ悪さをしていることに気が付いたのである。 コンデンサはチラツキ防止のために挿入している野であるが、ブリッジダイオードの上流側でも下流側でも関係ないと安易に気持ちで工作したのである。

 そこで今回は、果たして本当にコンデンサの取り付け位置の問題なのかの確認と、PWM制御に影響を与えないコンデンサ容量はどれくらいかを実験してみることにする。

 

■ 実験装置

 ブレッドボードを使った実験の様子を下に示す。 電源とオシロ、およびオシロチャンネルの接続状態は先回の報告と同じである。

 使用したブリッジダイオードは DI1510 を使用し、LEDは SH3WW-WC-LP、 CRDは E-153 15mA 仕様のものである。 コンデンサは、今までも使用していたセラミックコンデンサ 10μFの物を使用する。 上左の写真はコンデンサ無しの時で、上右の写真は 0.1μF のコンデンサをブリッジダイオードの上流に付けた場合である。

■ コンデンサ付きの場合

 最初にブリッジダイオードの下流に 10μF のコンデンサを接続した場合を確認する。 上段がコンデンサを接続した場合で、下段がコンデンサを取り外した場合である。

 上下の波形を比較して観察すると、

 部分的には納得できる部分もあるが、理解出来ない点もあるのだが、自分の知識ではここまです。

 

■ 部品の位置を変えてみる

 つぎに、LEDを取り外した状態を下左に示す。 さらにLEDとコンデンサを取り外した状態を下右に示す。 当然ながら電流はゼロですね。

 そして、再びLEDを取り付け、コンデンサの位置をブリッジダイオードの上流に付けた場合を下左に示す。 確認のために、コンデンサを取り去ると右の画面となる。

!!!!!!!!!!!!!!!!

やはりコンデンサの取り付け位置が間違いであったのだ!

 即ち、PWM制御のパワーユニットを使用し、手作りの室内灯を組み込んだ客車をコアレスモータ搭載の機関車で牽引させた場合に発生する暴走気味のそうこうは、手作りの室内灯の制作ミスであったことが確認できたのだ。

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■ コンデンサの容量を変えてみる

 理由は未解明であるが、コンデンサをブリッジダイオードの上流に付けると良くないことが分かった。 しからば下流側なら良いかと言えばそうでもない。 最初に示したオシロ画面のように電圧パルス波形が変形しているのである。 そこで、コンデンサの容量を変えてみて観察してみることにした。 とはいっても、多くの仕様の部品を持っているわけでは無いので、部品箱からいろいろな種類のものをかき集めてきました。 今回使用した部品類を右に示す。

 準備できたものは、10μF、 1μF、 0.1μF、 0.022μF、 0.0033μF、 でしたので、無しの状態を含めて、6通のオシロ画面を容量の順番にて下に示す。 パワーユニットのダイヤル位置は固定したままです。

  パルス波形の変化具合が観察できますね。 次に、下に示す画面は、ダイヤル位置を少し回した状態で、0.1μFを取り付けた状態です。 上の3番目の波形と比較すると、パルス幅が少し広がっただけですね。 下右の画面はコンデンサを取った状態です。

 即ち、電圧パルス波形に影響を与えないようにするためには、コンデンサを取付け無いことか、あるいは 0.0033μF以下にすること との結論ですね。

 

■ 定電流ダイオードの代わりに抵抗を使ってみる

 市販されている多くの室内灯は、定電流ダイオードの代わりにコストの安い抵抗を使っているので、この影響もみてみよう。 抵抗は 510Ωを使用し、コンデンサは 0.1μFの物を未装着の場合と(左)、ブリッジダイオードの下流(中央)、ブリッジダイオードの上流に取り付けた場合(右)に示す。

 定電流ダイオードと抵抗との差異は無いように思われるし、コンデンサを上流に取り付けた場合は NG である事は変わりませんね。

 

■ 各部の電圧を測ってみる

 コンデンサの効果を探るために、各ポイントでの電圧を測定してみた。 測定点とその電圧波形を下に示す。 電流波形はグランド位置の関係で、ポイント3の場合は画面外に飛び出してしまっている。

 これらの様子を観察すると、ポイント2では0.5ボルト程度、ブリッジダイオードでの電圧降下の影響が出ていることが分かる。 また、ポイント3では、さらに低下している事は理解できますが、途中からの落ち込みがありませんね。 スロープを下がるのはコンデンサの放電効果と考えられ、LEDの通電開始の電圧まで、なだらかに下がっているのが分かります。 しかしポイント1や2での、途中からの落ち込みは何でしょうね? コンデンサが無いとストンと下がってしまうので、コンデンサの影響でしょうかね?

 電気・電子は専門外なので、小生の知識ではこれ以上の解析能力はありませんが、面白そうな現象です。

 

■ 考察

 このレポートをまとめている最中でも、いろいろ疑問が沸いてきます。 ブリッジダイードが無い場合にはどうだろうかとか、KATOのスタンダードSの場合はどうだろうかとかまだまだ調査する内容があります。

 そして、気なっている点は、パワーユニットと室内灯ユニット、および動力車との力関係です。 今回は一対一で実験しましたが、室内ユニットが2個3個、否、10両連結では10個の並列る接続も考えられますので、パワーユニットや動力車の方が力負けしてしまうのではと想定しています。 室内灯ユニットひとつで 15mA の電流を消費するとすると、それに影響する程のエネルギーをコンデンサは貯めていることになります。 コアレスモータの消費電流は、室内灯の2〜3個分とすすと、コアレスモータの方が負けてしまうのではと思います。 電気量なる概念で考察する領域と考えると、もう自分の範疇ではありませので、諦める事にします。

 つまりは、特にコアレスモータの場合は安易にコンデンサーを使うな!                    

と言う結論にしておきます。

 

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 2017/4/13 作成