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鉄道模型実験室 No.162  室内灯のチラツキを低減したい -- 電気はどっちに流れるの?

 車両整備の一環として、室内灯としてテープ式LEDの工作を実施しましたが、走行時のチラツキがひどいため手が止まってしまいました。 でも、このテーマは避けて通れないので、少し首を突っ込んでみたいと思います。 今回はコンデンサに貯まった電気はどっちに流れるのか実験してみました。 なお、電気の流れは、電子が移動することによって生じている現象であることは重々承知であるが、ここでは、電気はプラスからマイナスに流れるといる一般的な概念で説明している。

 

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■ 電気の流れる方向を観察する

 逆流防止のためのダイードが、逆流を防止していないとのことであるが、半信半疑の自分を納得させるために、右のような回路を組んでオシロで波形を観察してみることにした。

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 逆流する電流を観察するために、コンデンサとダイオードの間に、シャント抵抗として10Ωを挿入し、その電圧差をオシロのチャネル1で観察する。

 そして、コンデンサの電圧をチャネル2で観察するのであるが、オシロのGNDは共通させなければならないので図のような位置に設定した。 このため、チャネル2の電圧はマイナスとして表示される。

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 テストしたダイオードは先回のリストの中から、No.1、4,5 の3種類のダイオードを取り上げた。 また、パルス幅は、点灯ぎりぎりの、約 5%、常用域の約20%、すこし大きめの約40%に設定して、波形を観察した。

 その結果を一覧として下に示すが。観察するポイントは、左に示す様に、CH1のマイナス電圧である。 電圧がプラスならば、右方向に流れており、マイナスなら左方向、即ちダイオードを逆流しているのである。 そしてその逆流している時間も注目して欲しい。

1) Duty 約 20%の場合    拡大図(PDF)

2) Duty 約 5%の場合    拡大図(PDF)

3) Duty 約 40%の場合    拡大図(PDF)

 

■ 観察のまとめ

 オシロの画面を見比べながら分かったことを列挙する。

  1. 汎用のシリコンダイオード N4007 は、パルスがOFFになった時、やはり約10μ秒の間は電流が逆流している
  2. コントローラのPWM周波数は 20KHz であるので、パルス間の長さは 50μ秒である。 このため逆流時間は、デューティ比では20%に相当する。 無視できない影響となる。
  3. この影響は、0.1μFのコンデンサと言えど無視できない。
  4. ショットキーバリアダイオードでは、この様な逆流現象は表れていない。 いや、ナノ秒の世界なので影響が出ていないと言うべきか。
  5. 高速スイッチングダイードはシリコン系(?)らしいが、この現象は改善されており、ショットキーバリアダイオードと同様に逆流現象は見られない。
  6. 逆流した電気は、上流側の回路状態によってその影響は異なるが、コアレスモータであれは、かなり影響されるであろう。

と言うことで、自分なりに納得がいきました。 しかし、今回の実験ではノイズが気になりますね。 10μ秒毎のノイズは?

 

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■ 追加の実験

 上記のノイズの件が気になっています。 オシロのGND端子の位置がコントローラのGNDから浮いているのが原因と考えて、その位置を右の様に変えました。

 しかし、これでは流れる電流を観察出来ません。 オシロのCH1とCH2の差分演算値を表示する機能を使って表示させてみました。 でも、シャント抵抗 10Ωので電圧差は、わずか40mV程度なのでオシロの分解能以下となってしまい、シャント抵抗の使用を諦めました。

 でも、あえて差分を表示する設定で観察してみました。 下に示すオシロ画面では、赤色の線でCH1−CH2 の値が表示されています。 単位は元のチャネルと同じです。 この赤線がゼロ(中央の位置)であれば、電流は方向は分かりませんが、電流が流れて電圧差が無い事を示しています。

1) Duty 約 20%の場合    拡大図(PDF)

2) Duty 約 5%の場合    拡大図(PDF)

 このテストより、

  1. ノイズは完全に乗っていませんので、先回は測定方法がマズかったものと判断しました。
  2. 波形の様子は電流表示の場合と異なっていますが、現象としては、上記のまとめと同じ現象として説明できます。

 次回は、上流側にコアレスモータを接続した場合の様子を報告しましょう。

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 2020/7/5 作成