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鉄道模型実験室 No.201  KATO製室内灯ユニットのチラツキ防止加工は可能か その2

 室内灯のチラツキ防止の実験です。 先回のKATO製の室内灯ユニットを使ったチラツキ防止方法の実験 その2 として、コンデンサによる消灯時間の効果について報告します。

 

■ テスト2号品の加工内容

 先回の報告の中で、ビデオで紹介したテスト2号品の工作内容について、説明がパスされていたので、ここで説明します。

 KATOのオリジナル製品に対して、上右のような細工を追加しました。 まず最初に、基板を取り出し、チップLEDのマイナス側回路をカッターナイフで切断します。 そしてチップ抵抗のハンダを外して、代わりにジャンパ線をハンダ付けしておきます。 真中の細い配線パターンんとショートしない様に注意します。 取り外したチップ抵抗は、切断した回路を跨いでハンダ付けします。

 この細工は、電流制限抵抗をブリッジダイードの上流側から下流側に移動させる工作です。 そして、チップLEDの上流(プラス)側とチップ抵抗の下流側からコンデンサに接続させるためのリード線を取り付けます。 いつも工作している物と電流制限抵抗の位置が異なりますが、LEDと抵抗は直列接続なので、その位置が前後しても影響ないと判断しました。

 

■ LEDの消灯時間の測定

 さて、本論に入ります。

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 用意したのはテスト3号品の室内灯ユニット改造品です。 そして、電球色テープLEDで、客車や電車用に使用してきたものです。 上左の写真。

 また、電解コンデンサを、1μF、10μF、47μF、100μF、220μF、470μFといろいろ揃えました。 上右の写真。

 これらの部品をつかってブレッドボードの上にテスト回路を構成しました。 ブリッジの入力側は、電源の供給側に接続し、出力側は510Ωの抵抗を介してテープLED に接続しています。 コンデンサは、ブリッジの出力側端子に接続させるため、スペースを開けていますが右の写真ではまだ装着していません。

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 次のオシロでの波形観察の状態を説明します。

オシロの測定子は、ブリッジの入力側のプラス端子をCH1に、マイナス端子をGNDに接続し、ブリッジの出力側プラス端子をCH2に接続して電圧波形を観察しました。

 供給電源はTOMIXのパワーユニットN-1001-CLを使用しています。 最初にPWM 制御によるパルスを供給している状態を観察しました。 その時の実験状態を下に示します。

 コンデンサ無しの場合のダイヤル目盛1と3の場合の波形を下の左と中央に示します。 また、100μFのコンデンサを取り付けた場合の波形を下右にしめします。

 出力側の電圧を示すCH2(青色の線)の波形は、パルスがOFFの時にドスンと落ちて、あとはジワリと減少して行きますが、これはテープLEDの特性ですね。 コンデンサのある場合はその落ち込みが小さく、コンデンサの放電効果によってLEDは光続けている事が分かります。 でも、パルス周波数が人の目の残像効果の限界である10〜15 Hz よりも遙か高い周波数なので、どちらの場合も、チラツキは認められません。

 この測定方法では、チラツキを防止させるための消灯時間の測定には適していませんので、次のような実験を行っています。

 

■ 電流制限抵抗の電圧降下を観察する

 LEDの点灯時間を観察するには、電圧の変化よりも電流の変化の方が適しています。 LEDの光具合は電圧では無くて電流の大きさに関係しているからです。 この電流を測定するために、挿入されている電流制限抵抗の電圧降下量を観察すれば、オームの法則より流れる電流が観察、かつ計算出来るのです。

 測定子を制限抵抗の上流側に取り付け、GNDを抵抗の下流側に設定します。 これによって電圧降下量が直接観察できます。 測定方法は、電源から電気を供給しておき、供給側のジャンパ線を素早く取り外すことによって、電気の供給をカットします。 そして、抵抗の電圧降下量をオシロで観察します。 オシロ側の設定は、トリガの設定を立ち下がりにして置き、トリガが入ると波形を取り込む設定にしておきます。

 この時の観察波形を下に示します。

 左の波形はコンデンサの無い場合ですが、入力パルスと同じ波形になるので立下りもパルス毎に発生しますので、消灯時間が測れません。 と言うよりも、目にはみえないものの、パルスに応じて消灯していると言うべきでしょう。 パルスON時の電圧は、1.68volt ですから 1.68volt/506.8Ω= 3.3mA となり、3mAの電流が流れている事を示しています。

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 そこで、1μFの電解コンデンサから実験を始めました。 その波形を中央に示します。 右の波形は220μFの場合です。 それぞれの測定時点で横軸の時間スケールを変えていますので注意してください。

 スイッチの切断時点は波形から明確に判断出来ますが、何時までの時間を測るべきか迷ってしまいます。 本来ならば時定数と言う指標があるのですが、その電圧時の時間を読み取るのが面倒なので、オシロの一目盛時点、即ち 500mV目盛を横切る時間を読み取ることにしました。 その方法は、X軸のカーソルを移動させ、スタート時をX1、 500mV時をX2としてカーソルを合わせると、この間の時間はX1X2として計算されてオシロ画面に表示されます。

 この 500mVを電流に換算すると、1.0mA となり、LEDが暗くなったと感じる電流でもあるのです。

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 こうして、コンデンサの容量をいろいろ変えて測定した消灯時間を右のグラフに示します。

 

■ 考察

  1. この実験結果より、目の残像効果がある時間を 50msec 程度と考えると、100μF以上のコンデンサ容量が必要であると判断されます。
  2. 電流制限抵抗がない場合や、LEDと並列にコンデンサを接続した場合は、コンデンサに蓄電された電気が直接LEDに掛るので、この消灯時間は極めて短くなる事になります。 電流制限抵抗の有り無しの場合の電圧・電流特性を比較すると理解できると思います。
  3. 今回の実験で、KATO製室内灯ユニットにチラツキ防止の加工が出来ることを確認できたのですが、チラツキ防止については殆んどの車両を既に自作ユニットにて対応済みです。 新品を購入して加工するならコストが押さえられる自作のユニットにするので、 KATO製ユニットが残っている一部の車両に応用しようと考えています。
  4. 余談ですが、今日と言う日は なんと2と言う数字が6個も並ぶ日なのですね。 凄い。 次回は3033/3/3 ですが、もう生きていませんし、5個までですね。 否、その前に、2が7個も並ぶ 2222/2/22 がありますが、 やはり生きていませんな。

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 確認のため、新幹線車両にて修正工作を実施しましたが、点灯テスト中にブリッジダイードから煙が出て来たので慌てて中止しました。 煙が出て来たのはこれで5個中の2個目です。 原因は、お粗末なハンダ付け作業によって、どこかの回路がショートしているものと思われます。 拡大鏡で観察してもよく分かりませんでした。

 このため、小生の工作を参考にされる場合は、自己責任でお願い致します

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 その工作内容を報告しておきます。 対象とした車両はKATO製の700系新幹線車両です。 シャシーを分解した状態を下左に示します。 床下には、大きな空間があり、コンデンサを収納するには充分なスペースがありました。

 上右の写真は、ユニットを取外して回路をチェックした時の状態です。 この状態でも煙が出てきましたので、修正工作部分が怪しいと判断しました。

 どうやらチップLEDを取り去った後の山盛りのハンダ付けが怪しいようです。 テスタでチェックするも導通している様子もありません。 しかし、上右の写真に示すように自作のユニットでも収納するには充分なスペースがありますので、無理をしてKATO製を再利用しようとする貧乏症は、避ける方が賢明なようです。

 

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 2022/2/22 作成