HOME >> LED電子工作集 > Tinkercad 静特性を測定する
■ はじめに
Tinkercadにおいて、トランジスタやLEDといったアナログ部品はどのようにモデル化されているのを知りたくて、これらの部品の静特性を調べてみました。
■ LEDの静特性を調べる
LEDの静特性は、LED電子工作集の「LEDのデータ」に示すように特殊な特性を示しています。そこで同じような方法で測定することにしました。測定回路をした左に示します。色はいろいろありますが、モデルは1種類しかないLEDですので特性は全て同じと考えます。そして電源ユニットに接続して終わりです。簡単ですね。
まず、電源の電圧と電流の最大値を5Vと50mAに設定しておき、電圧のダイヤルを 0Vから少しずつ上げていきます。そして、その時の電圧値と電流値を読み取ってグラフのプロットしていきます。グラフ表示は Excel を使用しました。測定結果を右のグラフに示します。
実物の測定値と同じ特徴のグラフを示していますので、このシミュレータにおけるモデル化は静特性に於いては正確であると思います。 また、動特性については、実部のLEDの応答は素早いので、瞬時に対応するとモデルであったも問題無いと考えます。即ちLEDの動特性は考慮すっる必要がないと言うことです。
■ トランジスタの静特性を調べる
トランジスタの特性の測定は、電子工学の基礎の基礎との事であるが、門外漢にとっては参考となる資料を探すことにした。
”トランジスタの静特性”として検索をかけると 長崎総合科学大学の授業で使用されている「トランジスタの特性 I ~静特性」の資料を見つけることが出来た。この資料は学生が基礎実験として実施するためのマニュアルであり、我が目的にピッタリであったので、早速参考にさせて戴きました。
Tinkercad上で組んだ実験回路を右に示します。測定場所の記号は参考資料に合わせています。サンプルに選んだトランジスタはNPN型のもので、コレクタに掛ける電源は電源ユニットを使用し電圧E_CCを設定しておきます。また、コレクタに流れる電流はI_Cにて測定します。
一方、ベースに掛ける電圧は乾電池を使い、抵抗RBを介してベースと接続しています。そしてベース電圧V_BEとベース電流I_Bをそれぞれ計測します。
実験は、まず、E_CCを5Vに設定しておき、RBの抵抗を変えて、その時の各部の値を読み取ってExcelに記入していきました。実物の場合は可変抵抗を使うのですが、このアプリにはそのモデルがありませんでした。必要ないと言えば必要ないですね。 次にE_CCを10Vにして同様に測定しました。 その測定結果をグラフ化して下に示します。
上左の入力特性は、トランジスタのカタログ等で見られうる特性と同じですね。上右の電流伝達特性はその勾配が電流増幅率を示しており、293の値が計算されました。実物に於いては、5Vと10Vとでは値が異なってくるのですが、このモデルではそこまで疑似化していませんね。モデルを簡素化しているようです。
なお、参考として実験マニュアルには出力特性も測定するようになっていますが、ベース電流を一定にしながらの測定なので面倒な作業になるため省略しました。
■ コンデンサの特性
次に、コンデンサについて覗いてみることにします。静特性としては何を見るか分からなったので、右のような回路にて充電と放電特性を観察しました。
コンデンサは 10μF 、抵抗は 10KΩに設定し、オシロの分割あたりの時間を 100ms 設定しています。スライドスイッチをON/OFFさせてオシロの画面を観察しました。
波形はコンデンサの充放電の様子を反映させていましたので、それなりにシミュレーションを実施しているようですが、疑いの目で見ています。
というのは、抵抗値と容量値の値をもとに計算式に従って曲線を描いているのか、あるいは、電子の動きは時間刻みでシミュレーションして結果を出しているか分からなかったからです。もし後者であれば、どんなアナログ回路でもシミュレーション出来るはずと考えているからで、先のLED点滅回路もシミュレーション出来はずです・・・・・・!。
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それにしても、このオシロのモデルはご立派ですね!
試しに、 ファンクションジェネレータからの信号を表示させてみましたが、ホビーとして楽しむには充分です。
■ まとめ
先のLED点滅回路が機能しない理由をさぐるために、アナログ回路の静特性を見てきましたが、静的には正確にモデル化されているようです。しかし、動的にはどこまでシミュレーションが実施されているのかは確認出来ませんでした。
と言うことで、もし、本格的に電子回路のシミュレーションを実施しようとするならば、このWebアプリは使用できないと思います。それなりの専用ソフトを活用すべきと考えるべきであり、あくまでホビーの範疇のアプリと考えておく方がよさそうです。
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次回は、Arduino を使った回路を試してみることにします。