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D-0 タイマーIC 555について

■ タイマーIC 555

  このICは、LED工作を始めとしていろいろな用途で紹介されていますし、私が最初に使い始めたICの一つです。 タイマーや発振回路として、LED工作には欠かせないICと思っています。 ネットなどで調べると、1971 年に生まれたとても古いIC ですが、今でも使用されています。 回路も調整も簡単なベスト・セラーICだそうです。 最初に発売されたのはシグネティックス社から発売されたNE555で、現在はいろいろなメーカーから555のセカンド・ソースが発売されており、仕様は少しずつ異なっているようですが、機能的には同じ様です。

 

■ LM555CN

 自分が使用している555は、ナショナルセミコンダクター社のLM555CN である。 たまたま選んだのがこの製品で、深い知識があったわけではなかった。 2014年に紹介した「点滅する照明灯を作ろう その1」で使用したのが始めてであった。 その後、動力特性の自動測定のために、測定車の測定ユニットに搭載すべく、赤外線通信のための38KHzの発振回路に取り入れたが、四苦八苦した結果、このタイマーICの使用をあきらめ、水晶発振子に変更して何とか測定できるようになった。 このときの記録は、「測定車を作る」から始めた関連の報告を参照下さい。

 なぜ、このような昔の失敗談を持ち出すのか不思議に思われるかもしれないが、この報告書を編集していて昔の失敗の原因にハタと気がついたからである。

    タイマーIC 555がうまく発振しなかったのは、電源電圧の設定をミスっていたからである。

 この部品を購入したのはLM555CN である。 その時にネットからダウンロードしたデータシートはLMC555 用であった。 そして、この部品の仕様は、 LMC555 用に記述されて内容であると早とちりしていたのである。 賢明な諸君はすぐに理解されると思います。 LM555はTTL型のICであり、LMC555はCMOS型のICなのである。 その違いは、作動可能な電源電圧や、許容される電流が異なっているという事なのです。

 使用していた部品のデータシートを改めてダウンロードして確認すると、 Supply Voltage は Min 4.5 V と記入されていました。  一方のLMC555 (CMOS型)用データシートには、1.5V動作電圧の保証とはっきりと記載されているので、測定ユニット電源が3ボルトであったり、2.4ボルトであったとしても動くはずであると信じていたのである。 しかし、実際にはTTL型のICを使っていたので確実に作動出来る保証は無かったのである。

 乾電池を1本または2本で使用する場合には、CMOS型のLMC555を使用し、TTL型のLM555を使用する場合には乾電池を3本以上で、充電式の場合は、一本が1.2ボルトなので4本以上使用する必要があるのである。


  今回のLED工作では、単3乾電池を3本使うのは正解であるが、余裕の無いギリギリの状態であることを肝に銘じておこう。

■ LM555CN の仕様

 LM555CNは TTL型のICであり、供給電圧は、4.5〜18ボルトである。

 出力電流については、LEDを直接駆動出来るかどうかを判断する必要があるので注目しておきたい仕様である。 部品の説明欄には最大低レベル出力電流は200mA と書かれているが、データシートのどこを見れば良いのか素人ゆえに分からない。 たまたま他のネット資料を発見したのでそれによると、出力電流(sink)は電源電圧が15Vの時に200mAで、5Vの時では8mAと書いてあった。 sink とは出力がLowレベルの時に吸い込み可能な電流のことと理解している。

 要するに、このICの出力端子にLEDを直接接続しても、せいぜい1個程度のLEDを光らせる能力しかないのではないかと認識しておくのが無難なようである。

 下に、このタイマーICの外観と配線図、および足の位置を示しておこう。

  

 なお、データシートを見ていると、このICは、マルチバイブレータの機能の他に、ワンショットタイマーとか、パルス幅変調回路、パルス位置変調回路なども構成出来ると書いてあった。 いろいろな使い方が有るようであり、機会があったらこれらの機能でも使ってみたいですね。

 

■ 参考資料