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交流電気機関車: ED75 700形 前期型
ED75形は交流用の標準機として国鉄時代1963年に誕生し、コンパクトなボディながらハイパワーな機関車として東北本線や常磐線に投入されました。 700番代は奥羽本線青森電化用に製造された交流電気機関車である。
710号機は、1971年8月に日立で製造され、秋田、青森で活躍後、1996年10月に廃車されている。
メーカー :TOMIX
商品名 : 国鉄 ED75-700形電気機関車(前期型)
品番 : 2175
車両番号 : ED75 710
スケール : Nゲージ、1/150
発売日 : 2009年1月下旬
入手日 : 2010年2月25日 新品購入
定価 : \6,720.-
● フライホイール付動力ユニット採用
● 遮光板スライド方式によるヘッドライトのON/OFF切り替え機構付
● 運転台シースルー表現
● ボックス輪心付車輪採用
● カプラーの交換: アーノルドカプラーからナックルカプラーに交換する。
連結面間距離 | 100.0 mm | 車体重量 | 75 gr | 前動輪荷重 | 37 gr | 後動輪荷重 | 38 gr |
動輪直径 | φ7.6 mm | ギヤ比 | i = 20.95 |
動力部はダイカストフレームの覆われていて、すっきりとしている。
主な部品を分解した状態を下に示す。
ダイカスト製のフレームは、左右分割タイプで、対象形となっている。 前後方向には、モータの保持部材と通電部材のために、少し形状がことなっているため、モータの組付け方向は迷う事はなさそうである。 ポカ除けが考慮されている。
モータは、前後にフライホイールを持っており、フライホイールの内側にジョイント用の突起部材(プラスチック製)がある。
動力台車を分解してみよう。 各部はスナップ式で組み立てられている。
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動力機構を見てみよう。 左の写真参照。 ウォーム軸の先端に取り付けられたカプラー部材がモータのフライホイール内に差し込まれ、突起部材と契合して、モータのトルクをウォーム軸に伝達する。
上に示す台車を分解した写真をもとに、各部品を切り出して重ね合わせたイラスト図を左に示す。 動力は、一条ウォームからホイールギヤに伝達され、2段ギヤによって、アイドラギヤを介して動輪のギヤに伝達される。
この時の減速ギヤ比は、 i = 20.95 と計算される。
また、動輪からの集電は、イラストに示すように、φ2.4mm の動輪軸に接触させて集電している。 集電子の厚さは t = 0.5mm であった。 この集電子を押さえているバネの強さを測ってみようとしたが、バネの取り付け寸法が測定こんなんなため諦めた。
この集電構造はKATO 製と異なっているため、性能特性や集電性能への影響が異なると思われる。
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また、モータを保持するケースについて、右の写真に示すが、なぜこの部品だけ透明なプラスチックなのか、ふと疑問に思った。 そして、バネ板を挿入する部分が一ヶ所破断している事に気が付いたがいつ壊してしまったのか不明である。 それにしても弱々しい部品ですね。
チップLEDを使用したヘッドランプのための回路を左に示す。 組付け方向を矢印で示されているので、組付けに迷う事は無い。 ここにもポカ除けの配慮がなされている。 ライトのON/OFF のためのスライド部材も設定されているが、ダイカストフレームの上方の固定部材としても兼用されており、設計者の工夫が見て取れる。
(2015/3/7 追記) .
【2015年3月】 改良した動力特性測定装置を使用して性能特性を再測定する。 この改良された測定装置では、従来の項目に加えて、走行中のモータ端子電圧とモータ回転数の測定を可能にしている。 2015/3/6 追記
● ED75-710号機の測定時の重量: 73.3グラム、 測定車の重量: 92.5グラム、 走行抵抗: 1.2 グラム
****************************** 牽引力特性 ******************************************
速度特性:
平坦路にて走行させ車速と電圧、および電流と電圧を測定し、走行性能を計測する。
測定日: 2015年3月5日
測定車の測定ユニット:モデル3
スケッチ: New_Keninryoku_test5
走行は安定した走りであった。
この速度特性について、2010.11.22作成時の測定データよりも、速度が少し落ち込んでいるようであるり、電流値も少しアップしているが、測定誤差か、経年変化か、あるいは測定車の牽引によるものなのかは判別出来ない。
電圧降下量については、 0.2 〜0.4ボルトと非常に小さく、TOMIXの集電機構の特徴ではないだろうか。 また、電圧値や電流値と比例関係がみられるが、速度項の影響があるので、影響因子はここでは特定出来ない。
モータ回転数については、単品無負荷時のデータが無いので比較出来ていないが、端子電圧に対してモータ回転数は綺麗に比例関係を示している。
このモータ回転数から計算したスリップ率は - 1〜 + 1.5 %前後と納得がいく値を示している。
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牽引力特性:
次に牽引力特性を測定した。
測定日: 2015年3月5日
測定車の測定ユニット:モデル3
スケッチ: New_Keninryoku_test5
各グラフを簡単に説明しておこう。
まず、牽引力と車速グラフは従来の表示方法に加えて、モータ回転数から計算したスリップ率ゼロの場合の車速を重ねてプロットしてみた。 M と表示したプロット点である。 牽引力と電流のグラフは従来通りである。
電圧降下のグラフは、レールに供給する電圧とモータ端子電圧の差を計算したもので、車輪とレール、車輪の軸受部、台車の集電子と車体との間、の接触抵抗による電圧降下量である。 当然、プラス側とマイナス側の合計値である。
この電圧降下量を牽引力の関係でグラフ化している。
次に、モータの規定回転数をカウント完了する時間 tp からモータ回転数を計算して、速度計測ゲートを通過する時間 tt より計算された車速データとの比較により、動輪のスリップ率を計算し、グラフ化している。 スリップ率は、全体と中央部の拡大表示のグラフを示した。
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まず、牽引力特性のパターンを見てみよう。 見慣れたKATO 製の動力車とは、少し様子が異なっている事に注目する。 それは、制動側の特性が駆動側から連続して同じ傾斜で下がっている特性を示している。
このパターンは、ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点が、駆動機構の摩擦抵抗が大きいためにマイナス側に大きなっているためであると考えている。 牽引力と電流値の特性グラフからは、その特性の折れ点が、- 10 グラム前後と読み取れるが、この値は、すでに制動側のスリップが始まっている領域に入ってしまっている。 こうして、KATO 製のような、垂直の壁のゾーンが無くなっているのである。
この駆動機構の摩擦抵抗は、KATO製の 2〜3グラムとはかなりかけ離れているが、歯車関係の構造的差異よりも、集電子の構造的な違いと考えている。
次に、スリップ率ゼロの場合の車速を重ねてプロットしている、牽引力と車速グラフを見てみよう。
牽引力側のスリップ領域では、スリップ限界のかなり前から車輪が滑り始めているのが分かる。 その様子はスリップ率のグラフでも明確に表示する事が出来るようになった。 そして推定されるμカーブは 「右上がりのμカーブ」の様相を示している。
注目していた制動領域での振る舞いは、遷移点が制動側のスリップが始まっている領域に入ってしまっているため、観察出来なくなっている。
電圧降下量については、この牽引力特性でも、 0.1 〜0.4ボルトと非常に小さく、TOMIXの集電機構の特徴ではないだろうか。 そして、牽引力との関係でグラフ化するも、殆ど一定の値をしめしており、KATO 製のような傘形のパターンを示しているとは言い難い。
今回の測定は、電圧をパラメータとして、4.5、3.5、そして5.5voltの順番に測定しました。 さらに、パラメータを変更するたびに、線路と車輪をクリーニングして測定を開始している。 このため、線路と車輪の汚れはリセットされて実験したつもりであるが、グラフを見ると測定が進むにつれて、電圧降下量が少しずつ増加しているように見えますが、レールと車輪以外の部分で汚れが増えている事を示していると思われます。 でも値的にはKATO製よりもずーと小さい様です。
まとめ:
このTOMIX製のED75-710号機は、KATO製のELモデルと比較して、駆動機構の摩擦抵抗が大きいが、電圧降下量は非常に小さいと言える。 これは集電子の構造的な差異のよるものと考えられる。 動力車に於いては、多少駆動機構の摩擦抵抗が大きくても、その分、モータのパワーを大きくしておけば問題無いので、電圧降下量が小さい事は、メンテナンス頻度を少なくする事が出来る事なので、この方が動力車としては有利かも知れない。 ただし、時間経過による各部の汚れによる電圧降下量の推移を調査して置く必要があるだろう。
(以上 2015/3/6 追記)
速度特性:
動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
前進と後退は、少しズレてはいるが、構造上から考えてもほぼ同じ特性と判断される。スケール速度80Km/hは、電圧でみると、3.5volt近辺である。
1voltを超えるあたりから動き出し、低速走行も安定している。
牽引力特性:
動力車の牽引力特性を測定する。電圧3.5voltでの牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。 負荷の増大にたいしても、ほぼ一定のスピードを確保しているので、坂道等でのスピード変化は少ないが、重連には注意が必要であある。
制動側も意外と安定しており、データも安心して測定出来た。