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直流電気機関車:   EF65 1124  (1000番台)

 

実車プロフィール

 EF65-1000は、EF65形の高速客貨両用タイプ(PF形)として昭和44年(1969)に登場し、ブルートレインから一般貨物列車まで、全国の直流平坦線電化区間で活躍する日本を代表する機関車です。

 1124号機は、昭和54年6月東洋電機と川崎重工で製造され、JR西日本所属で下関に配置されている。塗色は 特急色が施されている。

 

模型プロフィール

メーカー : KATO
商品名 :  EF65-1000 (後期形)
   (セット名) EF65-1000 24系ブルートレイン4両セット
品番: 3035-1 (セット:10-015)
車両番号: EF65 1124
発売日 : 2000年
入手日 : 2006年9月25日 新品購入(2004年再生産品)
定価 :  \9,975.-(セット) \6,510(単品)

 分解調査

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● フライホイール搭載。
● ヘッドライト点灯、LED方式。
● カプラーの交換: アーノルドカプラーからマグネマティックカプラー No.2001 (品番:11-712 )に交換する。 その後、さらにナックルカプラーに交換する。
●「KATO Nゲージアーカイブ」によると、 KATOの電気機関車として、このEF65(3035-1)は、4代目モデルと思われる。 ボディーマウントのカプラー、板ばねを用いた集電、フライホイール搭載など、改良されたタイプの機構である。

 

連結面間距離(ナックル)
116.5 mm
動輪直径
7.4 mm
車体重量
90.8 gr
台車中心間距離
67 mm
駆動系ギヤ比
19.0
前動輪荷重
40 gr
台車軸距離
17.5 mm
フライホイール
φ10.4×7.5 - 2個
後動輪荷重
40 gr
 ● 車体を取り外した状態を示す。

● 分解状態を示す。

●動力部の機構

 このシリーズの特徴は、フライホイールを採用していること、モータ軸とウォーム軸はジョイントで連結されていること、ダイカストフレームは一体的に作られていることなどであろう。

 フライホイール付きのモータを右に示す。

 モータ軸とウォーム軸は一直線に配置されている。 また、中間のジョイントは、フライホイール方式の標準タイプとは異なり、下記の写真の形状をしている。 これは、車体の長さが、他の電気機関車シリーズより短いため、このジョイント部を工夫することによって、モータなどの共通化を図ったものと推察する。

ジョイントのモータ側は、6角形をしており、フライホイールの6角穴に挿入され、回転を伝達する。 他端はお椀形になっており、スリットも形成されている。 ウォームに圧入された球形の樹脂に角が出ており、スリットと噛み合って回転を伝達する。 ウォーム軸の軸受けは樹脂製で、含油軸受けは使用していない。

  ホイールギヤは、ウォームと噛み合う歯が、m = 0.4、Z = 19、アイドルギヤと噛み合う歯は、m = 0.3、Z = 17 の2段になっている。 動輪の直径はφ= 7.4 mm 動輪の歯車は m = 0.3、Z = 17であるため、モータから動輪までの減速ギヤ比は、i = 19.0 であった。

 集電子を使った集電構造の採用により、一体的に作られダイカストフレームは電気的な導電体の機能を持たせていない。 これらの機能とシースルーの運転台表現のために室内の空間が使われ、重りとしてのフレームの機能は減少し、車両重量の低下を招いたため、粘着領域での牽引力は小さくなっているものと思われる。

 

動力特性

 【2014年12月】 改良した動力特性測定装置を使用して性能特性を再測定する。 この改良された測定装置では、従来の項目に加えて、走行中のモータ端子電圧とモータ回転数の測定を可能にしている。 測定対象にしたEF65-1124号機は邪魔になる車体を取り外し、回転センサや測定用の導線などをセロテープで止めている。 また、厳密ではないが車体重量を合わせるために重りも追加した。    2014/12/30 追記

↑ 測定対象の動力車(EF65-1124号機)と測定車の装備

● EF65-1124号機の測定時の重量: 91.9グラム、 測定車の重量: 92.5グラム、  走行抵抗: 1.2 グラム





******************************   牽引力特性   ******************************************



 

速度特性:

 平坦路にて走行させ車速と電圧、および電流と電圧を測定し、走行性能を計測する。 

  測定日: 2014年12月28日
  測定車の測定ユニット:モデル3
  スケッチ: New_Keninryoku_test5

 走行は安定した走りであったが、データを見ると、少しバラツイテいる。 また、電流特性も非線形の様子である。

 この速度特性について、2011.11.16 作成時の測定データよりも、速度がかなり落ち込んでおり、低速性能も悪化している。 測定前に分解掃除して、メンテナンスは充分なはずなのにである。 この現象は、ED75 - 1001号機でも観察された現象なので、製品自身が悪化したと言うよりも、測定方法に何か問題があるかも知れないのであるが、新しいデータの方を信用して置く事にあする。

 また、集電回路の電圧降下の変動だけでは、モータ端子電圧とモータ回転数の関係には影響しないのはずである。 このため、低速領域での速度のバラツキは、電流値も変化している事を考える事ができる。 即ち、伝達系などの摩擦抵抗がふらついているため、モータの負荷が変動し、そしてモータの回転数が変動したのではないかと推察する。

 電圧降下量については、 0.7 〜1.1 ボルト前後でバラバラとしているには、他のモデルと同様の現象である。

 このモータ回転数から計算したスリップ率は - 2 〜 + 3 %前後と納得がいく値を示している。 ただ、低速領域でのtp/ttの変動が多くくなり、これによってスリップ率が大きくなっているのは、何故だろうか。

 

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牽引力特性:

 次に牽引力特性を測定した。

 測定日: 2014年12月28日
 測定車の測定ユニット:モデル3
 スケッチ: New_Keninryoku_test5

 

 各グラフを簡単に説明しておこう。

 まず、牽引力と車速グラフは従来の表示方法に加えて、モータ回転数から計算したスリップ率ゼロの場合の車速度を重ねてプロットしてみた。 M と表示したプロット点である。 牽引力と電流のグラフは従来通りである。

 電圧降下のグラフは、レールに供給する電圧とモータ端子電圧の差を計算したもので、車輪とレール、車輪の軸受部、台車の集電子と車体との間、の接触抵抗による電圧降下量である。 当然、プラス側とマイナス側の合計値である。

 この電圧降下量を電流との関係と牽引力の関係とでグラフ化している。

 次に、モータの規定回転数をカウント完了する時間 tp と速度計測ゲートを通過する時間 tt との時間比率 tp/tt をグラフ化して、車速とモータ回転数の比率を見ている。 この比率が変化する事はとりもなおさず車輪が滑っている事を示している。 そしてこの値をもとにスリップ率を計算してグラフ化している。

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 まず、牽引力と車速グラフより、牽引力側のスリップ領域では、スリップ限界のかなり前から車輪が滑り始めているのが分かる。 その様子はスリップ率のグラフでも明確に表示する事が出来るようになった。 注目していた制動領域での振る舞いは、制動力が増加しても、モータ回転数と車速は殆ど変化せず、最後には車輪がスリップするため、車速のみ増加している様子である。 これは、ウォームの歯面で発生する摩擦トルクは殆ど変化しない事を示しているのではないだろうか。

 また、供給電圧が5ボルトの時には、速度のバラツキが大きくなっている。 測定中でも前照灯がチラツイテいるののがはっきりと観察されるので、集電性能が不安定になっていることが予想される。

 電圧降下は、6、7ボルトでは比較的安定し、綺麗な傘形パターンであったが、5ボルト時には値が大きくなってさらに変動も大きくなっているので、てっきり車輪が汚れたと思い、測定後に車輪の走行面を観察してみた。 右の写真。 すると車輪は綺麗なものであり、レール面を見ても指に少し黒いのが付く程度で、とても0.5 ボルトも変化するものとは思えなかったのである。 

 この電圧降下量の測定は、自分自身でもまだ信用していない点があり、本当にこのように不安定な現象なのか、確信がもてないでいる。

 一方、tp/tt のグラフは、ピタリと一致した安定的なグラフをしめしており、その結果、スリップ率のグラフも綺麗なパターンを示している。

 これは、モータ回転数が安定して計測出来ている事を示していると判断しているが、ただ拡大表示すると測定誤差の影響で少しバラバラとしたグラフとなっている。

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まとめ:

 このEF65-1124号機は、今となっては古いモデルとなっており、台車の保持機構と駆動機構が変更された新しいモデルとは少し様子が変わっている点に注目しておこう。 やはり傘形の電圧降下量のパターンを示しており、構造的な要因が絡んでいるように思われる。

 また、低速性能は、最近のモデルよりも劣るが、駆動機構の摩擦抵抗と集電性能(電圧降下)の影響ではないかと疑っている。

 今後も、色々な車両を手当たり次第測ってみる必要がありそうである。

 (以上 2014/12/30 追記)   

 

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 以下の記述は、2011.11.16 再編集時の記述である。

 

 今回、傾斜式測定法で、再測定を実施した。 そして、モータ単品での電流・電圧特性の追加や、制動領域での牽引力特性の測定を詳しく実施する。

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速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 
 スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4volt近辺である。
2voltを超えるあたりから動き出し、低速走行も非常に安定しスムーズである。 走行音も静かでレールのジョイント音が聞こえるのみである。

 モータ単品状態で、シャフトを固定させた場合の電流値の上昇具合から推定すると、モータの巻線抵抗値は、13Ω程度と推定する。 走行時にはヘッドライトのLED消費や駆動部の摩擦が付加するが、摩擦損失は小さいようである。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を傾斜式測定法で測定する。電圧4voltでの牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。

 「傾斜台の改良」で述べた、このEF65-1124号機の測定データの異常について、しげしげと足回りを観察した結果、中間台車の車輪のひとつが軸受から外れ、回転不良の状態であった。 この車輪の不安定な走行抵抗がデータ不良の原因であると思われる。 修理後の再測定の結果を右のグラフに示す。 2回のデータの差異は無いと判断出来、測定データの信頼性がアップ出来たと考えている。 この件があってから、測定は2回実施するようにしている。

 制動領域では、見事なS字カーブを描き、なにか構造的な特徴があるような気がする。 走行中は非常にスムースで、ぎこちない動きは何ら認められなかった。 駆動系の摩擦抵抗は 5gf 程度で少ない部類に入る。