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交直流電気機関車:   EF81-151

 

実車プロフィール

  EF81形は直流機のEF65形をベースにされ、1968年から製造が開始された交直流電気機関車である。異なる方式で電化が進捗した日本海縦貫線において、50Hzおよび60Hzの交流電化区間と直流電化区間を直通して走行できる三電源方式の電気機関車として開発された。

 寝台特急や貨物列車で活躍していますが、機関車牽引列車の減少で廃車が発生し、さらに、2010年よりEF510が投入され運用範囲が狭まっている。

 151号機は1979年に三菱電機にて製造され、JR東日本の長岡機関区で活躍する。

模型プロフィール

メーカー : TOMIX
商品名 :JR EF81形電気機関車
       (長岡運転所・ヒサシ付・東日本色)
品番: 2198
車両番号: EF81-151号機
発売日 : 2003年10月
入手日 : 2015年4月 中古品購入
定価 :  \6,480.-

諸元と分解調査

 

連結面間距離
125.0 mm 
車体重量
107.0 gr
前台車動輪荷重
49.3 gr
後台車動輪荷重
50.5 gr
動輪直径
φ7.7 mm
ギヤ比
i = 20.95

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● カプラーは、ナックルカプラーに交換する。

● 古い品番の物であるが、綺麗な状態であったので入手する。

● TOMIXの動力機構の参考のために分解してみた。 ボディーを外すとすっきりとしたシャシーが現れた。 見慣れたKATO製とは様子が異なっている。 前照灯もコンパクトに収められている。 しかし、モータなどの内部機構は、シャシーの隙間からわずかに見える程度であり、モータの回転数を検知するセンサーが取り付けられない・・・・・・・! 

● しかし、シャシーを分解してみると、フライホイールも装着されていないことが判り、いずれにしろモータの回転数を検知するには難しそうであった。 KATOは、1989年モデルからフライホイールの搭載を始めているのに、TOMIXは2003年でもまだ未装着であったとは驚きである。 その必要性を認めていなかったようである。

● 分解した部品を下に示す。

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● 台車を分解した状態を下に示す。 ウォームは、昔のスプリング式のウォームの形状を踏襲している様であった。 ウォームとホイールのモジュールは、m = 0.4、ホィールの歯数は、 z = 20 でスキューが施されていた。 ホイールと2段ギヤを構成するもう一方の歯車は、歯数 z = 21で、アイドラを介して動輪のギヤにかみあっているが、これらの歯車は モジュール m = 0.3 で構成されていた。 そして動輪のギヤの歯数は z = 22であった。 従って、減速ギヤ比は i = 20.95 となる。

● この台車を分解して再組み付け時に、思わず目を疑ってしまった。 下右の写真を見ていただきたい。 台車を転がすとなんとウォーム軸が飛び出してくるのである。 そして、ウォーム軸は台車組み付け後でも抜き差しが出来るのです。 理由は、ウォーム軸の一方のスラスト軸受が無いのです! これにはびっくりですね!

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● この電気機関車は前進でも後進でも出来ますので、このウォーム軸には前後のスラスト力が掛るはずです。 すると、軸受の無い方向にスラストが掛るとどうなうのでしょうか? 黄色のジョイント棒を介して、モータのカップリングで受け止めるしか有りません! エー! ユニバーサルジョイントでスラストを受けるって?

 機械設計屋の端くれとして、この設計には脱帽です。 コストやスペースの制約上、止む無く採用した構造なのでしょうか? それともTOMIXの設計ポリシーなのでしょうか? それとも設計ミス?

● このモデルと同時に調査した、EF510-4号機(TOMIX品番: 2162 2005年発売)では、両側のスラスト受けがばっちりと設計されていますので、このスラスト受け無しの設計思想は、TOMIXの設計ポリシーとは思えない無いのですが・・・・・・・・・・・。

● このような訳で、TOMIXのいろいろなモデルを調べたくなりますが、そのために敢えて古いモデルを探すのは止めときます。

● モータは、中間台車の支持部と一体になった部材で保持されており、モータも古い形であった。 右の写真。 この辺も古い設計の様ですね。

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● もう一言。 この車両をケースに収納する時に、アレー? と思った。 ケースに収納する時は、車両の正式側を表にして収納するものと思い込んでいるので、そのようにしてケースに入れようとしたが、突っかかって入らないのである。 良く見ると天井の部材が発泡スチロールの出っ張りと干渉して収納できないのである。 不思議に思って、車両をひっくり返してみるとスッポリと綺麗に収まるのである。

 改めて、1エンド側などの記号や、ボディーの裏側に示された矢印記号を確認するが、1エンド側を右にしないと収納できないのである。 TOMIX の場合、ケースはそういう設計になっているのかと、他のモデルを確認したいところであるが、小生のコレクションにはTOMIX 製が少ないので断定できなった。

 

動力特性

● 動力特性の測定のために、モータの回転数検知センサを取り付ける。 このモデルはフライホイールが無いので、ウォーム軸の端にあるフランジの部分を利用しることにした。 アクリル絵具で白黒のマーキングをした状態を下左に示す。 また、左右のフレームについては、赤外線の反射を防止するために周りの部分を、光沢がないこと、容易に消し去ることが出来ることなどを考慮して、黒いアクリル絵具を塗っている。 下右の写真。

● 組付けた状態を下左に示す。 フレームの隙間からフランジ部分のマーキングを覗く事が出来る。 センサーからの距離が少し遠いようで、かつターゲットとして小さいと思えたが、このまま実施してみることにした。

● センサーを取り付けた状態を下に示す。 測定台にて実際に走行させてみると、やはりモータの回転数センサは機能しなった。 センサーをターゲットを大きくする事は出来ないので、センシングレベルを調整し直すか、あるいはフレームがセンサを削って、センシング距離を近づけるなどの手を打つことも可能だったかもしれないが、そこまでこだわる事は無いと判断して、モータ端子電圧だけを測定することにした。

● 測定日: 2015年12月23日、  EF81-151号機の測定時の重量: 100.2 グラム、 測定車の重量: 76.9 グラム、 走行抵抗: 0.3 グラム

 

1)速度特性:

 動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を下に示す。 速度特性としては、ややバラツキが多いように思われるが、これは構造的な原因なのか、モータの特性なのだろうか。 古いモデルなので電流値も大きめである。

2)牽引力特性

 85.1 グラム (走行抵抗:0.85グラム) の重り車両を牽引させて牽引力を測定した。 データのバラツキはやはり大きい。 駆動側のスリップ限界はおよそ30グラム、制動側も30グラム程度と読み取れる。 しかし、スリップ状態はかなり手前より発生しており、駆動側では16グラム辺りと推定されるが、制動側ではハッキリと読み取れない。 その上に、ギヤの噛合い状態が変化する遷移点も読み取れなかった。 これはデータのバラツキ、即ち、駆動機構の状態が不安定であることに起因していると思われる。

 電圧降下のグラフを見ると、その値は、0.8〜1.4ボルトにバラツイテはいるものの、一定な値を示している。 KATO製のようなピポット軸受部からの集電と違って、車軸に接触させる方法を採用しているので、力や速度には影響されないのでは無いかと考えられる。