キハ58-303号機

 この車両は、キハ58系 急行形気動車 5両編成(1M4T) の中の動力車である。

● 主要諸元はまだ未測定である。

連結面間距離
 
車体全重量
68.8 グラム
ギャ比
 
台車中心間距離
 
台車軸距離
14.0mm
動輪直径
 

● この車両の動力ユニットは、テープLED式チラツキ防止タイプの室内灯も組み込んでいる。

 

分解調査

 

■ 分解調査

 まず、車体を取り外した動力部の状態をから観察しよう。 側面の正式側と反対側を下に示す。

 また、座席のある上面と床下下面を下に示す。

 そして、動力台車を取り外した状態と、床下カバーを取り外した状態を示す。 モータが見えてきました。

 上面の座席シートを取り外します。 すると基板が見えて来ました。 下右は座席シートの裏側です。 照明用スライドスイッチが見えます。

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 カプラーなどを外すと、モータが収まっているシャシー部分が分解できました。 両端は同じような部品で構成されていたので、再組付け時に間違えないようにマジックで印を付けておきます。

 分解時に、集電シューが干渉しますので注意して外しました。 再組付け時は、シューの干渉具合とはめ込み具合に注意しましょう。

 

 シャシーはダイカスト一体形で構成されていました。 モデルによって形状が様々ですが、標準モデルはあるのだろうか。 それぞれのモデルによって事情がことなるので無理なのかも知れません。

 

 モータと基板を分解しようとしたのですが、これを規制している白いクリップがなかなか外れませんでした。 これ以上分解するにはこのクリップしか無いと思ったのですが、諦めることにしました。 下左の写真。 モータを保持しているホルダーと基板をガッチリと固定しているようです。

 基板の回路を観察すると、前方側には表裏にチップLEDが取り付けられており、並列にチップコンデンサが設置されていました。 そして、560Ωのチップ抵抗もありますので、スナバ回路を構成しているものと推察します。 基板の品番が3057ですので、この品番を探すと「EF63 1次形」と「EF63 2次形」が出てきました。

 ヘッドライト/テールライト点灯(消灯スイッチ付)とのことですが、一般的にはパルス方式のハイパーD対応には加工が必要とのこと。 例のコンデンサの件ですな。 でも、このキハ58用には既にその対策をしているものと考えますので、心配ない様です。

 

 

動力特性

   新しい動力特性測定装置と処理ソフトを使用して動力特性を測定しました。 測定装置などについては「動力特性の新自動測定システムを使う」(2022/6/16)を参照ください。

● 測定条件

 測定時の状態を下に示す。 

 

1)速度特性:

 動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を下に示す。

 車速・電圧特性について、電圧が4.5ボルトでスケールスピードが80Km/h となり、使いやすい設定です。 また、電圧を8ボルトにすると180Km/hのスピードが出ますので充分な速度となります。 低速についても、超微速でも非常に滑らかであり、コアレスモータ並みの走りを実現しています。

 電流値は40〜60mA程度でかなり小さな値です。 この車両は、室内灯としてチラツキ防止式のテープLEDが装着されていますので、7ボルト付近より電流が少し増加しています。

 

2)牽引力特性

 スケール速度が通常運転範囲として、80Km/h 〜180Km/h程度になるような電圧値を設定して牽引力を測定しました。

 スリップ領域での牽引力は、20グラム程度です。 15グラムを超えるあたりから動輪はスリップを初めています。 また、制動領域での偏移点は約3グラム近辺で、動力機構の摩擦は小さいです。