東北道新幹線 E2系 はやて/あさま動力車 E226-300号機 

実車プロフィール

 

 

模型プロフィール

● メーカー: TOMIX
● 品名: E226-300
● 品番: ----
● 発売年 : 2004年発売
● 購入日 : 2009年11月新品購入

諸元と分解調査

 この車両は、東北道新幹線 E2系 はやて/あさま の中の動力車である。 この動力車の走行は、ギクシャクとした走りと大きな音がするのです。 ウォームギヤ部が原因と推察して調査を兼ねて分解してみましたが、原因がよく分かりませんでした。 また、この動力車のモータを外し、問題の無いE4系Maxと連結させた編成で走らせることにしましょう。

 

■ 分解調査

 まず、車体を取り外した動力部の状態をから観察しよう。下左の写真。 そして、台車の横の部分をこじって台車を外します。 下右の写真。

 すると、その奥にはウォームと左右の集電シューが見えて来ます。 右の写真。

 なお、このモデルの分解にあたっては、組付け方向が決まっていますので、途中でマーキングをしながら分解して行きましょう。 台車に構成されているカプラーは左右で異なっていますので、編成を組み時にその方向が決まってきます。 そして、車体、座敷シート、床下カバーも組付け方向が決まっています。 組付けミスを防止するポカヨケを配慮した設計になっていないので、組付け時に注意するしかありません。

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 次に、側面の爪をはずしながら床下カバーを外します。 同様に座席シートも外します。 すると、絶縁ゴムシートに覆われたシャシーが現れます。

 絶縁シートを外し、ウォーム保持部材を外すと、モータも取り出す事ができます。 また、モータにはノイズ防止用のコンデンサが接続されています。 コンデンサの記号は 472 と記されていたので、 0.0047μF でしょうか。

 分解した部品を並べてみました。

 座席シートの表側(下左の写真)と裏側(下右の写真)の状態です。 集電シューの接触部が汚れている場合は、ここでクリーニングしておきます。

 フレームはダイキャストの一体成型品です。

 床下カバーの表と裏を下に示します。

 次にモータを見てみましょう。 フライホイール未装着のマグネッとモータです。

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 次に台車を見てみましょう。 このモデルには、まだ通電カプラーのための細工はしてありませんが、このモデル専用のカプラーです。

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■ 構造上の疑問点

 さて、元機械系技術者の目から見た問題のウォーム部の構造を見てみましょう。 シャシーにはめこまれたウォーム部の状態を下左に、そのウォーム部を取り出して分解した状態を下右に示します。

 最初、疑問に思ったのはウォームシャフトのスラスト軸受けが無い事です。 ウォームの先端は、歯を切ったままの端部であり、ここでスラスト力を受けるようです。 一方、ウォームのモータ側に掛るスラスト力は受ける所がありません。 ウォーム軸が保持部からスポット抜けてしまうのです。 このスラスト力はどこで受けるのでしょうか? ジョイントの頭の部分を介してモータ軸で受け止めるしかありません。 変な構成ですね。 設計者は、ウォームギヤの構成と作用を理解していないものと推察します。

 動輪の駆動力は、ウォームギヤ部のウォームホイールの回転トルクによって駆動されているが、このホイールの回転力を生み出す力は、ウォーム軸のスラスト力なのである。 そして、その反力はウォーム軸のスラスト軸受けで保持すべきなのであるが、その軸受けが無いと言うことは・・・・・・・・・? メカニズムを理解していない設計者なのだ。

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 改めて、TOMIX動力車の分解調査報告を探してみると、同様の構成のモデルがありました。 「電気機関車リスト EF81-151」(2015/12/23)です。 このモデルの発売日は2003年10月ですので、同時期の設計品の様です。 性能測定結果では、問題無かったようで、今回のモデルのようなガタガタ走行にはならなかったようです。

 その他のモデルについて見てみると、2005年のEF510、E4系Max、2008年のN700、2009年のED75など、他社と同様に確実なスラスト軸受けを設けた設計になっています。 今回の設計は、以前のスプリングウォーム方式をからの改良のために実施した設計変更と推察しますが、疑問の残る設計と思います。 また、承認した上司設計審査のシステムなども疑います。 既に改良済みなのでとやかく言う必要は無いのですが、この時期のTOMIX製の中古品に手を出さないので賢明でしょう。

 本来なら、リコールとは言わないまでも、回収して設計変更品と交換してもらえると有難いですね。 

 

動力特性

 未調査ですが、走行性に問題があるので、そのニーズは無いでしょう。