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小型蒸気機関車: 600 A8 機関車

 

実車プロフィール

 A8系と呼ばれる形式群の基幹形式である500形・600形・700形は、1886年に輸入された形式J(400形)が期待どおりの成績を示したことを受け、1897年から重量とシリンダ寸法を増大して牽引力を増すなどの改良をして増備されたものである。 500形はダブス社、600形はナスミス・ウィルソン社、700形はバルカン・ファウンドリー社で、いずれもイギリスのメーカーである。

 この600号機は、磐城セメントに譲渡され、戦後まで専用線で活躍した。

模型プロフィール

メーカー : ワールド工芸
品名: ナスミスウィルソン A8形式600 磐城セメント 四ツ倉仕様II 蒸気機関車 (組立キット)
車両番号: 600
発売日 : 2013年11月
入手日 :2013年11月 新品購入
定価 : \18,900.-

● 真鍮製組立てキット  組立て: 2013年11月  

分解調査

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● 真鍮製組立てキットの組立て工作の状況は鉄道模型工作室の「ワールド工芸のナスミスウィルソンA8型を組立てる」 を参照下さい。 まだまだ未熟である。 あの有名サイトの組付けレポートを参考にすれば、もっと上手に仕上がったのにと悔やまれる。 すこしあせり過ぎたようである。

● 車両番号は、組立て時には3号機を付けていたが、我が思い出の620号機に近い600号に変更する。

● カプラーは後ろはKDカプラーを、まえにはシンキョーカプラーを装着。

● 従輪の車軸は首振り機能があるためミニレイアウトの走行可能である。

連結面間距離 69.0 mm ギャ比 i = 19
車体全重量 36.6 gf 動輪直径 D = φ8.3 mm
● 塗装後の分解写真を紹介する。 何度も分解組付けを実施していたので、あちこち塗装が剥げているところがある。

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● 右上の写真は、苦労した前面のカプラーボックスである。 もじゃもじゃしているのは、カプラー用のばねとして押し込んであいるスポンジです。

● 右の写真は、ボディを裏側からみたもので、車両の重量をアップさせるために、いつもの水草の重りをボディの空間に詰込んだ状態です。 重りは動輪の位置を考えて、ボイラー前方とコールキャンバに、バランスを考えながらしっかりと押し込んでいます。 これによって車両重量は、25.4 グラムから36.6 グラムと44%もアップさせることが出来ました。

● 次に動力ユニットを示す。 この部分は性能に影響が出る恐れがあったので、まだ塗装していません。

● 部品を分解した状態を下に示す。

● フレームを見て行こう。 モーターボックスのハンダ付けにでは反省点がいろいろありますが、なんとか機能している。

● このモデルは、車軸が分解出来る構造である。 動輪押さえは左下の写真のようなプレートで、フレームの外側にネジ止めされる。 ギヤ類は右側のフレームの内側に装着される。 

  

● 動輪とシリンダーを上に示す。 モータは丸い小型のカンモータである。 ギヤ類は中心にネジが切られている金属のブッシュで軸支持されており、金属ブッシュはフレームの外側からネジ止めされる。

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● このモデルの動力機構のイラストを左に示す。 モータ軸にはモジュール m = 0.4 の一条ネジウォームが固定されている。 ウォームホイールは、歯数 z = 19で、 2段ギヤとなっており、 z = 10 の小ギヤによって、動輪のギヤに伝達されている。 第1と第2動輪のギヤは z = 10 で、同じく z = 10 のアイドラギヤを介して噛合っている。

● 動輪ギヤと小ギヤの歯数は同じ z = 10 なので、動輪を1回転させるると、ウォームホイールもちょうど一回転する。 このためにはウォームホイールを一回転させるために必要なモータ回転数は、ウォームホイールの歯数 z = 19であるので、19回転必要となる。 即ち減速ギヤ比は、 i = 19 となる。

● サイドロッドは、第1動輪と第2動輪がピン結合されているが、このサイドロッドが無くても各動輪は歯車伝達によって回転出来る。

● この機構に於いて、アイドラギヤの軸位置が動輪の軸の位置よりも下にあるのが特徴的であるが、動輪の分解組付けには不利となっている。 動輪押さえを取り外してもアイドラギヤが邪魔して動輪が抜けないのである。 ギヤを分解するか、サイドロッドを分解しなければ動輪を外せないので、アイドラギヤの位置を変更すべきであると思う。 あるいは前方のアイドラギヤを廃止して第1動輪をロッド駆動だけにすればよさそうである。 今度組付ける時には試してみよう。

【追記】  再組付け時にこの方法を試してみた。 第1動輪に噛合うアイドラギヤの組付けを止めてみると、思った通りに動輪の組付けは容易であり、スイスイト組付けられた。 組付け後の走行テストでもスムースであり、問題無く走行出来ている。 心配はサイドロッドのピンの強度だけであるので、注意して走行させるようにしよう。
  また、気になっていた動輪の浮きについて、この再組付け時にチェックしてみた。 動輪を組付けた状態で線路に乗せ、フレームを上から指で押さえた状態で、各車輪を横に動かしてみる。 車輪と線路が接触して力が掛っている場合には固くて動きにくいが、浮いている場合には軽く動くのである。 このチェックにて第1動輪が浮いている事が判明したので、先輪の軸受け部をやすりで少し削り、第1動輪と第2動輪が着実に接地するように調整した。 車体の重量が着実に動輪に掛るようにしたのである。

● 次に従台車のユニットを左下に示す。 また。前方のカプラーポケットを右下に示す。 なんとかセンタリング・スプリングを組付けたいですね。

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。

 測定実施日: 2013/12/3 および 12/12

 

速度特性:

 速度特性を右に示す。 5ボルト以上ではなぜか急にデータがバラツイテしまった。 このことは測定中では実感できなかったが、なぜだろうか? もっとも、この車両をこんなスピードで走らせることはないので、実質的には問題ないのである。

 先日、「小型蒸気機関車の重連」で報告したように、この A8-600 号機は同じワールド工芸製の南薩5号と速度特性が殆んど同じであるので、容易に重連させることが出来る。 また、スケール速度80Km/h を出すのに 4 Volt弱であり、一般的なNゲージと比較しても同じようである。 このため、Bトレなどの車両動力とも相性が良さそうである。

牽引力特性:

 次に牽引力特性を測定する。 粘着牽引力はおよそ4グラムである。 負荷が掛ると速度の落ち込みが大きいが、これはモータのパワーが小さいためとすいていする。 この特性は重連向きであり、坂道では粘強さが有るように見えるのである。 6ボルトでは速度特性と同様にデータが暴れており、バラバラのデータとなっている。

 ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は電流値のグラフから推察して、、- 2 グラム付近ではないかと思われる。

 また、トーマモデルの B6 2272号機と比べて牽引力特性が大きく異なっている。

 これは、モータのサイズとギヤ比の設定が異なるためであるが、特性の安定性は2272号機の方が上であると云っも過言はないであろう。