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小型蒸気機関車:   C11 248

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 この動力部を借用して機関車トーマス号を作った。 「きかんしゃトーマス号を組み付ける」(2016/5/1)。 ヘッドランプが未装着モデルなので、おもりの先頭部分がトーマス号の内側としっかりと干渉してしまい、内側をゴリゴリと削る必要があった。 また、動力ユニットをC11-248号機に戻すことも考えているので、動輪やシリンダの塗装は止めにすることとした。

 

実車プロフィール

 動輪3軸に、先輪1軸・従輪2軸(1C2)という軸配置を持つC11は、わが国のタンク式蒸気機関車を代表する車両で、昭和7〜22年(1932〜1947)に381両が製造された。

 国鉄時代は小形で客貨両用に使用できるために重用され、全国で活躍した。 現在でもJR北海道、JR東日本、真岡鉄道、大井川鉄道などで運転が行われており、人気を博している。

 

模型プロフィール

メーカー : KATO
製品名 : C11
品番:  202
車両番号: C11 248
発売日 : 1978年 
入手日 : 2013年7月 中古品入手
定価 :  \4,800.-
 

分解調査

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● 本品は、KATO のC 11初期製品の一つと判断し、動力部の調査のために入手する。

● ステンレス製ロッド類、ライト未点灯、シール式ナンバープレート、重連用カプラー装着可能などの特徴より、1978年モデルと判断する。  販売されたのは、昭和56年12月。

● 従台車の制約により、ミニレールは走行不可。

● カプラーはカトーカプラーに交換する。

● 主要諸元:

連結面間距離 96.5 mm 車体全重量 68.2 gf 先輪車軸荷重 1.4 gf ギャ比 i = 28
    動輪車軸荷重 52.5 gf 従輪車軸荷重 14.3 gf 動輪直径 D = φ11.0 mm

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● ボディを外した状態を左に示す。 タンク車であるので特異な形状の重りが目立つ存在である。 コールバンカには大きな空間があり、その後のモデルでは、ここにバックライトが装着されるようになった。

● 下の写真はこの動力ユニットを側面から見た写真である。

● sらに、動力ユニットを上からと下から見た写真を下に示す。

● 次に、分解状態を下の写真に示す。 

● 左右のフレームの内側と外側の写真を次に示す。

● 以前調査したモデルと比較してみよう。 品番が 2002 のC11-227号機や、C11-155号機のフレームとは、形状が同じだ・・・・・・と思って見ていると、KATOマークや、2002R /2002L の刻印も無い。 また、外側の飾りも無いので、品番が2002 に変更された時点で、新しく鋳造型を起こしたものと思われる。 前のモデルでは、第1動輪もギヤ駆動されていたようで、そのためのアイドラギヤ用の支持軸が残っている。
● 動輪関係を下に示す。 第1動輪の軸がプラ製で太い。 ギヤ付き軸からギヤを取り去った形状である。 動輪の歯車の幅が広いのが目に付いた。 モータは最近のモデルと同じ様である。 丸い白色のマーキングは何かの識別用と思われる。 C11-227 号機( 2007年再生産品)のモータと比較しても、まったく同じである。 一つだけ違いを見つけたが、それはブラシホルダーの先端に開いている穴の径が少し小さいと云う点だけである。

● モータを保持する部品を下に示す。 バックライトは未装着なので、形状が少し異なっていた。 2枚のギヤはC11-227 号機と同じである。このギャも幅広である。

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● 動力部の構造を左のイラストに示す。 ウォームとホイールギャ、アイドラギャ、および動輪のギャの4点で構成され、至ってシンプルな構造である。 動輪を一回転させるには、動輪ギャの歯数が 28 枚なので、ギャの歯を28枚送る必要がある。 このため、ウォーム軸は28回転必要なので、ギャ比は i = 28 となる。

● モータは、左右のフレームの小さな溝とモータ端部の押さえで保持するのであるが、その保持力は弱く、ウォームは容易にねじれてしまう。 これで大丈夫だろうかと心配になるが、コの字形のプラスチック部材と重りによって、ガッチリと保持している。

● アイドラギャの中心位置が動輪の軸と殆んど一直線になっており、バックラッシュの確保などには有利とおもわれるが、動輪の組付けには、一苦労しそうである。

● そこで今回の再組付け時には、リターンクランク・ピンを取り外して動輪を組むことにした。 まず、第1動輪と第3動輪をサイドロッドを組込んだ状態で、フレームに取り付ける。 この時は、ギヤとロッドの位相合わせに気を配る必要な無い。 その後、第2動輪を組付けるが、クランクピンの位置を確認しながら、ギヤを噛み合わせる。 確定したら、動輪押さえを組付けて、動輪の外れを防止する。 この状態が下の左の写真である。 動輪の組付け作業中は上下を逆さにして作業している。 この間は、ウォームを組込んでいないので、車輪を自由に回転出来るため、コジレなどのチェックが容易に実施出来る。 

● 異常なければ、他のロッド類を組込んで動作をチェックする。 下の右の写真。 そして、ネジ類を少し緩めて、モータを取り付ければ駆動部の組付けが完了する。

● 動輪押さえと、先台車、従台車を下に示す。 このC11モデルの従台車からの集電板は、現在のモデルでも継続して採用されている特殊な形状である。

● この古いモデルを分解してみて、KATOの蒸気機関車の基本構造は、30年以上も殆んど変更されていないと言う事を知った。

      ・・・・・・・・・・・・・・ 鉄道模型とは、こんなに息が長い製品(商品?)なのである。 長い間、同じものを作り続け、売れ続けている物なり!

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。  測定実施日: 2013/9/28

 

走行状態:

 この車両は、最近になって中古品を入手したものであるが、30年以上も昔の製品なので、スムースに動くのかどうか心配した。 分解調査にて見る限り、丁寧に扱われてきたようであり、走行には問題ないと判断していた。

 実際に走行させると、音がやや大きい事と、低速で少しぎこちない様に感じられたが、意外とスムースに走行していた。 1977年モデルのD 51の様な大きな走行音はしていなかった。 たった1年でのメーカーの改良とも思えないし、モデル違いなのか個体差なのかは分からない。

 下記に示す動力性能に関しては、現在市販されているモデルと比較しても遜色のない特性を示し、安定した走りをみせていた。

 

 

速度特性:

 初めに単機平坦路での速度特性を測定する。

 スケール速度の80Km/h を出すには、 4.0 Volt 必要であり、一般的なNゲージと言える。  しかし、この設定がやや高目と感じられるのは最近の低速志向のモデルに慣れてきたせいだろうか。

 また、速度のバラツキは小さい部類であり、安定した走りであると言えよう。 そして、スケール速度で20Km/h 程度の低速でも、スムースに走行出来ている。

 電流も、100〜150 mA であり、一般的なNゲージと言える。 そしてそのバラつきも少ない。

 

牽引力特性:

 次に牽引力特性を測定した。

 右に示すようにデータのバラツキは少なく、安定して特性を示している。 駆動側では、負荷が10グラムぐらいから動輪が滑り始め、およそ20グラム近辺で粘着限界に達している。 しかし、4.0 Volt 設定では、12グラム程度と少ないが、これは、ゴシゴシと線路を磨く滑り量が少ないためではないかと考えられる。

 一方制動側では、-13グラムを超えてから滑り始めているようであり、電圧が変化しても同じ特性に乗ってくるのは珍しい現象である。 また、電圧によって、特性パターンが少し変化しているのも、興味ある点である。

 また、ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は、牽引力-電流のグラフより、-7グラム付近と読み取れる。 1977年モデルのD 51と比較すると大幅に低減されているが、駆動ギヤの削減と、金属製ロッドの採用など、動輪の駆動構成が単純化された結果と思われる。

 動輪荷重が 50 グラム程度でも粘着牽引力が 20 グラム近くあるのは、黒色のトラクションタイヤの効果なのだろうか。 

 

 今回は、品番202 のC11(1978年モデル)と、品番206 のD 51(1977年モデル)について、2台の古いモデルでの性能を測定してみて、KATO製蒸機は初期のモデルから基本性能は充分に満たしていたと推測する。 このため、この基本構造を大きく変えることなく、30年近くも生産されて来たと思われる。