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小型蒸気機関車:   C56 125

 

実車プロフィール

 低規格な長距離の簡易線用にC12形から開発された軽量で前後進容易な小型機である。 C56形はテンダー機関車のため後方が見にくくならないよう、テンダー側面を大きく欠き取って後方視界を確保したスタイルが特徴的である。 小海線での活躍が有名で、高原を走る軽快な姿から「ポニー」の愛称で親しまれました。

 C56 125号機は、1938年三菱重工業神戸造船で製造される。麻里布、備後十日、七尾、糸魚川で活躍して、1972年廃車される。

 

模型プロフィール

メーカー :MICRO ACE
品名: 蒸気機関車 C56-125
品番: A6302
車両番号: C56 125
発売日 : 2000年1月25日
入手日 :2010年2月21日 新品入手
定価 : \8,600.-
 

分解調査

 

●モータを収めるためにずんぐりむっくりの形になっているが、ミニレイアウトには欠かせないSLの一台である。

● ゴム動輪が、第1動輪に設定されているのが珍しいがその意図は何だろうか。 重量配分? 脱線対策?
● カプラーの交換:アーノルドカプラーからカトーカプラーNに交換する。 また、前面のダミーカプラーは、シンキョウカプラーに変更している(2013/10/5)。
● ミニレイアウト走行可能。 ミニポイントやクロスでも脱線はほとんどなく、R140mmの曲線でも快適な走行が出来ている。

● 主要諸元:

車体全重量 62.8 gf 動輪車軸荷重
44.2 gf
先輪車軸荷重
1.6 gf
テンダー車軸荷重 17.0 gf ギャ比
i = 29.54
動輪直径
D = φ9.3mm

● 部品を分解した状態を下に示す。 

● 上左の写真は右フレームの裏側を、上右の写真は左フレームの表側を示す。 ギヤの軸は4本である。 下左にモータを示す。 回転子には約10°のスキューが見られ、白色のマーキングも見られる。 下右の写真のように、ホィールギヤと大小のアイドラギヤを用いている。 モジュールは m = 0.3 である。

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● モータ軸にはモジュール m = 0.3 の一条ネジウォームが圧入されている。 従ってウォーム軸の支持は、モータ本体で受けている。 ウォームホイールは、歯数 z = 24で、 2段ギヤとなっている z = 13 の小ギヤによって、動輪のギヤに伝達されている。 第2動輪のギヤは大きいアイドラギヤを介して噛合い、さらに小さい二つのアイドラギヤを介して第1動輪に噛み合っている。

● ギヤ駆動された第1動輪はトラクションタイヤを履いていると共に、ロッドにて第3動輪を駆動している。

● 動輪を1回転させるために必要なモータ回転数、即ち減速ギヤ比は、

     ギヤ比  i = 24×16/13 = 29.54

である。

● トラクションタイヤの装着位置について、エンジン部内にモータが入り込んでいるため、第3動輪をギヤ駆動出来ない。 そこで、トラクションタイヤを第1動輪に持って来たとも考えられるが、他のモデルでは、それでも第3動輪に持ってきている場合もあるので、他の理由が有るような気がする。 ( 2013.7.3 分解調査実施)

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● 昨年の秋、KATOから最新技術を結集したC56が発売されたため、このマイクロのC56型蒸機は影の薄い存在となってしまった。 しかし、このモデルはバック走行に特徴が有ったので、これを生かす方法を検討した。 重連用カプラーとバックライトの工作である。

    工作内容の詳細は ⇒  「マイクロのC56を加工する 」 を参照下さい。

                                                      ( 2013/10/5 追記 )

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。 車両は上記の工作を実施した車両を使用している。

 

 測定実施日: 2013/10/4

 

速度特性:

 測定は前進走行と後退走行で実施して、同一のグラフ上にプロットする。

 スケール速度の80Km/h を出すには、 4.5Volt 必要であり、一般的なNゲージと言える。 しかし、この設定がやや高目と感じられるのは、最近の低速志向のモデルに慣れてきたせいだろうか。 また、前後走行での差は殆んど無いと言える。

 気になった点は、中間部ではヒステリシスのようなパターンを示す事である。ヒステリシスなら、登りと下りで明確に分離させるのであるが、そうではないので、作動パターンが複数ある様な現象である。  電流値では変化ないので、トルク変化はないと解釈すると、回転数の変化は電圧降下の変化に寄って引き起こされている様な気がする。 まだ解明出来ていない。

 この点を除けば、速度や電流のバラツキは小さいと言える。 なお、今回測定した車両は、前照灯をチップLED に変更しており、さらにテンダー側にもLEDにて点灯するように工作した車両である。 このため、麦球式のオリジナル車両よりも電流が少なくなっている。

 


 

牽引力特性:

 ここの特性も前進走行と後退走行で実施した。

 上段のグラフが前進走行で下段のグラフが後退走行である。 2012年11月の「C56のバック走行を調べる」で報告したように、マイクロのC56は、バック走行が得意であるが、今回の測定でも、その特徴が明確に出ている。

 

 上段の前進走行と下段の後退走行での特性パターンの形を比較してみよう。

 駆動側の粘着領域での牽引力は、 前進走行では 12 〜 16グラム近辺であるが、後退走行では23 〜 27グラムもある。 動輪の滑り始めも、10グラム前後と20グラム以上と、2倍近くも異なっている。 逆に制動領域ではそれが逆転しているのである。

 また、データのバラツキもバック走行の方が安定している。

 ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は、両者とも、- 5 グラム付近と同じであり、牽引力-電流特性も似かよったパターンを示している事より、動力伝達のメカ部分での差では無く、トラクションタイヤを履いた動輪の位置による影響とみるべきであろう。

 牽引力−速度特性に表れる不思議な複線は、速度特性で見られた電圧降下のバラツキによる影響とみているが、まだ確信は無い。 走行中のモータ端子電圧が同時に測定出来ればハッキリするのであるが・・・・・・・・。

 今回の測定でも、

 第1動輪にトラクションタイヤを履いたMICRO-ACE製C56は、バック走行で坂道を走らせよ!                

との諺が生きてくることがハッキリしてきた。    ( 2013.10.5 追記)

 

 KATO製とMOCRO製C56の動力特性を比較している。 C56の動力特性を調べる (2012.11.26作成)を参照下さい。

 

********** 2012.11.26調査時のデータ ************

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。

 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4.0volt近辺である。2voltあたりから動き出し、低速走行も安定している。 前進のみ測定。

 電流は100 〜180mA とやや高めである。 麦球式の前照灯が点灯する。

 

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力の粘着限界はおよそ15〜20グラムあり、小型のSLとしては力のある方である。 電圧が高くなると粘着牽引力がアップしていくが、車輪がスリップしてゴシゴシやっているからと思われる。
  牽引力と電流の特性が電圧によってあまり変化しないのも珍しい。なぜなのだろうか?

  ***** 2010.5.17 作成のデータ **********

 

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
 前進と後退もほぼ同じ特性と判断される。スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4.0volt近辺である。2voltを超えるあたりから動き出し、低速走行も安定している。

 走行電流は前進と後退で異なるが、前照灯の点灯は後進でも点灯するので、影響ないと思うが、どこかの摩擦抵抗なのかな。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。電圧4.0voltでの牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。 負荷の増大にたいしては、ややスピードダウンの傾向がある。

 牽引力は13gr程度とやや非力であるが、機関部重量からして、妥当な値と言えよう。

 制動側も意外と安定しており、データも安心して測定出来た。