HOME >> マイコレクション > 蒸気機関車リスト  >  C56 160

小型蒸気機関車:   C56 160

 

実車プロフィール

 低規格な長距離の簡易線用にC12形から開発された軽量で前後進容易な小型機である。 C56形はテンダー機関車のため後方が見にくくならないよう、テンダー側面を大きく欠き取って後方視界を確保したスタイルが特徴的である。 小海線での活躍が有名で、高原を走る軽快な姿から「ポニー」の愛称で親しまれました。

 C56 160号機は、1939年川崎重工兵庫工で製造される。北海道をはじめとして全国でで活躍して、1987年から梅小路機関車館にて動態保存される。 SL山口号やSL北びわこ号などを牽引し、今でも現役として活躍している。

 

模型プロフィール

メーカー :MICRO ACE
品名: 蒸気機関車 C56-160
品番: A6302
車両番号: C56 160
発売日 : 2007年6月中旬
入手日 :2007年7月24日 新品購入
定価 : \8,600.-
 

分解調査

  .

● モータを収めるためにずんぐりむっくりの形になっているが、ミニレイアウトには欠かせないSLの一台である。

● ゴム動輪が、第1動輪に設定されているのが珍しいがその意図は何だろうか。 重量配分? 脱線対策?

● カプラーの交換:アーノルドカプラーからカトーカプラーNに交換する。
● ミニレイアウト走行可能。 ミニポイントやクロスでも脱線はほとんどなく、R140mmの曲線でも快適な走行が出来ている。

 

連結面間距離 101.0 mm 動輪車軸荷重
43.6 gf
先輪車軸荷重
1.9 gf
ギャ比 i = 29.54
車体全重量 61.9gf テンダー車軸荷重
16.5 gf
 
動輪直径 D = φ9.3mm

● 部品を分解した状態を下に示す。 

● 上左の写真は右フレームの裏側を、上右の写真は左フレームの表側を示す。 下左にモータを示す。 回転子には約10°のスキューが見られ、白色のマーキングも見られる。 さらに電極端子は白色(洋白か)を使用している。 今回の分解調査中に、動輪のロッドピンの一本が抜けてしまったので、ついでにサイドロッドも調査することにした。

  .

● サイドロッドの一本は、組付け方向が分からなくなる恐れがあるので、そのままにしている。 左上の写真は右側のロッドで、右上の写真は右側のロッドである。● サイドロッドの両側のピン穴は、内径がφ1.2 で、ピンの外径はφ1.0 であった。 即ち、径で 0.2mm のガタ(嵌め合い隙間)を与えている。  一方、中央の穴はφ1.85 で、クランクピンの外径は、φ1.2 であったので、こちらのガタは径で 0.65mm のガタが有ることになる。  これは、両側のピンで確実にロッドを支持し、中央部は逃げの設計を採用していると思われる。 寸法や組付けによる誤差、ああるいはガタによる動きなどによって、ロッドと動輪がコジレるのを防止するためと考える。 それにしても、ガタガタの嵌め合いである。

● ギヤのバックラッシュによるガタと、このピン連結部のガタとは、どちらが大きいのか調べてみたいが、次の機会にしよう。 これは、第2動輪がギヤで駆動されているのか、ロッドで駆動されているのか知りたいところである。

● モータ軸にはモジュール m = 0.3 の一条ネジウォームが圧入されている。 従ってウォーム軸の支持は、モータ本体で受けている。

● また、このモデルだけ、ウォームの外径がφ4.0 mm で、他のモデルで使用されているウォームより、0.2 mm 小さくなっている。 何度か測定し直したが、間違いないようである。 他のモデルが殆んど 4.2 mm なので、製造誤差とは思えない。 もしかして、ギヤのバックラッシュを調整しているのだろうか?

● ウォームホイールは、歯数 z = 24で、 2段ギヤとなっている z = 13 の小ギヤによって、動輪のギヤに伝達されている。 第2動輪のギヤは大きいアイドラギヤを介して噛合い、さらに小さい二つのアイドラギヤを介して第1動輪に噛み合っている。

● ギヤ駆動された第1動輪はトラクションタイヤを履いていると共に、ロッドにて第3動輪を駆動している。

● 動輪を1回転させるために必要なモータ回転数、即ち減速ギヤ比は、

     ギヤ比  i = 24×16/13 = 29.54

である。

● トラクションタイヤの装着位置について、エンジン部内にモータが入り込んでいるため、第3動輪をギヤ駆動出来ない。 そこで、トラクションタイヤを第1動輪に持って来たとも考えられるが、他のモデルでは、それでも第3動輪に持ってきている場合もあるので、他の理由が有るような気がする。 ( 2013.7.3 分解調査実施)

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。  測定実施日: 2013/10/14

 

 

速度特性:

 測定は前進走行と後退走行で実施して、同一のグラフ上にプロットする。

 スケール速度の80Km/h を出すには、 4.5Volt 必要であり、一般的なNゲージと言える。 しかし、この設定がやや高目と感じられるのは、最近の低速志向のモデルに慣れてきたせいだろうか。 また、前後走行では少し差が生じているが、なぜだろうか?

 電流値において前後走行で変化しているのは加工したヘッドライトのためと考えている。 前進では15mA のCRDのよって電流規制されたLEDが点灯しているが、この車両はバックライト未加工車両なので、後進走行では消灯した状態である。 この15mAの電流差が出ているものと推察する。

 でも、先回測定したC56-125号機は、ヘッドライトとバックライト共にLED化しているのに、電流値はずっと少ないので、この違いは個体差と考えられる。 モータの特性かメカ機構の摩擦抵抗の違いであろう。

 さらに、この特性を測定中にノイズによる測定異常がたびたび発生していた。 このため、次の牽引力特性を測定する場合には、ノイズ低減用のコンデンサを追加して測定することにした。 これも、モータの個体差なのあろうか。


 

牽引力特性:

 ここの特性も前進走行と後退走行で実施した。

 上段のグラフが前進走行で下段のグラフが後退走行である。 2012年11月の「C56のバック走行を調べる」で報告したように、マイクロのC56は、バック走行が得意であるが、今回の測定では、その特徴が出ていない!・・・・・・・・。

 同じ車両なのに・・・・。 分解・再組付けなどでいじくり回したのが原因だろうか?

 

 上段の前進走行と下段の後退走行での特性パターンの形を比較してみよう。

 駆動側の粘着領域での牽引力は、 前進走行では 10 グラム近辺であるが、後退走行では12 グラム近辺で殆んど変化がない。

 動輪の滑り始めも、明確ではない。通常の蒸機と何ら変わらないのである。

 ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は、両者とも、- 8 グラム付近と同じであり、牽引力-電流特性も似かよったパターンを示している。

 このことは、トラクションタイヤを履いた動輪の位置による影響は無いとみるべきであろう。

 今回の測定では、

 第1動輪にトラクションタイヤを履いたMICRO-ACE製C56は、バック走行で坂道を走らせよ!                

との諺は “うそ!” と言うことになる・・・・・・・・・・・・!。 不思議な不思議な現象にぶち当たってしまった。

 この車両の測定時の状態を下に示す。 C56-125号機に実施した「マイクロのC56を加工する」(2013.10.5作成)の工作をこのC56-160号機にも実施している。 まず、前面のカプラーの加工は、下左の写真のように、C56-125号機と同様の工作を実施した。 そして、後進走行時の牽引力特性は、このカプラーを使用して走行させている。 即ち、機関車はバック走行状態であるが、重り車両は機関車の後ろに連結して走行させているので、「C56のバック走行を調べる」で測定した状態とは、同じ重り車両を使用しているものの、連結の位置が異なっている事になる。 これが、上記の特性に影響したとは思っていないのだが・・・・・・・・・。 ドローバとカプラーの機関部に作用する作用点の高さが異なっていることになるが、それが影響しているとはとても思えない。 バック走行状態で遊ぶ場合には、今回の測定形態で連結するので、今回のデータが現実には合っていると考えている。

 もうひとつ気になっている点として、トラクションタイヤの問題がある。 「C56の動力特性を調べる」(2012.11.26作成)にて記述しているように、牽引力特性を測定中にトラクションタイヤの脱落を経験している。 測定はゴム系接着剤で対応したが、その後の分解調査に際して、KATO製のZ02-1575 トラクションタイヤφ7にを交換している。 マイクロ製のタイヤはゆるゆるであったため、緊迫力のあるタイヤに交換し、車輪径も他の動輪と同等であることを確認している。 これが影響しているのだろうか?

 次にヘッドライトは、C56-125号機と同様な物を作成したが、少し改良して、LEDチップを基板の上側に貼り付けるようにしている。 上右の写真を参照。 また、モータのノイズ対策としてコンデンサをモータの上側に載せ、コンデンサの脚はボディとのフレームで挟むようにした。 このコンデンサ追加によって、速度測定開始での異常は対策出来た。 なお、これは暫定対策なので測定後は取り外している。

   ( 2013.10.14 追記)     

 

 ****************************

 KATO製とMOCRO製C56の動力特性を比較している。 C56の動力特性を調べる (2012.11.26作成)を参照下さい。 また、MOCRO製C56は、ゴム動輪が第1動輪に設定されているので、バック走行時の特性を調査すると、面白い結果が得られた。 C56のバック走行を調べる (2012.11.30 作成)を参照下さい。

 

 *********** 2012.11.26調査時のデータ ***************

速度特性:

 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4.0volt近辺である。

 僚機のC56-125号機と特性は良く似ている。 製品の個体差は少ないようである。

 

牽引力特性:

 牽引力の粘着限界はおよそ15〜20グラムあり、小型のSLとしては力のある方である。 電圧が高くなると粘着牽引力がアップしていくが、車輪がスリップしてゴシゴシやっているからと思われる。 これらは僚機のC56-125号機と特性は良く似ている。

 また、バック走行時の特性については、驚く結果となっており、 C56のバック走行を調べるを参照してい下さい。
 そして、125号機は牽引力と電流の特性が電圧によってあまり変化しないのに、この160号機はかなり変化している。 内部抵抗が大きいのだろうか。

 

 ********* 2011.2.14 更新時のデータ *********

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4.0volt近辺である。2voltあたりから動き出し、低速走行も安定している。

 

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力の粘着限界はおよそ10グラム強であり、SLとしては小さいが、ミニレイアウト用としては充分であろう。 Bトレ客車を引かせてるのにはピッタリである。