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小型蒸気機関車: C59-123 号機

 

実車プロフィール

 C59型は昭和16年東海道本線の特急牽引機C53型 の後継機として、より早くより強くの期待を受けて誕生した幹線用旅客機であり、幹線の特急・急行列車牽引に使用された。 我が国の蒸気最長のボイラー長を持ち、長距離無停車運転を考慮した大型テンダーを従えている。

 製造両数は173両で、製造時期によって前期型(C59 1〜100号機)と後期型(C59 101〜193号機)の2タイプに分類できる。 しかし、電化が地方幹線にまで進むと、大型のため使える線路が限られることがネックになり、1970年までに全ての車両が引退している。

模型プロフィール

メーカー : KATO
品名 : C59 戦後形(呉線)
品番 : 2026-1
車両番号: C59-123
発売日 : 2015年12月22日
入手日 :2015年12月25日 新品
定価 : \13,000.-

諸元と分解調査

連結面間距離
150.0 mm
動輪直径 D = φ11.4 mm ギャ比 i = 37.64
車体全重量 81.2 gf エンジン部荷重 61.4 gf テンダー荷重 19.8 gf

● このモデルは、先に発売されたC57型に続くKATOの新シリーズSLで、フライホイール付コアレスモーターを搭載しており、消費電流がきわめて少ない上に、滑らかな低速走行を実現している。

● ナックルカプラー装着。 後のライトは点灯せず、前照灯のみ点灯可能。 重連用カプラーも装着。

● 細かいディテールが施されおり、テンダー車との間隔もしっかりと狭まっているので、より実車に近づいたモデルと言えよう。 ロッド類や配管の細工が細かく施されいる。

● 側面とボディーを外した状態をを下に示す。 モータは細いコアレスモータを採用しているため、ボイラーの中にすっぽりと収まっています。

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● 右上の上から見た写真は、最初に撮影し忘れたので後から撮影している。 このため、モータ回転数検知のためのマーキングがフライホイールに塗ってあるので分かるであろう。

● 動輪押えを外し、動輪を取り外した後、左右のシャシーを分解すると、駆動機構の歯車などが分解出来る。 この左右のシャシーはガッチリと組み合わされており、隙間にマイナスドライバを差し込んで、慎重に分解した。

 その分解状態を右に示す。 図の上側のシャシー(右側シャシーになる)には、二つの黒い樹脂製のブッシュが嵌め込まれれおり、下のシャシー(左側シャシーになる)に設けられた二つの突起がこのブッシュの穴に嵌め込まれて二つのシャシーを結合している。 ネジ固定ではなくて、この篏合のみで強固に固定されているのは技術力のなせる業だろう!

● 車両を分解した状態を下に示す。 よくよく観察するとネジが一本も見当たらないのには驚きですね。 丸い真鍮製のお皿は、キャブの天井にセットされたいたおもりのようです。

● シャシーの側面も凄い! 下左の写真はシャシーの表側、右の写真が裏側示す。 最近のKATOのSLは、この見え難い部分まで手が入っています。 さらに、集電性向上のためか、あるいはイコライザー機能のためなのか不明あるが、第1動輪軸には、板ばねがセットされています。 モータとの結線も工夫されています。

● モータはコアレスモータモータで、サイズは外形 7mm 長さ 20mm で他のモデルと同じサイズです。 赤いリード線のある端子は右のシャシーにセットします。

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● ウォームはモジュール m = 0.3 の2条ねじで、ウォームの両側で軸支されている。 そしてさらにその外側にフライホイールが圧入されている。

● モータとウォームだけを組み込んだ状態で、モータを回すと非常に静かに回転するものの、手にはわずかに振動を感じます。 ダイナミックバランスがやや崩れているようでしたが、運転走行には問題ないようです。 また、電源を切ると2〜3秒近くも回っていましたので、摩擦抵抗が小さい上に、フライホイールの効果でしょうか。

● 駆動機構の構成を右のイラストに示す。 モータから駆動された2条ねじのウォームは、歯数23枚のウォームギヤを回転させている。 このウォームギヤには、歯数11枚の小ギヤが一体で形成されており、歯数25枚の2個のアイドラギヤを介して、動輪軸に設けられた歯数36枚のギヤを駆動します。

● ギヤ駆動はこの第3動輪だけであり、、第1と第2はリンク駆動です。 このため、動輪セットをシャシーに再組付けする時は、動輪の位相を気にせずに組み付けられますので楽ですね。 また、サイドロッドが分割式ですから、各動輪が軸方向に自由に移動出来ます。 シャシーに組み込んでも動輪は上下左右にかなり動く事が出来ます。 また、この動輪セットは、下の写真のような状態でシャシーと分解組み付けが可能です。 これは、シリンダ部分が左右別体になっていることや、クロスヘッド類などをセットした状態で取り扱うことが出来るためと思われます。 ワールド工芸製の金属キットでは、この動輪周りの取り扱いに四苦八苦したことを思うと、まさにポン付けですね。

● シャシーには、まず第3動輪軸を嵌め込み、そして第2、第1動輪軸を挿入し(下左の写真)、動輪が外れないように動輪押さえ(下右の写真)をセットします。 そしてクロスロッド類やシリンダブロックを固定すれば組み付け完了です。 勿論この状態で動作確認を実施しておきましょう。

 

  

動力特性

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 有線式の動力特性測定装置を使用して動力特性を測定する。 この測定装置では、走行中のモータ端子電圧とモータ回転数の測定を可能にしている。 

● 測定日: 2016年5月18日、 測定時の重量:エンジン部 61.4グラム、テンダー車 19.8グラム  
 センサーを取り付けた時のC12-46号機の状態を下に示す。 左はフライホイール部に白黒のマーキングを施した状態を示し、右は回転センサとモータ端子電圧測定用の端子を取り付けた状態を示す。 また、ボイラー部やキャビン、および追加おもりを取り付けていないので、その代わりに水草の重りを取り付けて、重さを補正している。

 測定のための有線の状態を下に示す。 光ゲートの通過のために、重連用のカプラーは取り外している。

1)速度特性:

   動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を下に示す。

 KATOのコアレスモータ駆動モデルも、グーと低速が効くようになってきました。 1ボルト近くでもゆっくりと安定して走行出来ます。 先月末に発売されたC50の走りは、すでに昨年末発売されていたこのC59モデルで改良されていたようです。 モータ端子電圧とモータ回転数のグラフを見ると、昨年末に測定したC12-46号機の測定とピッタリと一致しますので、コアレスモータは同じ物を使用していると判断できます。 また、集電機構に苦労されたC12と比べて、電圧降下量が少ないことよりテンダーからの集電が有効であることを示しているものと思われます。

 また、スリップ率のバラツキが小さいことは、有線式の測定方法に改良した効果であると自己満足しています。

2)牽引力特性

 いつもの通りに、スケール速度が100Km/h 前後になるような電圧値を設定して牽引力を測定している。 駆動側のスリップ限界(粘着限界)は、20〜23グラムで、制動側は 20 グラム程度である。 制動側がやや小さいののは重量バランスのせいであろうか? また、駆動側と制動側ともに、15グラムを超えたあたりから目に見えてスリップが大きくなっている。 駆動力と電流値のグラフより4グラム付近で特性が変化しているが、これはウォームギヤに掛かる力の方向が変化したものと推定している。 この値はまた、動輪系の摩擦抵抗を示しているので、ロッド類を含めたギヤ機構の摩擦が小さいと判断できる。

 次に、電圧降下の状態を観察する。 牽引力、電流、車速などの値を横軸に取って傾向を見たが、0.05〜0.6ボルトの範囲でバラバラしているのみで、傾向が特定できなかった。 それにしてほとんどゼロに近い場合があることには驚いている。

 スリップ状態を見てみよう。 りスリップ率のグラフはバラツキが小さく安定しているが、これは規則方法の改良による効果とみている。 μカーブ、即ち、摩擦係数を示す特性グラフもきれいに測定されている。 ここでも駆動側と制動側ではパターンがやや異なっていることに注目しておこう。

3)考察

 C59-123 号機の分解と特性の測定結果と合わせて考えてみると、コアレスモータを使った新しい駆動機構について、このモデルにてこの新技術が確立して来た様に思われる。 50周年記念モデルのC50 の発売前に、これらの走行性能を確立していたことは、記念モデル発売の自信にも大いに寄与したものと推定する。

 今後は、C11、C58、C55、96と言ったモデルの更新に加えて、86、C61、C51、などの新モデルも追加していってもらいたいですね。

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(追記) 愛読している「Nゲージ蒸気機関車」さんの昨日の報告によると、トラムウェイさんのC11モデルは、やはり問題があるようですね。 自分は今回見送っていて正解だったようです。 構造調査のためだけに万札を投資する余裕もないので、C11は、KATOさんから発売されるまで(いつになるのかな?)待つことします。