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鉄道模型 動力車の調査  GM製コアレスモーター動力ユニット 名鉄1000系 その1

 動力特性の調査として、GM製コアレスモーター動力ユニットの動力特性を調査する。 今回は、20m級用のNo.5711を名鉄1000系の車両に装着して、動力ユニットの動力特性を測定した。 今回は、分解してモータのフライホイールに回転センサ用のマーキング等を細工して、電圧降下とスリップ率などの項目も測定した。

 

■ コアレス動力ユニット 20m級用の No.5711

 使用したユニットは、GM製コアレス動力ユニット20m級用の No.5711 のである。 この動力を、先回報告の様に名鉄1000系と2000系車両に装着した。 次のステップとして、特性解析のために、ユニットを分解し、モータの回転数を測定出来るように細工して、もう一度性能を取り直して、スリップ率や電圧降下などを測定する。

 早速、2000系車両用から分解を始めた。 まず、台車を外し、床カバーと床下機器を取り外す。

 次に、モータボックスをフレームより取り外した。 構造は18.5m級と同じであるが、フライホイールの形状が異なっていた。

 さらに、台車の回転軸受けの部品の組付け方向が逆になっていた。 この部品の組付け方向で、時間距離が調整できるのだ。 当然ジョイントも長くなっていた。

 モータを取外し、電極側のフレイホイールに白と黒のアクリル絵具でまだらのマーキングを実施した。 一回転で2回のパルスが出る様にした。 下右の写真。

 このマーキングが床プレートの上から覗けるように、床プレートに穴あけ工作を実施して、再組付けを実施した。 今回は動力台車の分解は実施しなかった。 18.5m級と使用は同じと判断したからである。 同じかどうかは、スリップ率の測定データでかくにんできるのだ。

 

■ 名鉄1000系パノラマsuperのでの動力特性の測定

 今回の測定には、モータの回転数や端子電圧の測定も実施するので、有線式の装置としてセットした。

 配線類がゴチョゴチョした部分は、有線が引っかかる恐れがあるので、ビニールカバーで覆ている。

 測定のための細工として、動力ユニットに回転センサを取り付け、集電板の端部に電極を挟み込んで電圧を測定する。

 さらに、車両の先端には速度計測ゲートを確実に横切るように遮蔽版(紙製)を取り付けている。 そして車両重量を合せるために水草の重りを取り付けた。 下の写真。 

 

■ 速度特性の測定

 最初に、単機平坦路走行によって、速度特性を測定した。

 データは分解前よりもバラツキが多くなっているが、分解の影響七日、有線による影響なのかは分からない。

 モータ端子電圧の測定値は測定回路の設計ミスにより 10volt で頭打ちになっているが、大勢に影響がないのでそのままである。 スリップ率もほぼゼロなので、ギヤ比などの諸元は 18.5m 級と同一と判断した。 2モータ式のユニットに搭載されていた通常のモータでは、 4volt で 10,000rpm、8volt で 20,000rpm もあったので、モータの回転数の仕様は半分に落としているのだ。 ギヤ比は i = 16 で、動輪径がφ5.9mm なので、ほぼ同じとみると、速度特性が遅くなったのはモータ回転数を落としたからと言えるのだ。

 

■ 牽引力特性の測定

 次に、重り車両を牽引して牽引力特性を測定した。 車両重量は、53.8グラム、重り車用は106.2グラムである。

 中央のグラフは、モータ回転数から計算した車速をプロットしたもので、滑り率がゼロの場合に相当する。 このデータより、制動領域での現象がくっきりと表れている。 制動力が -5グラムを越えるあたりから、動輪は既に滑り始めているのだ。 動輪の粘りは意外とないのだ。 次に電圧降下をみよう。

 何とも言いようの無いバラバラでのデータである。 傾向があるようで無いようで・・・・・・・、まさにランダムそのものである。 

 スリップ率と摩擦係数を計算してグラフにした。 駆動側は揃ったデータを示し、上昇具合もなだらかである。 しかし、制動側は急激に変化していることが分かる。 もう一度牽引力特性のグラフを下に再掲載する。

   

 モータ回転数から計算した車速のプロット点を線で結び、線図として表現してみると、スリップ現象がよく理解できる。 さらに、これらのプロット点の近似曲線で表現しようとしたが、Excelでは縦軸と横軸を変更する必要があった。 変更したグラフを右に示す。 スリップゼロの場合の特使は、ウォームギヤの噛み合わせ状態が変化する遷移点 (牽引力ー電流のグラフから、およそ -3 グラムと判断する) を境にしてみ左右に下がる直線を示すものと推定するが、設定が面倒なので3次式できんじしている。 実際のデータも3次式で近似したが、駆動側と制動側でその離れ具合が異なっていることに注目しよう。

 これが、スリップ率のデータにも表れているのだが、何故、違ってくるのだろうか・・・・・・・・・・・・?

 原因として、今回悩まされた台車のピッチング現象が影響しているのではないかと睨んでいる。 ノーズダイブ現象の様に台車の前と後ろの車軸の荷重が移動しているのでは・・・・・!。  これはトラクションタイヤを履いている車輪と、そうでない車輪間の荷重移動によって引き起こされている現象ではないだろうか!

 

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  2019/7/23