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鉄道模型 動力車の調査   KATO製 C62北海道形 C62-2B号機の動力特性

■ いきさつ

 KATO製 C62北海道形 C62-2B号機の動力特性について、マイコレクションの「 C62 2 B 北海道形 」、(測定実施日: 2015/9/6 ) にて実施報告済みであるが、空転特性の調査を追加実施するとともに、動力特性ももう一度測定し直した。

 

■ C62-2B号機の概要

 このC62-2B号機は、先に発売されたD 51-498 (品番:2016-1)に続く、次世代型動力ユニットの第4弾であり、D 51-498 と同様にコアレスモータを採用している。

 分解調査や動力特性については、上記の「 C62 2 B 北海道形 」を参照ください。

  

 右に動力伝達機構のイラストを示す。

 構造上の特徴は、搭載さいているコアレスモータを前方に設置して点である。 ウォームはまだ一条ネジであり、配置の関係でねじれ方向も逆であった。 一条ネジであるため、ウォームのなじれ角が通常のモデルと同様に小さいものと思われるので、二条ネジとその効果の違いを比較できるものと期待している。

 

■ 空転特性の測定

 最初に、空転特性を測定した。 測定方法は先回と同様である。

 動力部のフレームを分解してモータを組み込んだだけの状態から測定を開始した。 下左は測定時の状態で、右はモータのみの状態である。

   

 

 右の写真はギヤ、動輪、およびロッド類を取り付けた状態での測定である。 フライホイールに白黒マーキングをペイントし、リフレクターにて回転パルスを取り出している。 電圧や電流はArduino に取り付けた専用のシールドにて測定している。

 測定結果を下のグラフに示す。 この測定で重要なデータは、モータとウォーム軸だけのデータなのだが、参考に動輪やロッドを取り付けた状態も測定している。 これによって、ロッド類の影響が判断できるのだ。

 

■ 速度特性の測定

 動力車の走行中におけるモータ端子電圧とモータ回転を測定するために、リード線を引き出しているが、その処理状態を下に示す。

   

 だんだん物覚えが悪くなっているので、この前の測定はどう様にしたのか をすぐに忘れてしまう年となってしまった。 このため、メモ代わりになるようにと、写真として記録しておくようにしているのです。 写真を見れば、何故このようにしたのかを思い出せると考えているのです。

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 ところで、何故この動力特性を測定し直したかを説明していませんでしたね。 当初は、空転特性だけを追加測定するだけでしたが、その電流特性を見ていると、以前測定した速度特性の電流値かなりかけ離れていることに気が付いたからです。

 電圧8volt 時の電流は単機走行時で 23mA 、空転特性のロッド付で 9mA と読み取ると、あまりにも違いすぎると考えたからです。 そこで思い切って再測定を実施したのです。

 

● 測定結果を下に示す。

 注目の電流値は、8volt 時で 16〜18mA でした。 その他にもいろいろな部分でかなり異なったデータとなっています。 電圧降下量も 0.2volt 前後で非常に優秀ですが、何故でしょうかね?

 まず、疑ってみるのは測定方法がマズかった事。 どちらの値がより正確なのか! あるいは、分解組付けした際に、上手に組付けたこと。 これは疑わしい! 今回の再組付け時には、充分に注油しているので、潤滑が効いていることか一番の原因かもしれない。

 とにかく、先回のデータより、今回のデータの方が信頼性は高そうだと判断する。

 

 ■ 牽引力特性の測定

 牽引力特性も再測定した。 そのデータを下に示す。

 安定した特性を示しています。 

 この電圧降下のグラフを見ていると、やっぱり何時ものような値に戻っている事が分かります。

 テンダー車のピポット軸受部や通電接触部を綺麗にクリーニングして測定を開始しましたが、最初の速度特性測定時のような値は維持できませんでしたね。 先回のC11-174号機のようには行かなかったようです。 何時の頃からか、ピポット軸受方式は回転摩擦抵抗は少ないものの、通電性は良くないのではないかと薄々思っていましたが、やはり・・・・・・・!と思うようになりました。 また、バラツキが大きくて、パターンの傾向すらまだ掴めていません。

 μカーブも綺麗なデータが取れる様になりました。 スリップ限界はおよそ 22 グラム程度と判断する。

 

■ 負荷時の速度特性

 負荷が掛かった状態で、速度によって電流値がどのように変化するのかを測定した。 測定台の勾配を一定にし、供給電圧を変化させて測定したデータを右のグラフに示す。 勾配は一定であるが、上り坂と下り坂があるので駆動側と制動側に分けてデータを整理している。 駆動側では負荷無しの状態 ( ただし、重り車両の走行抵抗分 1.0 グラムが負荷として掛かっている。) からほとんど平行移動している様子である。

 

■ あとがき

 このモデルは、走行も安定しており、測定方法の改善の効果もあって、気持ち良く測定することが出来た。

 データから見て、走行性能あるいは動力性能としては “優の良” と評価したいモデルである。

 

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  2018/6/18