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トーマモデルワークスの B6 2120形を組立てる

■ はじめに

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 ワールド工芸製Nゲージ組立キットの南薩鉄道5号機で、はじめて金属製蒸気機関車のキット組付けに取り組んだが、今回は第2弾としてトーマモデルワークスの B6 2120形を組立てたので報告する。 南薩鉄道5号機で少し自信が付いた様な気がしたが、失敗した部分も多く、ゆがんだり歪んだり個所もあり、人に見せる様な出来栄えでないが、失敗談のひとつとして読んで欲しい。

■ キットの概要

 製品は、トーマモデルワークスの B6 2120形 蒸気機関車〔空制化前〕 #0452 である。  2013年5月27日に発売されたものである。

■ 組付け作業

 組付けの指南役として、いつも愛読している「Nゲージ蒸気機関車」を頼りにするつもりでしたが、「組付けの着手はずっとあとなので、いったんしまいこんで先に出たキットに専念します」とのことでした。 残念ながら、自分で説明を見ながら組付けなければならなくなりました。

 そこで、組立説明書に従って組付けて行くことにします。 まず、部品の確認から実施しました。 部品を並べてチェックして行きましたが、ホワイトメタルのパーツが多いですね。 ホワイトメタルは熱に弱いと言うことらしいので、これらの部品は接着剤て付ける事にします。

 また、ロストワックスパーツと有りますが、どんな部品なのか? “ロストワックス”は工法を示し、ホワイトメタルは材質を示しますが、ホワイトメタルもロストワックス工法で作る場合があるのでは? 部品の区別が付きませんでしたが、ホームページの説明では、動力関係は洋白エッチング、車体は真鍮エッチング、ボイラーは真鍮ムク材、クロスヘッドはロストワックス、その他ディティールパーツはホワイトメタルで作りましたとあったので、ここではじめて理解できました。

 蛇足ながら、 “洋白エッチング”などは、材質と製造工法を説明しているのですから、クロスヘッドは“×××材のロストワックス”、と説明するのが親切なような気がしますが如何でしょうか。 

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 第1ステップの動力フレームまわりの組付けは、図を見ながら問題無く組付ける事が出来ました。 軸心を塗装後に車輪に接着せよとのことですので、軸心をあわてて黒色に塗装しました。

 軸心の接着方法についての注意が、今日(6/1)のトーマのブログに記載されていましたが、遅いよ! 既に自己流に組付けた後でした。 また、写真ではサイドロッドを挿入せずに、ロッドピンを接着した状態が写っていますが、サイドロッドを後からどうやって組付けるのだろうか? そして、説明書では、“穴をピンに通す”と書いてありました。これには、一瞬 エー!と思ってしまいました。 ウルトラテクニックですね。 ピンを穴に通す事なら自分も出来ますので、こちらの方法で実施しました。

 第2ステップの床板の組付けは、B4に半田が少し回りこんでしまったので、あわてて分解し、ハンダを削り取りました。 そして、解放テコのハンダ付けは空中作業となってしまいますので、自分には無理と判断して諦めました。

 第3ステップのキャブ・ボイラーの組立てから、少しずつおかしくなってきました。  まず、キャブ・タンクの折り曲げを説明図の通りの順序で実施し、床板B1に当ててみたところ、位置決め用の爪を180度折り曲げておく必要があることに気が付きました。 そこで、キャブ・タンクの折り曲げを少し戻して爪を180度しっかりと折り曲げていましたら、なんとタンクの側面がポロリと取れてしまいました。 この部分はハンダ付けしてしまうので問題ないのですが、さて位置決めをどうするか考える必要が有ります。 よく見ていると、手すりのD7が有る程度の位置決めになるようですので、これを使って位置決めし、ハンダ付けを実施しました。 折り曲げ順を説明するなら、爪の部分を@にして欲しかったですね。

 つぎに、後ろの壁であるC5やC6、C8を付けて行くのですが、慣れない手つきではうまくいきません。 こちらを付けていると、あちらが外れ、それを修正していると、他の個所がずれてしまうといったイタチごっこでした。 結果的には、C6がやや歪んだ状態で固まっていますが、そのままの状態です。 後から考えると何か治具を工夫すれば良かったと反省しています。 

 つぎに、このキャブ・ボイラーを床板にハンダ付けするのですが、ハンダ付け中に床板ステップB7がポロリと取れてしまいます。 ここで手が止まってしまいましたので頭を使うことにしました。 下の写真の様な工夫をしながらハンダ付けを実施することにした。

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 この作戦は大成功で、ハンダ付けは下手くそながら、楽々と実施することが出来き、C2、C3、C4を組付ける時は、右の写真の様に、押さえ板の位置をズラして実施しました。

 第4ステップは、モータマウントとダミーフレームの組付けです。 説明書の通りに組付けて見ましたが、ウォームがギヤに届きません。 どこか組付けミスをしたのかと思ってチェックしましたが、おかしくはなさそうです。 そこでウォームとギヤが噛合う位置までモータ支持板B11を曲げて見ると下の写真の様になります。 このままでも良さそうですが干渉具合をチェックすることにしました。

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まず、キャブとモータの干渉をチェックしましたが、問題無さそうです。 しかし、長い方のモータ端子が動力フレームまで届きません。 そこで思い切ってモータの取付位置を下げる事にしました。

  モータ支持板B11のモータケースとネジが入る半円形部分をやすりやルータで1mm 近く削って行きました。

 そして、恐る恐る試験走行をしてみましたが、動きませんでした。 どこかでショートしている様です。 こんな単純な構成でショートするの? と疑いながらチェックすると、真鍮線を止めているネジ頭が接触しているのに気が付きました。 飛び出しているピンの頭を削るとともに、ネジの頭にセロテープを貼り付けて絶縁物としました。 この件もトーマのブログに記載されていましたね。 そして、モータを止めているネジの端部が、フレームのA2に接触している様子でしたので、このねじの使用も中止しました。 モータ支持台は、ネジ2本で保持出来そうです。 するとモータは快調に回り出し、線路上でも走行する事が出来ました。 試験走行は成功しました。

 ここで作業の重大な見落としが有りました。 モータの取付修正をあれこれ実施していた時に、クロスヘッドをスライドさせすスライドバーがポロリと取れてしまったのです。 説明書を読み返すと、ハンダで補強する部分になっていました。 取れてしまったあとからハンダ補強を考えましたが後の祭りです。 幸いに、上の写真のように、ステップと干渉しない位置で切り取るように言われているブリッジ部分を残した状態でしたので、これを使用して前後を逆にしてシリンダブロック側に接着することにしました。 そして、折れかかっていた反対側も同じ様に実施しました。

 第5ステップは、ディティールパーツの組付けです。 ホワイトメタルの部品が多いので、ここからは瞬間接着剤を使って接着して行きました。 老人には、細かい部品は苦労しましたが、なんとかサマになった様です。 でも、0.3mmの真鍮線が袋の中に無いので誤魔化したり、煙室の下にあけるφ1.5〜2.0mmのドリル穴を忘れたりしていました。 このドリル穴の忘れは、後になって気が付きましたが、この穴はダミーフレームを組付けるネジの頭の逃げになっており、これを忘れたために組付け状態では車体のボイラー部分が1mm以上も浮き上がっていました。 接着部を剥がして修正するか、ネジの頭を削るか迷いましたが、下穴を開けてネジのタップを通すことにしました。

 第6ステップはパイピングと最終組付けです。 パイピングを実施する前に、車体を取り付けて走行テストを実施しましたが、これまた動きません。 またまたショートしている様です。 内側に隠れた部分のため場所が良く分からないのですが、ダミーフレームB4と、動力フレームのA2あるいはモータ端子B13とが接触していると考え、ダミーフレームB4の該当場所をゴリゴリ削りました。 これで動くようになりました。 

 パイピングを組付けて完成した状態が下の写真です。 カプラーなどはまだ取り付けていませんが、走行状態をビデオ撮影しておきましたのでご覧ください

 

■ 問題の発生

 ビデオで紹介した走行状態を続けていた時、車両は突然停止してしまいました。 車両を観察すると、クロスヘッドがスライドバーから外れ、メインロッドが噛みこんで、クランクピンも抜けかけておりました。 スライドバーが正確に取り付けられていないのが原因と思いますが、片方が開いた状態では、再発の心配があり、参考として河合のモデルを持ち出してきました。 このモデルの様にスライドバーにブリッジを付けて補強しようかと考えましたが、河合のモデルのジャンク品が有ることに気が付きました。 ダイカストフレームがボロボロに崩れた車両が有ったのです。 このジャンク品の部品を流用出来ないか検討することにしました。

 下の左の写真は、シリンダブロックとスライドバーを剥ぎ取った状態です。 右の写真は、関係する部品と河合のスライドバーを並べて見ました。

 比較すると、メインロッドの長さは、見た目でピッタリの長さでした。 シリンダブロックには径が少し小さい様ですが丁度良い穴が開いており、修正すればそのまま使用可能です。 メインロッドの穴とクランクピンの大きさをノギスで測定すると、ロッドの穴はφ1.2mm、ピンの直径はφ1.1mm、ピンのフランジはφ1.3mmでした。 メインロッドの穴の一部を切断し、広げながら押し込むとピンのフランジを通過出来そうであり、その後ペンチで径を少し小さくすると行けそうです。

 早速手直し修正を始めました。  メインロッドがクランクピンに挿入出来るように加工し、セットしました。 そしてシリンダヘッドを取り付ける部分を修正します。 下の左の写真のようにスライドバーがセット出来るように削り取りました。 次に、シリンダブロックの穴をドリルで加工して少し広げ、ダミーフレームB4の穴を利用してネジ止め出来るように、シリンダブロックの内側にM1.4のタップを立てました。 下の右の写真が加工後の部品状態です。 

 そして組付けた状態が下の写真です。 シリンダブロックはダミーフレームに接着しても良かったのですが、分解組付けを考慮してネジ止めにしました。 しかし、ネジはフレームの溝の内側から締付なければならないため、左の写真のように細工しております。 最初に組付けるのブロックは、反対側の穴を通してドライバ−が挿入出来ますが次のブロックは、長めのネジとナットを使ってネジ込み、最後にはナットをつかんで締め付けるようにしています。 床板にハンダ付けしたステップは、スライドバーと少し干渉しますので、剥ぎ取って、すこし外側に変形させて接着剤で接着しました。 少し歪んでいますが、気にしないことにしております。

 試験運転をしましたが、これまた動きませんでした。 どこかでロックしている様子であり、修正失敗かと一瞬青くなってしまいました。 よく見ると、メインロッドの油壺形状の突起が床板と干渉していました。 早速ルータで双方を削り取って動きを確認しました。 ロッド類の作動はスムースに動き、改造は成功したと判断しております。

 下の左の写真は、動力フレームの組付け状態です。 右の写真は床板の裏側を写していますが、1〜3の部分がショート防止の逃げであり、4と5がメインロッドとの逃げのために修正した部分です。

 下の写真は、ダミーフレームとモータの組付け状態です。

 モータもほぼ水平に取り付ける事ができ、この状態でスムースに走行するのを確認しております。 

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組付けが完了した状態を色々な角度から写してみました。 後ろ姿だけはあえて写していません。

 また、手持ちの河合製B6の3台を持ち出してB6グループを揃えてみました。 サイズ的には殆んど同じです。 ディティールは河合製の方が細かい様です。 河合製B6の2台は中古品やジャンクを安く入手したもので、価格的にはトーマとは桁違いです。 トーマのB6は、高価な割には見栄えは変わらない様です。

 

 

 

 

■ 完成品

 

 最後に塗装を実施して、河合製B6で残っていた番号プレートを拝借して取り付けてました。 写真をしげしげ見ていると、ハンダ付けのムラや歪みなどが目につきます。また、塗装も下手くそですね。

 

 

 参考に、車両重量は、46.4 グラム、連結面間距離は 75.5mm でした。 ミニレイアウトは河合製と同様に、走行出来ませんでした。 従輪の首振り加工は不可能な構造ですので、折角の小型蒸気がミニレイアウトで遊べないのが残念です。 なお、動力特性は近日中に測定しようと思います。

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■ 追加加工

 走行と停止を何回か繰り返していると、モータが空回りするようになってしまった。 分解チェックしてみると、ウォームギヤと噛合うホイールが外れていました。 動力フレームが開いてしまったようである。 そこで、右の写真の様に、2mm のプラ板を削って、コ字型のピースを作り、動力フレームの開き防止対策とした。

 ついでに、アイドラギヤ類の軸受け部分に少しオイルを垂らし、潤滑性増進を図る。 組付け後の走行チェックでは、なんだかよりスムースな走行になった様な気がした。 こうしたチョットした気配りで、鉄道模型車両は快調に走るようになる様である。

 

 ■ レイアウトでの走行

 快調に走行するようになったので、レイアウト上で走行させることにした。 まず、機関区に置いてみた。 SLはやはり転車台が似合うようである。

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 車両を給水塔に置いて今日の試運転のスタートとする。

  

 昔風の列車編成をイメージして、2軸貨車を用意しました。 平坦路は、貨車8両を引いて元気よく飛び出して行きましたが、トンネル内の標準勾配区間を登りきる事ができませんでした。 そこで、6両編成にして走行させています。

 スロー運転はやや難があり、貨車の入替運転は苦手のようでした。 運転者の操作が下手なのかも知れませんが・・・・・・・・・。

  ⇒ レイアウト走行の動画