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TOMIX製2軸貨車のカプラーを交換する

■ はじめに

 KATOのC56やトーマモデルワークスの B6 2120形など、小型の蒸気機関車が入線して我がレイアウトも賑やかになって来た。 しかし、これらの小型蒸気機関車で牽引させる車両をと探してみるが、フィットする車両が少ないことに気が付いた。 客車ならオハ31系か35系か、あるいはスハ43系などと考えるが、短くて力の弱い機関車では短編成となってしまい、面白味が少なくなってしまう。 やはり、長さの短い2軸貨車が似合ってくると思われるが、今まではワムなどの有蓋車を主体に揃えてきたので、これまた面白味に欠けてくる。 昔の貨物列車と言えば、凸凹編成の2軸貨車をD51が長々と引いていた様な気がする。 本線ではD51が牽引し、支線では中小型のSLと想定すれば、この凸凹編成の2軸貨車を揃えてみたくなってきた。

■ 無蓋車の2軸貨車

 このような訳で、2軸貨車の中でも無蓋車を揃えてみた。

 写真の左半分の7両は、KATOやカワイの2軸無蓋車である。 荷物は廃材を活用してそれらしく工作している。 右端の2両は、鉄コレの「凸形電気機関車・貨物列車セットA」の貨車トである。 この貨車は通常の貨車よりもひと回り小さいので、ワールド工芸の南薩5号機などの超小型SLが牽引する車両用として活用している。 残りの6両がTOMIX製の2軸無蓋車である。 今回は、この中の5両を新規購入した。 しかし、カプラー交換の段になって、ハタと手が止まってしまったのである。 ポン付けでカプラーが交換出来ないのである。

 我がコレクションでは、貨車や客車の入れ替えや、ヤードへの入庫の際に機関車と分離する必要があるため、連結が分離可能なカプラーを採用してきた。 その方式はリアル性も考えて、KDカプラーを採用したが、全ての車両に装着するのは無駄であるので、機関車と貨車や客車の先頭車両だけに限定し、他の車両はこのKDカプラーと容易に連結出来るカトーカプラーNを標準カプラーとした。 新幹線や専用電車編成などを除き、殆んど車両のアーノルドカプラーをカトーカプラーNに交換してきたのである。そして最近では、カトーカプラーNと連結出来るナックルカプラーも装着する場合が増えて来ている。

 今回新たに入線させたTOMIX製の2軸無蓋車も、貨物列車として編成させるために、当然ながらカトーカプラーNか、あるいはナックルカプラーに交換する必要があったのである。

 

■ TOMIXの2軸貨車

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 TOMIXは、2007年秋にミニカーブ対応の2軸貨車を発売する。 「国鉄貨車 レム5000形」(品番:2712)である。 この車両はカプラーを改良することによってミニカーブを連結通過可能となっている。 他社製でも見られるように、中心に軸芯を設けて板ばねで押さえる構造である。 右の写真を参照。 その後、TOMIXはこの構造の2軸貨車をシリーズとして充実させて行った。

 まだ、コレクションを始めて間もない2009年の秋、2軸貨車の一つとしてこのシリーズの「コム1コンテナ付き」(品番:2718)を一両入手した。 この車両を手に取って、カトーカプラーNに交換しようとしたが、この構造のカプラーポケットに、どうやってカトーカプラーNを取り付けようかと、いろいろ悩んでしまった。 その頃はまだ、ナックルカプラーには手を出していなかったので、上手な対応方法が見つからなかったのである。

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 そこで、思い切ってカプラーポケットを削り取り、そこに、鉄コレ用のカプラーポケットを接着剤で接着して対応した。この状態を左の写真に示す。 何とかカトーカプラーNに交換したものの、もとに戻す事も出来ず、分解も不可能となってしまった。 このため、この様な荒料理が必要車両には、今後手を出さない事にしたのであるが、この事をすっかり忘れてしまって、今回は5両も買ってしまったのである。

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 今となっては、構造的には目新しい物ではないので、その対応方法を考える事にした。 KATOカプラーN JP B (品番:11-722)を使い、取付部にφ1.4mm の穴を開ければ対応出来そうであるが、連結間隔が間延びしてしまう。 そこで、ナックルカプラーを使用することにした。

 KATO製のナックルの場合の軸芯は、φ1.0mm なので、カプラー側の穴をTOMIX軸芯φ1.3mm に対応するため、φ1.4mm に拡大する必要がある。 ナックルカプラーには種々のタイプがあるが、この穴の拡大に対応できるものとして、CSナックルカプラー(品番:Z01-0282)を選択した。 このCSナックルカプラーの角の部分は邪魔になるので、平らになるまでやすりで削り取ることにした。

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 左の写真は、φ1.4mm のドリルで穴を拡大した状態であり、このドリルを差した状態のままで、角の部分をやすりで削っている。 これによって作業も容易だし、ナックルとナックルヘッドの端部をピッタリと一致させる事が出来る。 アーノルドSC、カプラースプリングSC、カプラーカバー、および、加工したCSナックルカプラーを右上の写真に示す。 このナックルカプラーを使用すると車両の連結間隔も短くすることも出来そうである。

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 また、板バネのカプラースプリングSCだけではバネ力が弱そうだったので、コイルスプリングを併用することにした。 カトーのアーノルドカプラーに装着されていたカプラースプリングを使用して、中央部をカッターナイフで切断して、短いスプリングを作り、板バネのバックアップとした。 その装着状態を右の写真に示す。 ナックルヘッド(ナックルカプラーの舌の部分)が少し開き気味であるが、とりあえず装着して走行させて見る事にした。

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 カトーカプラーを装着した他の車両と連結して高さ具合を見たのが下の写真である。 高さが少し低目であるが何とか連結できそうであるので、我がレイアウトで走行させてみた。

 その結果、 
  (1)ストンと押し当てても簡単に連結できない。
  (2) 走行中に自然解放する。

などの問題が幾つかの車両で発生した。 この原因として、ナックルヘッドが完全に閉じていないためと判断し、追加加工を実施した。 それは、

 この結果の装着状態を下の右の写真に示す。 ナックルヘッドは軽く開閉できると共に、しっかりと閉じることを確認している。 ナックル端部の削りが少し歪んでいた為に、ナックルが少し右に回転しているが、連結機能には問題は無かった。

 これらの追加加工を実施して、レイアウトを走行させたが、連結も容易であり、走行中の自然解放も無かったので、追加加工は効果が有ったと判断する。 そして、ナックルヘッドの開閉動作が重要であることを知ることが出来た。 

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 左に、TOMIXと共に、カトーとカワイの車両のカプラー装着状態を並べてみた。 それぞれに長所と短所があり、もっとスマートな方法は無いものだろうか。

 カトーとカワイのカプラーホルダにカトーカプラーNを装着すると、カプラーは自由に回転は出来ず、また遊びが少ないので、カプラーの自由度が殆んどない。 このため、車体と一体となっている状態に装着され、線路の状態によっては、自然解放がたびたび発生している。

 

 なお、カトーのアーノルドカプラーに装着されていたカプラースプリングは、ご存じのように、中央部にも密着巻きが施されている。 一般に密着巻きは、バネの座りを良くするために、ばねの両端部に実施するものと思っていたが、なぜ中央部に実施しているのか疑問のままである。 バネに非線形特性を持たせるためなのだろうか? それとも、バネの座屈を防止するためなのだろうか?

 それにしてもコストアップの要因のような気がするが、今回のように短いバネを作るときには好都合な形状である。 中央部の密着部でバネを切断すれば、座りの良い短いバネを作ることができた。 ラッキー!

 

■ 走行動画

 これらの2軸貨車を使った貨物列車を2本編成した。 機関車はKATOのC56とトーマのB6を重連させてものと、マイクロのC56を使用する。 重連させたのは、牽引力不足を補うためである。

        ⇒  小型SLと貨物列車

 登り坂を余裕をもって登り切るように速度をやや早めに設定しているが、編成をもっと短くするとゆっくりとした走行が楽しめます。