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スハ43系客車の室内灯加工 その2

■ はじめに

 その1に引き続き、室内灯の加工の続編です。 今回はスハ43系ブルー塗装の客車の工作です。

 加工後に気が付いたのですが、スハ43系列の普通座席車は当初は旧型客車標準の茶色(ぶどう色2号)で登場した。 しかし、後に室内灯の蛍光灯化など近代化改装された車両を中心に青色に変更されているとのことであるので、ブルー塗装の客車の室内灯は電球色では無いことに気が付いた・・・・・・・・・・。

 

■ 初代モデルへの対応

 KATOのスハ43系初代モデルは、専用の集電シューを使用している。 自分が所有しているモデルは7台あるが、茶色の車両1台はその1で対応済みである。 また、以前より所有していた2台についても室内灯 11-201 を装着していたので、 室内灯ユニットを取り換えるだけで対応できる。 しかし、新たに入手した4台については、分解して確認すると、心配した通りに通電部材は装着されていなかった。 幸い、台車は集電子がセットされていたので、車体側に通電部材を工作すれば対応できる。

 一番簡単な方法は、室内灯のセット 11-201を入手すれば良いのであるが、この部品はすでに生産中止であり、入手は困難である。 工作のポイントとなる集電シューについては、「スハ44系客車に室内灯を設置する」の工作で、集電シューAとBを手作りしていた。 その時の残り部品が2セット分あったので、この部品を使うことにした。 あとの2セット分については、新しく集電シューを作る必要があった。

 もう一つの問題は、室内灯ユニットと集電シューとの接続方法である。 室内灯のセット商品には、基板受けなる部品が用意されているので簡単に接続出来るが、この部品の工作は無理と判断する。

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 一番安易な考えは、室内灯ユニットと集電シューをハンダ付けして一体化すれば簡単である。 しかし、室内灯ユニットの取外しや交換の自由度を上げるためには避けたい方法であるので、車体の隙間に室内灯ユニットを押し込んでセットする方式とした。

● 室内灯ユニットを作る

 室内灯ユニットは立ててセットし、ブリッジダイオードの足を集電シューとの接触端子とする。 使用した部品の様子を右に示す。

 その接触端子を形成ハンダ部分は、得意のイモハンダ で山盛りし、後からやすりで削って広く平らな面を作ることにした。 CRDとコンデンサのチップ部品もハンダ面にセットしたが、肝心のチップLEDは反対側にセットしなければならない。 そこで、LEDがハンダ付けできるようにジャンパー線を使って裏側まで配線した。 下の写真を参照ください。 ここで、プラスとマイナスは連結したままであるが、LEDをハンダ付けした後に切断している。 理由はLEDのハンダ付けを容易にするためである。

 ハンダ付けが完了すると点灯を確認後にパテを塗って完成とした。

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 完成したユニットを車体に装着した状態を右に示す。

 ユニットを車体に押し付けるために、座席シート部材に壁と支えを接着している。 そして照明板の支えも兼ねている。 この照明板は、厚さ 2mm のアクリ板から切り出して作成した。

● 集電シューを作る

 苦労したのは、残りの新しく集電シューを作る必要があった車体である。 厚さ 0.1mm のリン青銅板をそれらしき形状にハサミで切り出したが、面倒なので最後には帯状の板を折り曲げながら形状を作った。

 また、このモデルはおもり部品を通して前後の集電シューを通電させているが、表面が薄汚れていて通電不良となっていた。 そこで、ポリウレタン線を使って連結したり、粘着剤が塗布されている薄い銅板を幅 3mm 程度に切り取り、おもり部品の裏側に張り付けて通電性を確保するなどの工夫を凝らした。

 しかし、下の写真に示す車両は大きなミスを犯してしまった。 室内灯ユニットと接続するための折り曲げ加工したシューを、前後の取り付けを逆にしてしまったのである。

 床下板は、その前後の端部の形状が車体の形状に合わせて微妙に異なっている。 このため、室内灯ユニットを取り付ける側に折り曲げ加工したシュー(製品では集電シューAと称している)をセットする必要があるが、これを逆に取り付けてしまった。 方向性を無視し、かつ干渉部を削れば取り付けることはできるが、折り曲げ加工していないシューの側に室内灯ユニットをセットし、足とシューをハンダ付けすることで対応した。 下右の写真。

 この無様な様子を他人さまに見られたくは無いが、失敗記録は努めて残しておくことにして、今後の改善につなげる様にしよう。

 

■ 他のモデルへの対応

 KATOのスハ43系の2代目モデルは通電構造が変更されており、入手した車体は室内灯ユニットをすぐに取り付けられる状態であった。 下左の写真はその状態であり、下右の写真は初代モデルの集電シューと基板受がセットされている状態である。

 このため、残りの5両はユニットだけを作ればよいのである。 基板は縦に置けないので横置きとするが、集電シューとの接続のための端子を工夫することにした。 この端子はユニットの保持機能も持たせる必要もあったので、腰の強い部材が必要であった。 0.2mm のリン青銅を探したが無かったので 0.1mm の板を2枚重ね使うことにした。 ブリッジは小型モデルを使用すことにして材料を揃えた。 下左の写真。

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 端子と基板の固定はハンダ付けとし、小型バイスにセットした状態を上右に写真に示す。 Φ0.7mm の真鍮棒は折り曲げた部分がつぶれないようにするもので、 集電シューとの接続を確保するための工夫である。

 

 この状態でハンダ付けして基板に固定したが、ブリッジの足を取り付ける穴がハンダで埋まっているのでドリルで穴あけ加工を実施した。

 基板を横置きで使用するため、LED は今回も立てて使用した。 右にハンダ付け後の状態を示す。 この回路基板では、ハンダ付けが容易で確実なパターなどが無い状態な上に、未熟なハンダ付け技術のため見るに忍びないが、LEDが確実に点灯してくれればOKと、機能優先で実施しているのである・・・・・・・・・・・・。 言い訳?

 

  完成した5個のユニットを下左に示す。 点灯することを確認後、今回もパテを塗って、絶縁とチップ部品の保護を実施した。

 ユニットと照明板とは、下の写真に示すように、銀紙を巻き付けて固定した。 そして車体に取り付けた状態を下に示す。 集電シュートぴったりと接触しているのが分かるであろう。

 最後に、もう一つの失敗談を紹介しよう。 上右の写真でも分かるように、ブリッジダイオードは小型ではあるが背が高い仕様のものであった。 天井との高さを気にして確認しながら工作して来たが、最後に組み付けたオハニ36-27(品番:5077-2)で思わぬ事態に遭遇した。 

 車体がうまく収まらないのである。 おかしいと思って屋根裏を確認した。 上左の写真。 屋根が二重になっているのである。 車体と屋根を分解し、車体と干渉する部分に穴をあけた。 上右の写真。 純正部品はこのような点も配慮されているのであると思う。 このオハニ36-27は第2世代のモデルであるので、この手作りの室内灯ユニットは、第2世代のモデルに適応できないということではないかと判断する。

 

■ まとめ

 チップ式のLEDを使って、いろいろなタイプの室内灯ユニットを作ってきたが、これだという本命はまだ未完成である。 もっと薄型のブリッジダイオードがあれば完成するのであるが・・・・・・・。 また、今回は均一な光り方への配慮はしていなかった。 KATOのクリアー式のように照明板の工夫が必要となろう。

 また、ブルー塗装の客車の室内灯は蛍光灯であるとのことであるので、今回使用したウォームホワイト色ではなくて、白色のLEDを使ったユニットを作成して取り換えることも検討してみよう。 取り換えたウォームホワイト色のユニットは、オハ35系の客車に流用しようと考えている。

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 2016/5/11 作成