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金属製組み立てキットを組み立てる

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■ はじめに

 ネットオークションにて、古い金属製のキットを見つけた。 キットの組立て練習用にと安く入手した。 当初は気楽に工作を始めたが、だんだん欲が出てきて電気工事まで実施してしまったので、その工作内容を記録しておく。

 

■ キットの内容

 キットは、HOBBY SHOP パアーハンズの N-506 キハ24形気動車ボディーキットである。

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 カタログなどを探したが見当たらなかったので、中に入っていた組立て説明書が頼りであった。

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 部品はすべて揃っていたが、金属の酸化は進んでいるようであった。 このため、クレンザー液を漬けてブラシでゴシゴシと磨き、少し綺麗にして作業を始めた。

 SLの場合よりも構造が単純なのでさほど苦労はしなかったが、幾つかの失敗をしてしまった。 ベンチレータは瞬間接着剤で接着したが、ついでに手すりも瞬間接着剤を使用した。 しかし、プライマーを塗装したとき、周りに付着した接着がもろに現れ、表面が凸凹しており、見るに堪えなかった。 慌てて塗装をはがし、ハンダにて再度取り付けようとしたが、ダメであった。 うまくハンダが乗らなかった。 仕方無く、細かいステンレス線を車体裏側を利用して巻き付けた。

 この他にも、塗装ムラなど相変わらずの未熟な技術で何とかごまかしたが、問題はシャシーであった。 このキットは車体のみのボディーキットであるため、下回りは自分で手当する必要があった。 ここまでの作業は練習のつもりだったので写真撮影をさぼっていました。 このため、証拠写真が残っていません。

 

■ 動力ユニットの検討

 当初は、鉄コレのフレームを使ってトレラー車に仕上げようとした。 丁度よい長さの手持ちが無かったので、17m級のフレームを使って延長工作を実施した。

 しかし、トレラーではやhりつまらないので、単独走行ができる様に動力化を実施することにした。 説明書には、動力化の場合はトミックスまたはカトーのキハ58用の動力を、トレーラーの場合にはキハ28用の下回りを使いなさいとの説明があった。 たまたま、カトーのキハ58の中古品がオークションに出ていたので、これの動力ユニットを頂こうと考えてゲットした。 その車両を下に示す。

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 古いモデルだったので走りがややギクショクしていた。 そこで分解してメンテナンスを実施するもあまり改善できなかった。 また、カプラーも台車マウントであったし、照明類も古いタイプで、かなりの改造工作を必要としていた。

■ 鉄コレ動力ユニットを使う

 このモデルに手を加えるか、あるいは代案として考えていた鉄コレの動力に手を加えるか迷ってしまった。 そこで、試しに鉄コレ動力を使って工作してみることにした。 使用した動力は、TM-15 の20m級A3である。 台車枠は DT22 をしようした。

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 ボディーへの取り付け方法とカプラーの処理について、あれこれ思案したが、次のように工作した。

 キットに付属していたスカートを使って、0.3mmの真鍮板にハンダ付けする。 カプラーはKATOのナックルカプラー長(黒) Z01-0239 を使用し、φ1.0mm の真鍮棒で支える。 そして t = 1.0 と 3.0mm のプラ板を使ってカプラー受けを工作する。 左の写真を参照。 カプラースプリングはプラ板の中に潜りこむように穴を開けて挿入している。 コイルスプリングに CS 系のナックルカプラーの様がマッチするが、その取り付けスペースが確保できなかった。 KDカプラーは大きすぎるので不採用とした。

 これらの部品を鉄コレ動力ユニットの床下スペーサランナーの二つの穴を使ってネジ止めするのである。 ランナーの内径がφ1.5mm であったので、M1.7mm のネジをタップして、長めのネジを使って、ねじ止めするようにした。 下左の写真が動力ユニットをボディーに重ねた状態で、↓右の写真は、その上にカプラーユニットを取り付けた状態である。 そして、動力ユニットとボディーは、M1.4mm のネジを使って、カプラーユニットとボディーを固定することによって、しっかりと保持されるようにした。 このM1.4mm のネジは、カプラーが中央部にあるので、かなり外側にズレた位置にあるが、しっかりと固定することが出来ている。

 このカプラーユニットを取り付けた状態を下左の写真に示す。 また、床下部分は、キハ58の床下部品を使い、「型想い」で型をとり、タミヤのエポキシ樹脂を流し込んで成型した部品を貼り付けている。 樹脂には黒色の塗料を少し混ぜ込んで使用した。 綺麗には成型出来なかったが空間を埋めることが出来たのでOKとしている。

 カプラーの首振り状態をチェックするため、幾つかの車両と連結させて、レイアウトを走行させたが、我がレイアウトの曲線を問題無く走破することが出来たので、カプラー工作は合格とした。

 

■ 鉄コレ動力ユニットのフラット化工作

 ここまで工作すると、気になるのはモータのはみ出しである。 モータと重りの部分が床面より高くなっているので、ボディーに組み込んだ場合、窓から丸見えである。 室内灯を取り付けると、様にならないのである。

 そこで、先輩の方々の例を参考にして工作することにした。 幸いにも、床下部品を取り付けているので加工穴をふさぐ必要もなかった。

 上左の写真は、フレームを彫り込んだ状態である。 そして、右の写真は、モータを嵌め込んだ状態である。 フレームはルータでゴリゴリとかなりの部分を削り取った。

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 モータの上面はフレーム上面より、1mm 上まで沈めることが出来た。 台車のウォーム部分の上もこの高さであったので、ここまでとした。 問題は集電シュー の処理である。 モータ部分で干渉するので二つに分割し、電線で連通させることにし、モータへも同様に配線した。

 

■ 照明類の工作

 室内灯、前照灯、そうだ尾灯も点灯させよう! だんだんこだわって来た。

 照明類の構想を右のイラストに示す。 このキットのモデルは、1エンド側と2エンド側の両方に走行できるようになっており(当然なり)、前照灯と尾灯も両側に設置する必要がある。 そして、進行方向に合わせて点灯させる必要がある一方、室内灯は両方向でも点灯する必要がある。 

 室内灯はチップLEDを使って天井裏にユニットごと張り付けることにしました。 そして導光板を使わずにチップLEDを並べることにします。

 そして、前照灯はサイドビュー式のLED を使って、室内灯と兼用する。 そして、カトーなどの回路を参考にして、ブリッジダイオードや定電流ダイオードを使わない左のような回路構成にしました。

 また、尾灯のためのLEDをボディー側に取り付けるか、フレーム側に取り付けるか検討した結果、フレーム側に付けることにした。 導光材は光ファイバーを使うことにし、赤色LEDを下の写真のように取り付けた。

 写真では、LEDと平行にダイオードを取り付けていますが、意味が無かったようです。 ちらつき防止のためのコンデンサはモータの傍に取り付けています。 そして、レイアウト上で試験走行を実施しました。

 すると、前進時には尾灯がきれいに点灯するのですが、後退時にもバッチ点灯してしまいます。 モータの逆起電力の影響ですが、こんなにハッキリと点灯するのは初めてでした。 これまた先輩の方々のノウハウを生かして、スナバ回路を構成することにしました。 尾灯のためのLEDであるため、暗くても良いので抵抗は大きめに設定した右のような回路に変更した。

 その結果はバッチであり、わずかには点灯するものの合格とした。 さらに、1エンド側にも工作する必要があるが、東面は2エンド側だけに尾灯の工作をしておくことにした。

 その状態を下左の写真に示す。 右の写真は天井に貼り付ける室内灯ユニットである。

 チップ抵抗とチップLEDをハンダ付けしたのみである。 この基板は、100×10×1.6mm であり、エッチング用の生基板である片面銅張積層板から切り出した。 パターンは縦に4本の導線を作りたかったので、最初に切り出しようのカッターを使って銅の部分に溝をつけた。 この作業は力を入れる必要があるので、木の板切れに積層板をテープで貼り付け、ガイド部分として金尺も所定位置のテープで貼り付けて作業した。 下左の写真。

 溝付けが完了すると、幅10mm に切り離し、今度は右上の写真のように、内側の部分を幾つかのゾーンに区切った。 この作業はルータを使用した。 上の完成品をご覧いただくとお分かりのの様に、外側の帯がR側とL側と電源ラインである。 そして、内側のゾーンを使って抵抗とLEDのチップを配線した。

■ 導光線の工作

 次に苦労した導光線の工作を説明する。 仕組みは先に示したイラストの通りであるが、まず、運転席と客席を分ける壁( t = 1.0 )を作り、t = 3.0 のプラ片と接着して、光ファイバー用の穴を斜めに開けた。 それを天井に貼り付けた。 このとき、φ1.0mm の光ファイバーも一緒に組む付けておく。 尾灯用は、φ0.7mm の光ファイバーを左右連続した状態で組付けたおき、内部の固定のために、パテを塗りつけた。 そしてパテが完全に固まるまで一晩放置したおいた。 その時の状態が下の写真である。 固定後に、尾灯用 の光ファイバーは中央部で削り取ってLEDからの光が入るようにしている。

 天井に取り付ける照明ユニットと動力ユニット間の配線は、手抜きしてエナメル線で実施したが、組み付けるのかなり面倒であった。 動力ユニットの上面には座席シートを作って、T 字型のプラ棒を切断して座席風に接着している。 この t = 1.0mm の座席シートには、モータとウォームボックス部との干渉をさせるために切り込み窓が開けられている。

 これらを組付け後点灯テストを実施すると、心配したとおりに赤い尾灯の灯りあちこちに漏れてくるので、思い切ってLED周りのボデー部分をパテで埋めてしまった。 下左の写真。 こうなるともう分解不可能である。

 完成した状態を右上に示す。 また、正式側と非正式側の側面を下に示す。

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■ 完成品検査

 最後の完成品検査として、レイアウトで走行&点灯試験を実施した。 動き出す前に点灯し、前進および後進時にそれぞれの前照灯が点灯することも確認できた。 尾灯については、光が弱くわずかに点灯しているのが分かる程度であるが、部品の隙間から光が漏れており、不合格である。

 また、室内灯は前進および後進時共に点灯するが、3ヶ所の光が強く、アンバランスな光りかたであった。 やはり予想どうりであったので、何かスモーク処理か、光の拡散処理が必要である。 0.3〜0.5mm のプラ板で覆ってみることにする。

 左の写真が前進時で右の写真が後進時の点灯状態である。 走行を始める前の低い電圧ではあるが、尾灯の光が弱いことが分かる。 原因は光ファイバーの導光構成が不良であると考えている。 今回の工作は不合格なりと結論することにした。 なお、下に走行時の動画を紹介する。

 尾灯の処理は、他の方法をか検討することにしよう。

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 2016/9/4 作成