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KATO路面電車 マイトラムClassic REDの電飾 その3

 最近入手したKATO製の路面電車シリーズ、「マイトラムClassic RED」について、室内灯に続き前照灯と尾灯を工作した。

 

■ 前照灯と尾灯の取り付け位置

 まず、取り付け位置を確認しよう。このモデルは、前面あるいは後部はシンプルな形状をしている。そして前照灯は運転席前面の中央部に、ひとつだけ設置されている。尾灯らしきものは無いので、このライトは尾灯も兼ねているものと思われる。前進する時は前照灯として白色に点灯し、後進する時は尾灯として赤色に点灯する車両と想定する。

 そして、このライトのレンズは、透明なプラスチック製の材料で窓部品と一体的に成型されており、車体の裏側から光を通すことが出来るようになっている。

 一方、シャシー側は、下左の写真の様に、黒い不透明な樹脂で運転席が成型されている。また、下右の写真のようにシャシーの下側から見ると、この部分は大きく凹んでいる深い穴が形成されているのだ。この構造をしげしげと眺めていると、ここに収納できるライトユニットのイメージが容易に浮かんでくるのだ。

 そうだ! ライトレンズに対応する部分に穴を開け、凹んだ穴の中にライトユニットを仕込む事が出来そうだ。さらに、底面をパテで埋めてしまえば、前面に開けた穴以外からの光の漏れを容易に封じ込める事が出来のだ。前照灯や尾灯の工作では、この光漏れを防止す工作に何時も苦労するのであるが、今回は超簡単に工作できそうである。

 

■ 工作の内容

 まず、車体のライトの位置に合わせて、シャシーに導光用の穴を開けることにした。最初はΦ3.0mm の穴を開けかけたが、こんなに大きな穴は必要無い事に気が付き、レンズと同じ大きさのΦ1.5mm の穴に変更した。下左の写真。そして、内側に出たバリは、ルータを使って丁寧に取り除いた。

 次に、ライトユニットを構成する部品を選定した。勿論、LEDは白色と赤色のチップ部品(上右の写真)を使用し、電極を逆方向に並列に接続して回路を構成する。LEDの電流制限抵抗もチップ部品を使用しようとしたが、さすがにスペースが無かったので配線途中に挿入することにした。使用する部品の仕様は下記のとおりである。

  1. 白色チップLED: 表面実装 白色LED OSWS50805C1C  2.0mm×1.25mm×1.0mm
  2. 赤色チップLED: 表面実装 赤色LED OSRS50805C1C  2.0mm×1.25mm×1.0mm
  3. 電流制限抵抗: 1/6W 750Ω
  4. 配線用導線:  裸銅線 #30 Φ0.28mm
  5. ユニット基盤:テープLEDの切れ端

 当初は、このライトユニットの基盤をどうするか悩みました。基盤無しでチップLEDに直接導線を半田付けすることも考えましたが、このような半田付けの細工は自信が有りませんでした。そこで、ユニバーシャル基盤の切れ端を漁っていた時に、下左の写真に示すように、テープLEDの端部の切れ端を見つけました。長すぎるテープを切り取ってしまった切れ端です。薄過ぎてへなへなですが、今回のユニットには持っていこの部品です。

 取り付け穴の大きさに切り取って、白と赤のチップLEDを並列に並べた半田付けした状態を下右に示します。シャシーに開けた穴は、車体のレンズ穴の軸とほぼ一致するように開けています。そして、この穴の中心に白色のLEDが来るようにユニットを作っています。

 そして、赤色LEDは、その上方にくっつけて配置しましたので、光軸がレンズ穴とズレてしまいます。でも、このユニットを納める空間は、前方に開けている穴以外は密封されるので赤の光も十分に光ると考えています。

 工作の成否は点灯テストで決まります。そこで、用意した抵抗とパワーパックを用意して点灯チェックを実施しました。

 まず、白色のLEDのチャックです。下左の写真にように合格です。そして、電極の方向を逆にして赤色LEDのチェックです。下右の写真のようにこちらも合格です。

 

■ シャシーへの組み込み

 出来上がったユニットをシャシーの凹み部に取り付けました。下左の写真。そして、プラス電極(白色LEDが点灯する方向)を車体の右側の電極に、抵抗を介して接続します。下右の写真。丁度この部分には車体をシャシーを固定する爪部があるので、その機能を損なわないように配慮しています。

 反対側も同様に配線を実施しました。

 これらの工作結果も、線路上での点灯テストでチェックしました。点灯状態はOKでしたので、ユニット部の密封作業を実施しました。光漏れ対策です。 まず、部品の固定のために、セメダインを流し込んで部品を固定します。下の写真。

 この接着材は、乳白であったものが時間が経つと、無色透明になるので、このような工作には欠かせません。一日置いて透明になるのを待ちます。

 セメダインが乾き透明になって事を確認して、その上から光を封じ込めるために不透明なタミヤのパテを塗りました。これが乾燥すれば完了です。

 

■ 点灯具合と走行テスト

 早速点灯テストを実施しました。車体のプラスチックは半透明なので室内灯の光が少し透けていますし、車体ロック部分では薄く漏れているようです。でも、前照灯ユニットの車体下部からの光漏れもありませんでした。そして、前照灯は狙いどうりに明るく点灯しています。尾灯は少し光軸がずれているため明るさは抑え気味でありものの、充分な明るさです。

 動力車の場合は走行してしまうので、動かしてチェックしてみましょう。

 

■ 電飾工作のまとめ

 今回の、「マイトラムClassic モデルに対する電飾工作について、反省を含めてまとめてみます。

 このモデルは、電飾化に対しては全く考慮されていないモデルである。このために、いろいろな工夫が必要であるのですが、その限界もありました。

  1. 動力車の動力部が室内空間を大きく占有しているため、車内は真っ黒な塊となっています。従って室内の座席や通路の造形を期待しても裏切られてしまいます。室内灯を取り付ける意味が無いのです。トレラー車では動力車と同じシャシーを共有していますので同じ状態です。
  2. 室内が真っ暗な電車では鉄道模型と言えども興醒めなのです。今回は、遠くから見てほんのりと明るい室内を期待して敢えて室内灯を組み込みました。黒い室内を誤魔化すために、白いマスティングテープを貼っています。ベンチシートに着座している乗客の後姿の絵を窓際に貼り付ける手もあるのですが、手抜きとしました。
  3. 動力車とトレラー車とでは、少し手法を変えた室内灯としましたが、やはり明るさの具合が異なってしまいました。出来れば後から工作した方法に統一すれば良いのですが、これも手抜きとしました。
  4. チラツキ防止の手として、電流制限抵抗とチップコンデンサを採用し、5ボルト仕様のFCOBテープライトを狭い空間に取り付けましたが、この方法はOKだったと考えています。今のところ、チラツキの発生は非常に少ない感じです。
  5. 前照灯と尾灯は、取り付けにピッタリの空間を見つけて、簡単にチップLEDを組込むことが出来ました。
  6. 赤い車体は安価なスチロール樹脂で成型されているため、光を通す半透明の状態です。このため、室内灯や前照灯の光がぼんやりを漏れている状態です。ABS樹脂などの不透明な素材を使用していると電飾の効果が有ったと思われます。材料費をそこまでケチらなくてもと思います。

 今回の工作は、大成功とは行きませんでしたが、合格点ぎりぎりの60点ぐらいかなと採点します。でも、電飾工作自体は楽しむことができました。

 

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2024/5/25