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鉄道模型工作室  153系6機種セットの前照灯と尾灯の工作

 湘南色電車の整備作業の第3弾として、KATO製の153系6機種セットの電装工作を始めました。 このセットは、もう45年前のレジェントな製品ですので、なるべく本体側にナイフ等の手を加えずに電飾工作を実施したいと考えています。 まず最初に、一番難しそうな前照灯と尾灯の工作から取掛かりました。

 

■ ユニットの構成を検討

 先回の分解調査をもとに、前照灯と尾灯の構成方法を検討した。 1号車には、レンズがはめ込まれていたが、6号車にはどちらも紛失していた。 せっかくのレンズをそのまま生かす工夫も必要である。 また、室内側には青色の座席シートが、前面の窓の下まで覆われているので、この下に収めることも必要である。

 そして、シャシの先端部分には、今までお目にかからなったセンタ城壁が鎮座していた。 これは邪魔ですね。 最初は光ファイバを使った構成を考えていましたが、無理があると判断して、前面の裏側にユニットを貼付ける構成とすることにした。 設置スペースが限られているので、どれだけコンパクトに出来るかが工夫のしどころとなるだろう。

 

■ 先行試作品の工作

 まず、先行的にひとつのユニットを工作することにした。 まず、テープLEDの切れ端が利用出来ないかと考えました。 薄くて柔軟性がある配線を活用しとようとした。 そこでテープLEDの切端を持ち出して、チップLEDを半田付けしてみましたが駄目でした。 ハンダの熱で、テープの素材部分がフニャフニャになってしまい、とても工作出来る素材ではなかったのです。

 そこで、厚さが薄いユニバーサル基盤を取り出し、下の写真の様に切り出しました。 3っ穴の部品がLED用で、12穴の部品が配線盤として使おうとするものです。 チップLEDの配線後の点灯チェックには何時も苦労するので、テープLEDの端部の切れ端を使って、チェック用端末としています。

 チップ単品状態での点灯チェックは、点灯用電圧に何時も気を使っています。 うっかりパワーユニットの電圧を直接かけようものなら、あっという間に昇天してしまうからです。 そこで、乾電池を使ったLEDチェッカを使っています。 下左の写真。

 そして、ユニットが出来上がると、配線盤に電流制限抵抗を取り付けて部品の取付状態と点灯具合を確認しました。 この時は、前照灯と尾灯の切り替えが必要なのでパワーパックを使います。 このために電流制限抵抗を介しておく必要があるのです。

 チェック時の状態を右上に示します。 また、前照灯と尾灯の点灯状態を下に示します。

 狭いスペースに取付けるため、工作したユニットをやすりで何度も削っています。 ライトの光軸とレンズの光軸を合わせたり、上下の部品との干渉を避けるため、ユニットの側面をどんどん削る必要がありました。

 そして、ライトユニットの仕上がった寸法は、縦が 7.0mm 横幅が 5.0mm です。 ユニバーサル基盤は、厚さが 1.0mm の両面基盤ですが、スルーホールではありませんでした。 後からに工作を考えるとスルーホールの方がベターでした。

 今回のユニットの工作で一番大切なポイントは、LEDの遮光です。 隣り合った二つのLEDの光りが干渉しないこと、ユニット外に漏れないことが必要なのです。 そして前面には黒色の厚さが 1.0mm のプラバンを使い、Φ2.0mm とΦ1.0mm の穴を、3.5mm の間隔で開けて、遮光とユニットの位置決めを狙います。 裏側に飛び出している尾灯のレンズと、ユニットの穴を使って位置決めとしています。 レンズのない6号車は光ファイバーを使います。

 

■ ユニットの追加

 このライトユニットは、先頭車1両に左右一つずつ必要なので、合計4個必要です。 そこで追加工作を実施しました。 コンパクトなサイズで、寸法をそろえるために3個をまとめて工作するために、工作方法を工夫しました。 まず、ユニバーサル基盤の穴に、Φ0.8mm の真鍮棒を通してセットにし、所定の寸法に仕上げます。 下の写真。

 カバーとなる板も同様に工作しました。 穴のサイズが異なるので、Φ2.0mm とΦ1.0mm の真鍮棒を使いました。

 部品が揃ったので、ハンダ付けを実施します。

 まず、両面テープを使って基盤を固定します。 そして基盤の上に、チップLED を半田付けします。 ハンダは、スズが63%の共晶ハンダでを使いました。 両面プリン基盤用と書かれていたもので、ハンダが溶けるとサラリと流れ、当接している部品の隙間の中にでも流れ込み、隙間をハンダで満たされる特徴があるそうです。 チップ部品のハンダ作業には欠かせない半田です。 Oゲージ工作の「Giants of the West」さんのブログを見て教わりました。

 通常の半田は少し粘り気があるので、少しぐらいの隙間でも連結することが出来ます。 しかし、この共晶ハンダでは隙間が広すぎると接続してくれません。 このため、使用する条件に合わせて使い分けています。

 また、基盤の穴ピッチは 2.54mm ですが、前照灯と尾灯のピッチは 3.5mm なので、LEDの取付は少し広めに取付ました。 中央部がプラス極に、両端がマイナス極になるようにしています。 LEDの極性を逆にしているのは、前進時には前照灯が、後退時に尾灯が転送するようにするためです。 下左の写真。

 なお、前照灯用のチップLEDは、表面実装ウォームホワイト色LED、品番が OSM50805C1C 2.0x1.25x1mm SMD サイズのLEDです。 尾灯は、表面実装赤色LED、品番が OSR50805C1C のLEDです。

 ハンダ付け後の点灯チェックを実施したのち、周りにタミヤのパテを塗りました。 チップ周りの遮光をするためです。 半日ほど置いてパテが固まると、さらに上塗りを実施します。 これはパテに引けが発生するからです。 チップ部品が埋まってしまっても構いません。 パテが固まると、上面をチップ部品が頭を出すまで、やすりで削っていきます。 この上にかぶせるカバーと密着させるためです。 この時も点灯チェックをしながら削っていきます。 チップ部分は上面を多少削っても大丈夫なようです。

 そして、上にカバーを載せて、隙間や側面にたっぷりとパテで塗り固めます。 上右の写真。 パテが固まると側面などの余分なパテは削って所定の寸法に仕上げます。

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 そして、二つのユニットを合わせて、配線盤に配線します。 プラス側にはひとつのチップ抵抗を介して集電板と接続します。 抵抗値は 二つのLEDを並列に点灯させるので 510Ωとしました。

 

 右の写真は、パワーユニットを使って点灯チェックをしている状態です。 通電方向を変えて、前照灯と尾灯の点灯状態も確認です。

 

■ 車体への取付

 完成したユニットを車体に取付けました。

 配線盤は床面の先端に両面テープで張付けました。 ライトユニットはテープ等で固定するにはスペースがありませんので、ゴム系接着剤を使って固定しました。 光軸を確認しながら取り付けています。 長めにしている配線は、ぐるぐる巻きにして押し込んでいます。 短すぎて作業が困難よりもましと考えています。

 ここでも、点灯確認を実施しています。 6号車の左の尾灯が少し暗いようですが、光軸がずれているかもしれません。

 集電回路を仮組付けして、ヤードの上に置いてみました。

 無事に点灯してホッとしました。 出来たぞ!

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 さあ、次は作業の第2ステップに進みましょう。

 

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 2022/8/18 作成