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鉄道模型実験室 No.289  実験用構成ユニットの工作

 今回の実験を始めた目的は、慣性負荷を与えた時の発進時の状態を実験してみようと考えたからです。そのために色々な予備実験を実施して実験の目途を立てることができたので、発進時の引出し特性を実験することにしました。今回はその装置の構成ユニットを工作した。

 

■ 構成ユニットについて

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 今回の実験を始めた目的は、慣性負荷を与えた時の発進時の状態を実験してみようと考えたからです。そのいきさつは、「物理実験を始めよう」(2026/2/21)にて紹介しました。そして、始めた構成装置の工作や、測定方法の検討を含めていろいろ改良や実施してきました。

 そして、やっとその目途が付いてきたので目的とする実験を始めることにした。このための実験装置としては、慣性体ユニットと引張力測定ユニットが必要となったので、その工作から始めた。この二つのユニットの完成体を右の写真に示す。

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■ ロードセルの較正作業

 最初に、引張力測定のためのロードセルの較正作業から始めた。使用したロードセルは、今までいろいろ使い回しをしてきたので経歴が分からなくなってきたが、2016年にアマゾンにて入手したロードセルの様である。

 仕様としては、定格荷重が 100g で、使用電圧は 5V DC である。用途はキッチンスケール用と思われる。配線部の半田が外れてしまっていたので、半田付け工作から実施し、半田部をパテで覆っておいた。また、ノイズ防止のため、配線部をアルミ銀紙で覆った。

 また、このロードセルに必須となるADコンバータは、昨年 SWITCH SCIENCE から入手した HX711 搭載ロードセル・アンプモジュール SFE-SEN-13879 を使用した。今回の測定は、10〜20msec のタイミングで測定する必要があるので、出力データレートが選択可能なモジュールを選んだ。このデータ処理 ICの HX711は 10sps と 80sps のレートを選択できる仕様であるが、基板によっては 10sps しか利用できないもの(秋月製のものなど)があるのだ。サンプリングレート(SPS:Samples Per Second)は、1秒間にアナログ信号をデジタル化する回数を示す指標とのことなので、 80sps のレートでは、12.5msec 毎にデジタル化したデータを送信する事が出来るという事のようだ。

 このレートの選択は、説明書に従って基板の裏側のジャンパー回路を切断して対応した。 そして、このロードセルとADコンバータをArduini UNO に接続してロードセルの較正作業を実施した。

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 このロードセルは、基本的には片持ち梁、カンチレバーであるが、構造的にはアルミ角棒を削りだして平行リンク形状にしている。このため、荷重点と荷重方向を指定する必要もなく、確実に上下方向の力をセンシング出来るのだ。これは、非常に上手い設計なのだ、グッドアイディアなのである。このため、キッチンスケールなどの構造を簡素化し、且つコンパクトにすることが出来るのだ。そして、最初はキッチンスケール用として開発されたものらしいが、応用範囲は色々な分野で使えるのである。

 測定原理は、カンチレバーによる測定と同じであり、その梁の両側面に4個の歪ゲージを貼り付けている。そしてその歪ゲージはホイートストンブリッジを構成している。製品開発の現場等で実施していた歪測定には高価な動ひずみ計を使用していたが、この処理をADコンバータが実施しており、さらにデジタルデータとして送信まで実施してくれるという優れモノなのである。この素晴らしさや技術の進歩については、メカ部品の応力測定を経験した者しか理解できない事かも知れない。

 また、測定端側には引張力を測定するため、何時ものように滑車を取り付けている。較正作業も何時ものように実施した。そのロードセルの較正結果を右のグラフに示す。直線性もバッチリである。ゼロ点が移動しているが、これは残留歪など、ドリフト現象の影響なので、測定前や後で、荷重をゼロにしてのゼロ点を確認して補正してやればよいことである。歪測定での常識である。

 重要なのは勾配の係数なのである。 Y =0.00015174X として換算し、ドリフト値はセロ点補正してやればよいのである。

 

■ 引張力測定ユニットの工作

 次に、較正作業が完了したロードセルを引張力測定ユニットに組み込んだ。ロードセルの固定側を壁にM3のネジを使って固定した。下左の写真。

 今回、測定側はいろいろ工夫した。その理由は、糸の外れ対策である。牽引時は糸が緊張している状態なので問題ないのであるが。停車時とか、回転体だけが回っている場合は糸が緩むので、滑車の溝から糸が外れてしまうのである。このため、透明パイプを使って糸のチャネルを作っておき、緩んだ時の糸を拘束するようにしている。

 また、糸の巻取りドラム側にも新な滑車を設けている。これは、測定用滑車に掛かる糸の方向を拘束するためである。動力車側の糸と巻取りドラム側の糸が、平行して測定用滑車に掛かるようにし、引張力の2倍がカンチレバーに確実に作用する構成としているのだ。この滑車の抵抗は負荷抵抗となるが、抵抗の一部となるだけなので、測定結果には影響されないのだ。

 この測定ユニットの全体を下に示す。

 表面の板の裏側には、Arduino などの電子部品を取り付ける予定である。

 

■ 慣性体ユニット

 慣性体ユニットは、先回の「慣性円盤の慣性モーメントを大きくする」(2026/3/7)に取付用の土台を追加したものである。

 これによって、このユニットはどっしりとして安定した状態を保っている。巻取りドラムの下方にレールを固定したレール台を取り付ける予定なのだ。

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 必要なユニットの工作が出来たので、いよいよレール台を取り付け、測定回路の配線とパソコンの準備をして、実験を始める事にしよう。

 

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 2026/3/15