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小型SL用の前照灯を作る

■ はじめに

 我がミニレイアウトを、またまた手直して、初めての雪景色工作を実施した。 さらに、外灯などの電気工作も施工したが、雪景色の中を走行させる夜行列車がありませんでした。 非電化区間なので電車は走行できません。 そこでディーゼル客車か、客車や貨物を牽引する機関車が必要となるのですが、ミニレイアウトを走行出来て、さらに前照灯が点灯す機関車が必要なのですが・・・・・・・・・・・・。 無ければ作るしかないので工作することにしました。

 

■ 小型SL用の前照灯を作る ・・・・ 18688号機

 

 

 まず、前照灯の大きさは、スケールサイズから見て、φ2.0mm 以下である必要があります。 3mmの砲弾型LEDは多数市販されているのですが、サイズ的に大きすぎます。 そこで、2mm のLEDを探したのですが、残念ながら見付けることが出来ませんでした。 LEDを内蔵して、光ファイバーで導光する方法も有りますが、小型SLにはそのスペースも充分では有りません。 最近、チップ式の電灯色LEDを見つけたので、これを前照灯内にはめ込んでコンパクトに作る事にしました。

 色々なアイディアをノートに書き留めて、幾つかのチップLEDをおしゃかにして、やっと右のイラストに示すようなヘッドライトを作り上げる事が出来ました。 工作に専念していたため、工作途中の写真が有りませんが、後から作成したイラストでご容赦ください。

 対象とした車両は、マイクロの18688号機です。 この車両は麦球のランプを内蔵していますが、暗過ぎて、申し訳なさそうに点灯しているだけで、車両の前方を照らすような明るさはありませんでした。 照明ユニットを納める車両内のスペースも充分です。

 幾つかの失敗の中で、チップLEDを保持するには、しっかりとした土台が必要であることを学びました。 弱い導線とパテで固めただけでは、パテの強度が不足するため、すぐに壊れてしまいます。 透明なエポキシ樹脂で固めるためには、それなりの鋳型を作っておく必要があるのですが、小さすぎて工作困難であり、また、僅かな量の液の調合が正確にできななかったので、硬化してくれませんでした。

 そこで、イラストにあるような構造にしてみました。 素材は t = 0.1mm の燐青銅板をイラストの左下に書いてあるような形状を2枚作り、中間に t = 0.5mm のプラ板を挟んで、カプトンテープを巻いた上で細い真鍮の針金で括って固定しました。 そして、φ2.0mm の真鍮線を使って円筒形に整形しました。 その円筒部の底に、チップLEDを挿入し、LEDの両極を燐青銅板にハンダ付けしました。 2枚の燐青銅板は絶縁されていますので、通電させてLEDの点灯チェックが可能です。 無事点灯出来ればライト部分の中間チェックは合格です。

 次にベースを作ります。 ユニバーサル基板を切り取って、定電流ダイオードE-153 と逆流防止のダイオードIN4148 を使い、また、フレームに接触させるための足を、これも t = 0.1mm の燐青銅板使って工作し、基板にハンダ付けします。 さらに、ライト部分も基板にハンダ付けして点灯チェックを行います。

 無事合格できれば、透明プラ棒から 2mm 切り出して円筒部分にはめ込み、レンズとします。 さらにLEDの周りの隙間や背面に、LED光の遮光としてパテを塗って置きます。 出来あがった、機関車のヘッドライト部分に挿入出来るように調整しますが、燐青銅板を固定していた細い真鍮線とカプトンテープは格好が悪いし、邪魔になるので慎重に除去します。 ライト部分の燐青銅板は、基板上にしっかりハンダ付けされているためもう安心です。 機関車のフレームとの接触具合を調整し、点灯チェックで問題無ければ黒色を塗って完成です。  下に雪化粧を施した18688号機を示す。 ヘッドライトも眩しく光っています。

 

 

■ 小型SL用の前照灯を作る ・・・・ B6 2286号機

 上記の工作に気を良くして、第2弾としてKAWAI の B6型 2286号機を選定しました。 この車両は、急カーブを走行出来るように従車軸の首振り加工と、モータの置換を実施しており、ミニレイアウト走行には持って来いの車両です。 分解した状態を下に示す。 ボイラーの先端に埋め込まれている重りを取り去ると照明ユニットを納める為のスペースが充分にありましたので、今度は右のイラストに示すような構造にすることにしました。

 ユニバーサル基板と定電流ダイオードE-153 、および逆流防止のダイオードIN4148 を、TYPETと同様に使用しますが、チップLEDとの接合は、ダイオードの足をダイレクトに使用する事にしました。 また、フレームとの接続は、 t = 0.1mm の銅板(イラスト図では 0.05 と記入してありますが間違いです ) を使用しました。 この銅板の裏側には粘着剤が塗布されているので、車体の裏側に接着させて固定させます。

 出来あがったユニットを上に示す。 銅板の裏側には粘着剤の防護紙がまだ貼ってあります。 このユニットを車体に組み込んでみました。

 ユニットの下側には、絶縁用のカプトンテープを間に挟み、水草の重りを詰め込みました。 さらに右の写真のように、活用出来そうな空間にも埋め込んでいます。 銅板は車体の裏側に沿って貼りつけ、フレームの側面に接触させます。 フレームを組みこんで走行させ、点灯具合をチェックします。 問題無く点灯しましたので、最後の仕上げを実施しました。

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 まず、チップLED の表面にレンズとして模型店で見つけた小さなφ2mm のレンズを使用しました。 右の写真。 ガンダムなどのフィギア加工用らしいです。

 そして、φ2mm の黒い熱収縮ツーブを長さ 3mm 程度に切り取り、円筒形の筒カバーとしてかぶせました。 LED の背面などにはパテを塗って遮光処理を実施し、黒色を塗って完成です。

 おっと、最後は、左の写真に示すように、紙粘土と雪の粉を使って雪中走行用にした状態にしています。 ボイラーなどは熱で溶けているだろうと想像しながら雪を付けましたが、実物を見ていないので、半信半疑です。

 なお、加工前のボディは、7.5グラムで、その内重り部品は3.9グラムでした。 重り部品の代わりに水草の重りを使用した加工後の重さは、7.2グラムありましたので、重量は、ほぼ回復したものと考えています。

 

■ 12m級客車の室内灯の加工

 これらの機関車に牽引されて、ミニレイアウトを走行させる客車としては、Bトレの客車を多数持っていますが、室内加工した車両は今は数台に減っています。 バンダイ製の台車で集電させて、室内灯を設置しましたが、(バンダイの走行台車を使って室内灯を細工するを参照) 走行抵抗の関係で、今では台車をもとに戻し、室内灯を撤去しています。

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 また、12m級の客車(S系客車)については、全車に室内灯を設置しています。 S系客車のリスト参照。 しかし、集電可能な台車が充分に入手出来なかったので、GM製の台車を加工して集電していました。 その工作方法は、「国電155系への室内灯工事」と同じ工法で実施しており、走行抵抗は大きめで、集電性能は劣っていました。 昨年のフリーマーケットにて、集電機能付きの台車を安く販売していたので、多数入手していた事を思いだし、その台車を使ってみる事にした。

 台車はキハ82 用の DT31 である。 品番: 6061-3D 。 キハ用であるので、レリーフ部分の形状は、客車用とは言い難いが、2セット分がたったの@300.- であったので、思わず買ってしまったのである。 この台車にはカプラーポケットが付いていないので、集電子部分だけを取り出して使用するつもりであったが、GM製の台車に装着するには、かなりの加工が必要であった。 そこで、この台車をそのまま活用する手を工夫してみた。 台車の突起部分にカプラーを取り付けようするもので、接着方法は、強度が期待できる熔着方法とした。

 カプラーとして、取り付け部分がピッタリのKATO カプラーN B タイプ交換用のカプラーN JP B (品番:11-722 )を使用する。 手持ちの物は、たまたまジャンパー線タイプであった。 取り付け面の高さは、カプラー側が0.5mm 程高かったので、その位置合わせも必要である。 このため、 熔着作業用の簡単な治具をアイスの棒を使って作成したのが、右上の写真である。 両面テープで、カプラーと台車を固定した状態(下左の写真)で、ハンダ・ゴテを接合部分に当てて、両方の樹脂を少し溶かして一体化させた。 完成した状態を下右の写真に示す。

 これで集電機能付きの台車が完成したので、次に車体を工作する。 集電用の角が入る長穴をドリルやルータを使って細工した。 また、車体の内側には、厚さが0.1mm の燐青銅板を使って集電回路を形成した。 下の写真。

 次に照明ユニットを工作する。 短い車体なので、チップLED を2個使って導光板無しで直接照らすようにした。 チップLED は、OSWT1608C1A の白色を2個使用し、定電流ICチップは、15mA 用の NSI45015WT1G を2個使用する。  ブリッジダイオードはいつもの DI1510 を使用した。 コンデンサは10μFである。

 基板は、片面銅張積層板 FR-1(65N132、t = 1.6 )から 6×70mm の大きさに切りだして回路を構成した。 極性の方向に注意しながらハンダ付けし、LED の表面には黄色の透明プラ板を貼りつけて完成である。 下の写真。

  

 ブリッジダイオードの入力側の足は、外側に曲げており、車体に設置した端子の部分に挿入するようにしている。 上の写真。

 この照明ユニットを車体に組み込んだ状態を下に示す。 車室内の床面は、0.5mm の白色プラ板を挿入している。 下右には台車を組み込んだ状態を映しているが、カプラーの長さは、ピッタリの位置で、客車同士を連結すると、半径140mmのカーブでもぎりぎりセーフであった。

 最後に線路上で点灯チェックを実施する。 光の偏りもなく、白い床面が綺麗に見えており、照明工作を合格とした。 のっぺらぼうの床面でなく、何らかの座席と人形を配置すれば満点であるが、今後の工作としておこう。

 今回は、4両のS系客車に工作を実施したが、今までの車両と組み合わせて、雪の中の夜行列車を早速、走らせることにしよう。