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チップLED式室内灯の改良(44系旧形客車)

■ はじめに

 先回、オハ31系旧形客車用にチップLEDの室内灯を工作したが、さらに44系旧形客車にも応用する事にした。 今回は、小型のブリッジダイオードDIP型とチップ式コンデンサーを入手していたので、この部品を使用してさらにコンパクトな室内灯ユニットに仕上げる事が出来た。

 

■ 工作内容

 今回工作対象として選定した車両は、KATOの古い構造の客車で、手作りの麦球式の室内灯を装着していた。 「スハ44系客車に室内灯を設置する」参照。

 工作で使用する部品のリストを下に示す。 すべて秋月電子の通販にて入手する。

部品名 品番 メーカー 仕様
表面実装 ウォームホワイト色LED OSM50805C1C OptoSupply If=20mA、Vf=3.3V、Iv=450mcd
定電流IC (15mA) NSI45015WT1G / S-153T ON Semiconductor / SEMITEC 表面実装型、15mA、460mW / 500mW
ブリッジダイオードDIP型 S1TB20 新電元工業 200V 0.4A
チップ積層セラミックコンデンサ 10μF25V2012 村田製作所 10μF 25V

 定電流ICは、NSI45015WT1Gは前回も使用した部品であるが、在庫が切れたので追加注文していたS-153Tも使用する。 あとから気が付いたが、薄型になっていたものの、コストは倍になっていた。 安いNSI45015WT1Gで充分であった。 部品の配置を色々検討したが、ブリッジダイオードとチップLEDを内側に、定電流ICとコンデンサを外側に装着することにしたため、スルーホールのユニバーサル基板が必要となった。

 

 まず、今まで装着していた麦球式の室内灯を取り外した。 下の写真。 そして、車体をしげしげと眺めていると、この44系客車の乗降口は、車体の一方側にした無い事に気が付いた。 座席は両側に一列ずつの一方向に向いており、さすが特急用のハイレベルクラスの客車仕様である。 そして、室内灯ユニットを取り付ける部分は、トイレ側の乗降口の無いために広くなっているスペースのある側とした。  下写真では右側として、今までの方向とは逆にする。

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 室内灯の麦球の足は、集電シューに直接ハンダ付けされているので、このハンダを溶かして切り離し、集電シューは再利用する。 また、クリル板から切出した照明板も同様に再利用する。

 

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 さて、新しく作るユニットの基板は、ユニバーサル基板を切り出して作るが、今回は両面に表面実装部品を装着する必要があったため、スルーホールのある両面基板を使用することにした。

 今回、新たに使用する小型のブリッジダイオードのピンの寸法は、1ピッチ×2ピッチの小型であるため、ブリッジとチップLED部品を中央に設置する事が出来た。 また、装着する部分のスペースより、切り出す基板の大きさを右の図の寸法に決めた。 切り出した基板を車体に当てがって寸法のチェックを行った。 下左の写真。 上側は、屋根の丸みに合わせている。 下右の写真のように屋根部品にも当てがって見た。 何もこの様にキッチリとした寸法にする必要は無いが、LEDの光りが照明板以外にはなるべく漏れないように遮蔽板の代わりになるように、部品の隙間を減らすことを考えたのである。

 上側面は、屋根部材の縁が入り込むために、逃がした形状になっている。

 チップ部品とダイオードを取り付けた状態を下に示す。 相変わらずチップ部品のハンダ付けは下手くそですね。 ブリッジの入力側の足は両側に開き、しっかりとハンダを盛って、集電シューとの接続用端子としている。 もし、盛り過ぎた場合には、ヤスリで削れば良いと考えている。

 点灯チェックを実施して、点灯が確認出来ればユニット機能は合格として、先回と同様に、絶縁と遮光を兼ねてタミヤパテ(ホワイト)をユニット全面に塗った。 勿論、LEDと接続用電極部分は除外している。 仕上がった状態を下に示す。 ブリッジダイオードの高さが思っていた以上に飛び出しているが、パテを塗ってしまうと下手くそなハンダ付けが隠れてしまい、コンパクトな室内灯ユニットに仕上がったと自己満足している。

 今回の工作では、荷物車スハニ35の車体に尾灯を追加加工した。 φ3mm の赤色LEDをブロック内に埋め込み、φ1.0mm の光ファイバで車体後端に導光する工作である。 光ファイバーの途中の遮光は、内径φ1.0mmの熱収縮チューブを使用した。 下左の写真。 他の車両の部品一覧を下右に示す。

 拡大すると下手くそな工作が丸見えとなってしまうが、工作の要点を記録して置く。 以前制作した手作りの集電シューは、台車の集電子の先端と接触するベロの部分が重要である。 特に、組付け後に浮き上がってしまうと、折角の室内灯点灯工作が無駄になってしまうのである。 ベロが浮き上がらないようにあれこれ調整したが、一番のポイントは、立ちあがっている端部の角度であった。 下左の写真のように、先端部分を少し曲げ、内側にハンダメッキを施して室内灯ユニットとの通電性を良くしておいてから、水平部分との立ち上げ角度を、写真のように鈍角に設定した。 車体に組み込むと、この端部が垂直になる状態に押し込まれるので、リン青銅のバネ作用によってベロの部分が下に押さえ付けられるのである。 こうしてベロの浮き上がりを防止している。

 上右の写真は照明板の保持板と室内灯ユニットを並べた写真である。 この保持板は、ユニットを室内に装着した時の固定も兼ねている。 下の写真はユニットを装着した状態を示しているが、客室との間の壁と僅かな隙間が有る事が見えるだろうか。 ここの隙間に保持板を押し込んで、ユニットを外側に押しつけ、床下から伸びている集電シューの端部とユニットの電極をしっかりと接触させる役割をしているのである。

 その装着状態をさらに下左の写真に示す。 この保持板は、ポリプロピレン製のPPクラフトシート(PS-9)で、厚さは 0.75mm である。 このシートは柔軟性があり、かつ不透明なので、レイアウトなどの工作に便利に使用している。 この保持板を挿入する事によって、ユニットと照明板をしっかりと固定する事ができており、分解組付けも容易いである。 なかなかのグッドアイディアと自己満足している。

 完成した荷物車スハニ35の尾灯と室内灯の点灯状態を右上の写真に示す。

 また、側面から見た室内灯の点灯状態を上に示す。 LEDの電灯色も綺麗だし、室内がほぼ均一に光っているのも確認出来た。 今回は7両の44系客車の工作を実施したが、まだ3両残っている事に後から気が付いた。 でも横着なので、気が向いたら追加工作する事にして、今回の工作を完了とすることにした。