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スハ43系客車の室内灯加工 その1

■ はじめに

 最近は、KATOさんの頑張りで走りの素晴らしい蒸気機関車が増えてきました。 そこで、このSLにマッチする旧型客車を増強しようと、スハ43系客車を1セット、7両を入手しました。 セットになった中古品でしたが、安価であったため思わず手が出てしまったのです。 しかし、室内灯は未装着だったので工作することにしました。 セットになっていたと言っても単品を寄せ集めて編成されていたため、古い品番のものが混じっていました。 このため、台車は集電構造でしたが客車本体側では通電のための細工が必要でした。

 また、以前から持ち合わせていた43系客車(ローカル列車1の編成)も麦球式の室内灯を装着していましたので、これを機会に電球色のチップLEDに取り変えることにしました。 そこで、最初にこちらの取り換え工作から説明することにします。

 

■ KATOのスハ43系の室内灯

 最初に、KATOのスハ43系の種類と対応する室内灯について整理しておきます。

  発売年 品番 品名 車体番号 再生産品 特徴 対応する室内灯
初代 1979年 518-1 スハ43茶 スハ43-2491 スハ43-2247 台車・床板等は前年発売のスハ35と (品番:510) 共通使用。
このため、床板には510の刻印がある。
屋根をはずすタイプ。
室内灯 11-201
519-1 スハフ42茶 スハフ42-2174 スハフ42-2053
518-2 スハ43ブルー スハ43-2491 スハ43-2247
519-3 スハフ43ブルー スハフ42-2174 スハフ42-2053
1990年 5070 オハ47ブルー オハ47-167 未調査
2代目 2003年 5018-3 スハ43茶 スハ43-2247 再生産なし

新室内灯対応化に限定した改良。
このため、屋根をはずすタイプのまま。
床板は変更されたため、510の刻印なし。

新室内灯 11-204
5019-3 スハフ42茶 スハフ42-2053
5018-4 スハ43ブルー スハ43-2247
5019-4 スハフ43ブルー スハフ42-2053
5070-1 オハ47ブルー オハ47-167
3代目 2006年 5133-1 スハ43茶 スハ43-2249 未調査 完全リニューアル。
屋根を外さないタイプに変更される。
新室内灯 11-204
5134-1 スハフ42茶 スハフ42-2193
5133-2 スハ43ブルー スハ43-2497
5134-2 スハフ43ブルー スハフ42-2259
5135-1 オハ47茶 オハ47-2282
5135-2 オハ47ブルー オハ47-2220
2005年 5077-1 オハニ36茶 オハニ36-14
5077-2 オハニ36ブルー オハニ36-27

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 出典は、ネコ・パブリッシング社の「新鉄道模型考古学N 」とKATOのホームページです。 また、これらの情報は、今回の室内灯の工作を実施した後に振り返って整理したもので、当初はなぜこんなにいろいろな構造があるのか戸惑っていました。 黄色の欄のモデルについて、今回工作した車両です。

 対応する室内灯については、右の図に示しました。 室内灯ユニット自体には、麦球式やLED式がありますが、足の部分の形状と寸法は当初から同じサイズを踏襲されているようですので、すべてに交換可能と思われます。 従って、11-210の白色室内灯や11-211 LED室内灯 クリアなどの最新部品でも初代のモデルにセットすることが可能と推定します。

 集電シューに関しては、 11-201の室内灯と11-204の新室内灯では大きく変更されており、これに合わせて車体構造も違っています。

 旧品の 11-201では、集電シューAとBの2種類あり、基板受け(右の写真の黒い部品)によって、集電シューAと室内灯ユニットを止めています。 この 11-201の室内灯部品は既に生産が中止されているため入手が困難ですし、初代のモデルには11-204の新室内灯の集電シューでは対応できません。

 このため、初代のモデルの室内灯加工には、これらの部品を自分で工作する必要があるのです。 集電シューはリン青銅板を使って加工できますが、プラスチック製の基盤受けは、工作はまず無理と思われます。 工夫が必要となります。

 

■ チップLED式室内灯の加工

 チップLED式の室内灯ユニットの構成は、「チップLED式室内灯の改良(44系旧形客車)」に倣って工作した。 定電流ダイオードは、古い旧形の客車ということで少し暗めにするために、10mA のチップCRD ( S-103T )を使用した。  先回はスルーホールの両面基板を使用したが、今回は安価で薄い片面基板を使って工夫することにした。

部品名 品番 メーカー 仕様
表面実装 ウォームホワイト色LED OSM50805C1C OptoSupply If=20mA、Vf=3.3V、Iv=450mcd
定電流ダイオー (10mA) S-103T SEMITEC 表面実装型、10mA、500mW
ブリッジダイオードDIP型 S1YB20 新電元工業 200V 0.4A
DI1510 PANJIT 700V 1.5A
チップ積層セラミックコンデンサ 10μF25V2012 村田製作所 10μF 25V
片面・薄型ユニバーサル基板 Cタイプメッキ仕上げ 矢島製作所 t=0.8mm、ガラスエポキシ

 工作は、ローカル列車1の編成を構成する車両から始めた。

● 7号車オハニ36-14の室内灯

 まず、7号車のオハニ36-14(品番:5077-1)から工作を始める。 このモデルには新室内灯 11-204が装着されていたが、麦球式からLED式に変更する。 最初に下左の写真のように取り付け方法とスペースを確認し、室内灯ユニットの構成を検討した。 今回は、下右に示す構成とした。 ブリッジダイオードはDI1510を使う。

 出来上がった室内灯ユニットを下に示すが、チップコンデンサを取り付けるのを忘れていたため、急遽昔のコンデンサを取り付けた。 尚、チップLEDは、側面発光式ではないため、チップを立ててハンダ付けしている。 このため、CRDも立てて使用している。

 LEDは問題なく、きれいに発光することを確認し、車体に取り付けて取り付け状態と作動を確認する。

 照明板と並べて位置関係を確認し(下左の写真)、下面を銀紙で連結しパテを塗りつけた(下右の写真)。 パテはタミヤのホワイトを使用したが、絶縁とチップ部品の保護を兼ねている。 本音はハンダ付け状態のアラ隠しでもある。

 レイアウト上に載せて点灯状態を確認する。

● 6号車オハ47-2282の室内灯

 次に、6号車のオハ47-2282(品番:5135-1)に取り掛かる。 このタイプは、4号車と5号車のスハ43-2249(品番:5133-1)と同じ構造であったため、3個同時に工作した。

 この車両はスハ43系の3代目に該当するモデルである。 車両を分解してみて座席部品は茶色で 5127 の刻印が記されていた。 このモデルの品番とは異なっていたので、他のモデルの部品を流用したものと想定して探してみた。 すると、2004年に発売されたオハ35系の品番が該当した。 そこで、手持ちのオハ35を持ち出して比較すると、こちらの座席部品は同じ 5127 の刻印があるものの、白色であり、刻印場所も違っていた。 このオハ35は新品の単品を2010年に購入しているので、こちらが再生産と推定している。

 さて、このモデルの座席部品を見ると室内扉の壁がないので、ここにブリッジダイオードを収めることにした。 室内灯ユニットの構成については下左の写真に示す。 ブリッジダイオードは小型の S1YB20 を使う。

 ブリッジダイオードの入力端子は、両側に開いて基板にハンダ付けし、集電シューとの接点とした。 今回は基板を立てて使うのでLEDは平面で使用出来た。 また、コンデンサチップは取り付ける場所が無かったので、裏側で取り付けた。 取り付け状態を下右に示す。

 車体に取り付けて通電を確認後、パテを塗りつけたユニットを完成させる。

 照明板とは、遮光を兼ねてやはり銀紙を使って接続した。 なかなかコンパクトに出来上がったと自画自賛している。

● 3号車スハフ42-2174の室内灯

 次に、3号車のスハフ42-2174 (品番:519-11)に取り掛かる。 今まで、室内灯 11-201が装着されていた取り付ける場所の様子を下左に示す。 今回もブリッジダイオードの足を使って集電シューと接続することにする。 このタイプは基板受けを用いるため、足の中央部が干渉しないように開けておく必要がある。

 完成したユニットを下に示す。 CRDの長さが基板のピッチより長いので、取り付けに四苦八苦している様子が分かると思います。

 また、基板の上方が狭くなっているのは屋根部品との干渉を避けるためで、屋根を外すタイプの場合の注意点になります。

 車体にセットした状態を上に示す。 照明板はブリッジダイオードの肩の部分に載せてパテで固定しました。

 残りの作業は、次回に報告しよう。  続く!

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 2016/5/11 作成