HOME >> 鉄道模型実験室 > 新しいテープ式室内灯 チラツキの限界図
テープLEDのチラツキ状態を観察している。今回はコンデンサを使用した場合の放電特性と、チラツキ限界との関連を探り、ひとつの限界図を考えてみた。そのいきさつを説明する。
■ チラツキの限界を図示するには?
まず、課題の一つである「コンデンサの放電電流特性と、チラツキの限界図とを鑑みて、チラツキの程度をどのように判断するのか、屁理屈がまだ分かりません。どちらも、時間と電流の2次元の線図なのですのが・・・・・・・・・・。」について考えてみた。
まず、先に得られた二つの図を下の様に並べて、しげしげと眺めていました。
そして、この左の図の放電電流の曲線に注目すると、13mAまで落込んでから、10msec 後に 11mAになるとチラツキを認識出来るようになり、20msec 後になるとしっかりとチラツク様になることがわかります。
放電電流は時間と共にどんどん変化しているが、もし、その状態にて電流が一定値を保っているとすれば、何秒後にチラツキが認識されるのだろうかと考える。そして、この時間を加算した状態を線図に描いてみると、その線図が限界線を示しているのではないかと考えました。
ここで、電流の変化を定常値との割合で示す事にする。即ち電流値を Y2/Y1 の比率で示す。Y1が定常値でY2が時間での変化値である。そしてある比率の時の放電時間を x1 msec とする。次に、チラツキの限界図で求めた同じ比率での時間を x2 msec として、この時間を加算した場合の値を計算する。
即ち、
x = x1 + x2
そしてExcel を使って、Y2/Y1 の比率と加算時間 x を計算してグラフに示したのが下のグラフである。わすかなチラツキの場合とチラツキ有りの場合の線図を描いた。
この線図では、どのような割合の時まで電流が落ち込んだ時に、どのくらいの時間でチラツキを認識するのかを示していると考えると、この曲線の一番短い時間、即ち、左側に出っ張りの部分の時間がチラツキ限界と考えることが出来ます。上の左のグラフでは、わずかなチラツキは 20msec 時点で、チラツキ有りは 25msec 付近で認識されると考えることが出来ます。
組合せ | 10ms | 13/14ms | 20ms | 30ms | 40ms | 50ms |
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100μFの電解コンデンサと510Ωの抵抗 | ||||||
100μFの電解コンデンサと18mAのCRD | ||||||
94μFのチップコンデンサと510Ωの抵抗 | ||||||
94μFのチップコンデンサと18mAのCRD |
そこで、「パルスを観察 その2」(2024/3/12)での評価結果と比べてみよう。その中の表を右に転記する。セルの色分けに注目してください。
色分け |
認められない | わずかにチラツク | まあまあチラツク | ぱっちりとチラツク |
表中のデータは省略しており、一部を追加確認しています。
この表での評価結果は、上の限界図とおおよそ合致していることが分かります。 チップコンデンサの場合も同様に作成してみました。ただし、横軸の時間軸は半分にしています。
こちらも同様に合致していることが分かります。このことは、上記のグラフが、チラツキの限界をを示した限界図を示していると言えます。
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ここで、計算の元となる放電電流の求め方をメモしておきます。忘れそうなので!
やや手間が掛かるが、かなり正確な近似式が得られます。また、この放電特性は、テープLEDの種類、電流制限部品の種類、そして使用しているコンデンサによって特性が変化しますので、これらの組み合わせ毎に測定する必要があります。
■ まとめ
今回、チラツキの限界図を作成するという方法によって、LEDのチラツキ現象を把握するためのひとつの手がかりを得ることが出来ました。
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でも、もう一つの課題が残っています。それは、実際のチラツキが発生している状態を示す実データが無いのです。電流の遮断時間とか、発生頻度などです。このためには、実際に模型車両を走らせ、その時の電流状態を測定しなければならないのですが、果たしてどうやって測定しようとこれまた問題なのです。
そこで、昨年作成した小型のターンテーブルを使って挑戦することにしました。
2024/3/25