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鉄道模型実験室 No.239  新しいテープ式室内灯 回路瞬断の発生状況 その1

 実際のチラツキが発生している状態を示す実データの観測に挑戦しています。電流の遮断時間とか、発生頻度などを観察したいので、実際に模型車両を走らせて、その時の電流状態を測定することにしました。その方法として、昨年作成した小型のターンテーブルを活用することにしました。

 

■ 実験の準備

 最初に小型ターンテーブルの改造から着手した。内容はターンテーブルを逆転させるためのスイッチを追加工作しました。動力モータを持たない客車や電車などのトレラー車の場合は、ターンテーブルを装置のモータで駆動させなければならないが、今まではテーブルを左回りの方向にした駆動させる事しかできなかった。すると、トレラー車を止めておく連結棒には押し付ける方向に力が働き、カプラー部の座屈などの変な力が作用する恐れがあった。

 これは、車輪にも影響して、集電機構へも変な影響があるのではないかと心配し、連結棒を引張方向に作用させるために、テーブルの回転方向を逆方向にさせたかったのである。このための逆転用のスイッチを増設した。下の写真。

 次に、モータ駆動軸の回転をテーブルに伝達させる部材を下左の写真のように加工した。

 そして、オシロのプローブの接続を安定させるため、その接続基盤も上右の写真の様に工作した。プローブをしっかりと接続するために銅線でひっかける部分を配線した簡単なものでる。でも、実験途中でノイズに悩まされたので 0.1μFのパスコンを追加している。

 また、下左の写真に示すように3本のΦ0.2mmの細いポリウレタン線をピンヘッダに半田付けしている。そして、上記の基盤に設けられたピンホルダと接続する。

 オシロ入力用のプローブは下左の写真のように、安定して状態で保持されています。一方、ポリウレタン線はテスト車両の室内灯ユニットと接続して電圧信号を取り出すようにしています。下右の写真。

 車両とは細いポリウレタン線で接続されているので、車両の動きをほとんど制約しないような状態で走行させる事ができています。使用したテスト車両は、10系客車のナハ11−2027号車です。テープLED部分は天井から取り外し、座席シートの上に仮止めしています。また、プローブ用配線のCH1は、線路から給電された右のプラス側に、GNDは左のマイナス側に接続し、CH2はブリッジダイオードのプラス出力側に接続しています。

 CH2は電流を測定したかったのですが、測定用のシャント抵抗を挿入できなかったのでブリッジダイオードのプラス出力側に接続しました。電流制限抵抗は1KΩを使用し、100μFの電解コンデンサも接続されています。LEDは12volt仕様のテープLEDです。

 

■ 実験のトライ

 装置を稼働させてチラツキ具合を観察しました。線路に供給する電源は、直流の安定化電源を使用し、下右に示すオシロスコープで電圧を観察しました。

 走行状態を下左の写真に示します。室内灯はかなりちらついていました。レールと車両の関係は下右に示すようにレールのカーブがきつく、台車間隔の長いボギー車では少し無理のような状態でした。でも走行状態には異常ありませんでした。

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 オシロの画面を右に示します。左の画面は ひと罫線が500ms のスピードでスイープさせた状態の波形保存画面です。 そして、右の画面はこの一部を拡大表示させたものです。

 黄線のCH1は線路からの給電状態を示しており、青線のCH2はコンデンサ部、即ち1KΩの電流制限抵抗の上流側の電圧を示しています。

 

●状態の改善

 拡大画面で分かるようにコンデンサに溜められた電気によってCH2の電圧は高く保たれているのですが、少し異常な状態と判断しました。 その理由は、

  1. CH1の遮断電圧が滑らかなカーブになっている。・・・・・・・・・・ストンと切れていないのである。
  2. 遮断時間が 100msや150msなど長いものがある。
  3. テーブルの特定の回転位置で決まって消灯する。

などである。そこで、線路の接続部の接触が悪いのではないか考えて、線路の接続部をすべて半田付けし、ヤスリとペーパーで線路面が滑らかになるように修復しました。さらに線路も何時もよりも丁寧にクリーニングしました。でも、その結果は改善されませんでした。

 次に疑ったのがターンテーブルの回転集電部です。良好な接触を保つようにと塗っていたタミヤの接点グリスがムラになっていたことや、銅面が少し凸凹していたのです。そこでグリスを綺麗に拭き去り、ペーパーにて凸凹を修復しました。そしてクリーナーを使って汚れを綺麗に落とした状態で再組付けをしました。

 さらに、走行車両を台車スパンの短い小型車両に変更しました。下の写真。S系車両のスハ43-2356号車です。そのシャシーを使って新しく室内灯ユニットを工作しました。テープLEDは、FCOB仕の5volt仕様で5ユニット分を切り出して使用しました。

 テスト用としてまだコンデンサを設置していませんし、電流も測定したかったので、100Ωのシャント抵抗も取り付けました。定電流ダイオードは5.6mA用を使いました。

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 改善結果は良好でした。回路の遮断時間は2〜4msecの短時間であり、遮断もストンと落ちています。そして頻度も少なくなりました。

 室内灯のチラツキもありませんでした。このくらいの瞬断では、チラツキに影響ないようですが、少し線路のクリーニングをやり過ぎたようです。実験目的のチラツキ実験にはなりませんね。

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 結論として、上記の異常パターンの原因は、テーブルの集電機構の集電不良であると判断しました。ただし、接点グリースの影響なのか、表面の凸凹なのか、あるいは汚れなのかは特定できませんでしたが、常に綺麗にしておく必要があります。

 なお、少なくなったとは言え回路の遮断が発生しています。これが、車両部での集電不良なのか、ターンテーブル部の集電不良なのかは判別できていません。この特定は難しそうですね。

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 次回は、この方法で発生頻度などを観察することにします。

 

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 2024/3/29