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登山鉄道 新自動運転システム 制御回路の検討

■ はじめに

 制御に必要な入力と出力項目を検討した結果、使い馴れた Arduino UNO が使える事がわかったので、ハード回路の検討を開始することにする。

 

■ 制御部の設置場所

 まず最初に制御回路の設置場所を考えた。 先回はレイアウトの台枠に制御ボックスを取り付けていた。 そして、登山鉄道のブロックとその制御ボックスは別体となっているため、多くの信号線や操作用電線は、長い電線を使用して、かつ、両端はコネクタで接続していた。 このためメンテナンスを実施する時は、この閉栓の脱着がひつようとなるため、一大作業となっていた。

 今回は、その反省より登山鉄道のメインのブロックと制御部を一体化させ、メンテナンスのための脱着作業の容易化と、配線の簡素化を狙うことにした。 これは、制御システムの簡素化によっても可能となったのである。

 そして工作作業のために、この登山鉄道のメインのブロックをレイアウトから取外し、書斎に持ち込んだ状態を下左に示す。

 そして、制御部を設置しようと考えている部分を上右の写真に示す。 この部分に Arduino などの制御回路を取り付けようと考えている。 スイッチ類やボリュームは制御部分の前面に設け、上部は取外し可能な蓋とし、丘などの造形を作って隠してしまおうという魂胆である。

 

■ 制御ボックスと回路基板の解体

 回路構成は、先回のシステムを参考にして、流用・活用出来るもの、修正するもの、ストック品にしてしまうものなど、ハードとソフトの両面を念頭に置きつつ、制御ボックスの解体を実施した。

 部品類の再利用を考えているので、解体は慎重に実施した。 ハンダ部分を慎重に吸い取り、線はそのままの長さになるように分解して行った。 その結果の状態を下左に示す。 ポイント切り替えの駆動部は、そのまま流用するが、ポイントの個数が4個から3個に減っているので、その部分の部品を取外し、ここに給電制御用の回路を設置して、12ボルト系の回路構成をひとまとめにする予定である。

 また、分解後のコンデンサ、抵抗、LEDなどは、テスターで機能チェック可能な部品であるので、安心のために、一つずつその数値を確認し、異常が無い事をチェックした。 熱に弱そうなコンデンサ類もすべて生きていたので安心した。 これは、組付け工作や解体作業が適切であったものと認識できたのである。 でも、さすがにトランジスタなどはチェック出来なかったのだ。

 上右の写真は、予定している設置場所に、想定している基板類を並べてみた。 このスペースで行けそうである事が確認できた。 

 

■ 回路構成の検討

 取りあえず、先回のシステムを参考にして回路構成を考えてみた。

 制御のメイン基板は、Arduino のシールドとして重ねるのでは無くて、別置きの基板として操作パネルの壁に接して取り付ける事にする。 これは、基板の端にLEDを取り付けておけばLEDへの配線が容易になるはずだ。 さらに、通過センサ用の調整用可変抵抗器を半固定式にして、この基板上に取り付けることにしている。

 検討した回路構成を下に示す。

 今回のシステムで新たに取り組む案件として、

  1. 自動運転と手動運転が使えるようにする・
  2. 通過センサは、室内の明るさの影響がすくないようにと、「光センサーを使った通過センサーを作る」で使用していたLEDによる強制照明方式を採用する。 ただし、信号は先頭が通過したことを知らせれば良いので、Cdsは1個使用とする。

を取り組むことにしている。 自動運転と手動運転の切替は、ソフト的に実施すると複雑で面倒なシステムとなるので、制御部の上の蓋を開けて、接続している導線のソケットの抜き差しを変えて実施する。 レイアウト側に接続している配線を、自動運転側ソケットか、あるいは、手動運転側ソケットに差し込みを変えるだけの超簡単な仕組みとするのだ。

 

■ センサ回路の検証

 最初に、センサー部の回路を確定しておこう。 同じ回路が4ヶ所、5回路あるので、手始めに街中駅の回路で確認する。

 レールエンドに設けたフォトインタラプタによる到着信号処理回路は、「マイクロスイッチを使った車止め」にて検討した回路で問題なかったため、このまま流用することにする。 下左に再掲載する。 

   

 駅構内に出入りする電車を検知する通過信号の処理回路は、強制照明方式とするので、LED照明回路を追加している。 電源は Arduino の標準電圧である +5ボルトでもよいのであるが、 Arduino 内蔵の電源回路の負担を減らすために、 Arduino に供給されるDC電源の +9 ボルト電源を使用することにする。 これは、Vin 端子から取り出せばよいのである。 新しい処理回路を上右に示す。 なお、入力側の0.1μFのパスコンは、下記の実験結果より追加したものである。

◆ 街中駅の回路で確認

 駅舎やホームの工作が終わっている街中駅について、センサ回路の結線を実施した。 接続基板とケーブルなどは先回の物を流用している。 センサ部の照明用 +9 ボルト電源線は、先回使用していた二つ目のホームからの到着信号線が空いていたのでこの線を使用した。 照明用LEDも街灯として使用していたストック品を活用しているのだ。

 この線路部分を使って回路の検証を実施した。 その様子を下に示す。 信号出力具合を観察するためにオシロを使って波形を観察する。

 信号処理回路はブレッドボード上に回路を構成した。 電源は9ボルトと5ポルトのACアダプターを使用し、出力側は開放の状態である。 いや、オシロの CH1 と CH2 に接続している。 (出力といえるのかな?)

 走行させた電車は、いつも使用している愛用の赤い電車である。 室内が明るい状態と暗い状態を下に示す。

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通過信号処理回路の出力信号について整理しておこう。

待機時

 Cds は明るい ⇒ Cds の抵抗は小さい ⇒ Tr のベース電圧が高くなる
  ⇒  Tr にコレクタ電流が流れる ⇒ LED 点灯 ⇒ 出力信号は LOW

電車通過時

 Cds は暗い ⇒ Cds の抵抗は大きい ⇒ Tr のベース電圧が低くなる
  ⇒   Tr に電流が流れない ⇒ LED 消灯 ⇒ 出力信号は HIGH

センサ異常時:

 断線等により Cds からの信号が無い ⇒ Tr のベース電圧が低くなる
  ⇒  Tr に電流が流れない ⇒ LED 消灯 ⇒ 出力信号は HIGH

 

 待機時には、左の写真のようにLEDが点灯している。 これは、信号回路が正常に作動していることを示すこととなる。

 

 

ついでに、到着信号処理回路の出力信号についても整理しておこう。

 待機時

   フォトインタラプタに反射光入力無し ⇒ インタラプタ通電なし ⇒ Tr のベース電圧が高くなる  ⇒  Tr にコレクタ電流が流れる ⇒ 出力信号は LOW

 電車到着時

   フォトインタラプタに反射光入力 ⇒ インタラプタ通電 ⇒ Tr のベース電圧が低くなる  ⇒  Tr のコレクタ電流は流れない ⇒  出力信号は HIGH

 センサ異常時:

   フォトインタラプタへの電源断線 ⇒ インタラプタ通電なし ⇒ Tr のベース電圧が高くなる  ⇒  Tr にコレクタ電流が流れる ⇒ 出力信号は LOW

   フォトインタラプタへのGND線断線、フォトインタラプタへの出力線断線  ⇒ 上に同じ。

 センサ異常は本当かな? また、待機中なのか。故障なのか分からないので、フェールセーフになっていないが・・・・・・・・・・。 でも、通電状態を示すLEDを見ておれば、それなりに判断できるだろうと考えている。

 

◆ オシロでの波形観察

 作動状態をオシロで観察した結果、まず、通過信号処理回路の出力波形を下に示す。 電車は2両で走行させているので、二つの山が出ている。

   

 立ち上がり時と立下り時に、細かいひげが観察されている。 Cds はスイッチではないのでチャタリング等は無いと思っていたが、何かノイズでも拾っているのだろうか。 そこで、0.1μFのパスコンを追加してみた。 その時の波形を下に示す。

   

 パスコンの効果は明らかであるので、回路に追加しておくことにする。 次に、到着信号処理回路の出力波形を下に示す。 この波形は、以前にも報告した様に、コンデンサによって大きく鈍っているが、良しとしよう。 テスト車両が軽いBトレの電車だったので、車止めにぶつかっても跳ね返されているのがわかるが、信号は一応出ているのだ。

 このデータをまとめている時に気が付いたが、CH1はHIGH時の電圧が5ボルトあるのに、CH2 では 3.5 ボルトしか出ていない。

 なんで? ベース電流が少し流れているのかな? 半固定抵抗の値を変えてみると変化するのかな?  後から気付いているようではダメですな! トランジスタは奥が深そうだ。 取りあえず、デジタル信号入力としては使用出来るので良しとし於いて、回路が完成した後にこのあたりの様子を勉強してみよう。

 

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 2018/2/25 作成  M.T.