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鉄道模型工学 特性解析 今後の課題
■ 現状の問題
今まで、色々工夫しながら楽しんで来たが、測定作業や工作に対する意欲が萎えて来ているのが現状である。 その理由は、現在の測定方法についていろいろな反省点と課題が浮かんできているからである。 例えば、
- 解析の基本となるモータ特性の測定と解析は、疑問が残らないように信頼度を上げておくこと。 データのバラツキが小さい事やモデルのマッチングが高いことなど。 理由は、解析中にモータトルクがマイナスになってしまった例が出て来てしまったのだ。 モータのトルクがマイナスと言うことは発電機になってしまっていることなので、電流値からモータトルクを換算するモデル式がアンマッチであることがバレバレなのだ。
- モータによっては個体毎のバラツキがあるので、その個体に使われたモータの測定データを使ったモデル式を立てておく必要がある。 ただし、KATO製のコアレスモータは特性が揃っていたので、標準定数が使用出来た。
- 車体を一度分解すると、慎重に再組付けをしたとしても元の状態を保つのが難しいようである。 このため、空転特性の調査など、特性解析にはズレを生じてケースがあるので望ましくないようだ。 原因調査には有効であるが、今回の様な解析には、組み付け状態が同じ状態にて測定できることが望ましい。 苦労して測定した空転特性の調査は無駄であったのだ。
- 集電回路の電圧降下量の測定は、モデルとしての全体像を把握する場合には必要であるが、動力機構の解析にとっては邪魔になるだけの要素である。 解析の信頼度を上げるためには、モータ端子に直接電力を供給するのが望ましい。
- 摩擦損失の速度項の測定方法を工夫する必要がある。 全体の摩擦損失から速度項を差し引いて抗力項の計算をしているので、今回の解析方法の信頼度は速度項の推定方法の信頼度に掛かっているのである。 そして、それは車体の分解作業無しで実施出来るのが望ましいのである。
- 計測にはかなりの時間が掛かっている。 特に8の字走行パターンにしてからは、1.5倍の時間が掛かっているようだ。 時間短縮の工夫が必要である。
- 今の測定装置は大げさすぎるので、もっとコンパクトにしたい。
- 測定したデータは本当に有効活用されているのか。 測定することが楽しいだけではないのか。 装置をいろいろ改造しながら作ること自体が楽しいのではないのか。
順不同で列挙したが、さてどうしたもんかと悩んでいるのである。 特に、第8項の疑問はホビーとしての楽しみは何処にあるのかの自問自答の問題と捉えている。
そして、その答えとして、
作っている事、作業していることが楽しいのであって、得られたデータの結果は二の次である。
の結論に達している模様である。 その証拠は、次の記述を見ればあきらかであろう!
■ 今後の取り組み予想
そのような中で浮かんできた測定方法の新しいアイディアを右のイラスト図に示す。
このアイディアは昔の円盤式測定装置の改良版である。 その時の主な課題は、
- ベニヤ製の回転円盤が歪んでおり、線路が波打っていた。
- 負荷付与方法とその時の一定速度の維持が困難であった。
であった。 これを解決するためのアイディアは、
- 1番目の課題に対しては自転車の前輪車輪を活用して滑らかな回転円盤とすること。
- 2番目の課題に対しては、ハブダイナモと減速ギヤ付きDCモータ駆動機構により、円盤を間接的に駆動させる構成とする。
である。 その幾つかのポイントを説明しよう。
- 装置全体をコンパクトにできる。
- 正確な回転円盤として、自転車の前輪車輪を活用する。
- 負荷を付与する装置としてその車輪についているハブダイナモを活用する。
- 先回課題となった牽引力計は、モータトルク測定装置の経験を生かして小荷重まで測定できるロードセルを使用する。
- ハブダイナモの負荷制御に不安があるので、ハブダイナモの固定軸側に歯車を設けて、DCモータを使って回転制御させる。 この補助回転装置が今回のアイディアのポイントなのである。 ハブダイナモの相対回転速度が調整できるのである。 負荷の調整はハブダイナモに接続した電気回路で調整し、回転速度はDCモータで調整しようとするものである。
- 円盤の回転摩擦を小さくするために、車軸を別に設けたべリングで支える。 補助回転装置のギヤ噛合いを外すと、自転車の車軸のベアリングではなく、このベアリングで円盤は回転する事となるので、摩擦抵抗のほとんどない空転回転が可能となるのではないかと期待している。 車両の牽引力が 0.5 グラム以下で円盤を回転させることが必須なのである。
- 車体に取り付けられたセンサ類の配線は、ねじれることなく取り出せるので、モータへの直接給電なども容易である。
- すべり率の大きな領域まで、自由に測定できる。
- 走行中は常時データ収集が可能なので、測定時間の短縮が可能である。
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とは言ってもまだアイディア段階なのでる。
心配な点は、補助回転装置を使った構成で、本当に制御できるのだろうか? さらには、円盤の回転摩擦がどうしても小さくできない場合はどうするか? といった点であるが、傘回しの曲芸の様な状態を想定すれば、制御によってうまく行くのではないかとも考えている。
傘回しの曲芸 : 回転させている雨傘の上で、ボールや枡が一定位置で回転している状態を演出している。 制御でも出来るはずだ。
現在、このアイディアは机上だけの状態のままである。 発案は 2018/9/2 であるので、既に1年近くもたっているのだが・・・・・・・・・・・。
************ コアレスモータを搭載したKATO製のSLシリーズ その2 (2018/9/2) を再編集 ********