
HOME >> 鉄道模型工学 > μカーブから発進特性を考える その2
いつも愛読しているさるブログの「物理実験」という記事に注目しているが、いろいろな点で懸念を持ってしまった。そこで、粘着特性であるμカーブに従って、発進時の挙動を考えてみた。そして、このμ特性を測定する方法のヒントを得ることが出来たのだ。
■ 発進時の負荷と空転状態
列車が発進する時の挙動をμ特性をもとに考えてみよう。この時のμカーブは、駆動状態をを考えているのでトラクション時のすべり率を使っています。

● 発進時の負荷が小さい場合
負荷が小さい場合は問題なく発進することが出ます。その時の挙動を考えましょう。
● 負荷が過大な場合
負荷が過大な場合は発進できず、車輪が空転状態となる。
● 上手な運転手の運転方法
では、負荷が大きな場合の運転テクニックの一例を考えてみました。列車の負荷には列車の車輪の摩擦抵抗と慣性抵抗があります。一般には慣性抵抗の方が大きいのですが、ゆっくりと発進させれば慣性抵抗を小さくすることが出来ます。
この方法は、動輪を如何に空転させずに発車させるかと言う昔からのテクニックで、コンピュータ制御の無かった頃のSLのベテラン機関手の腕の見せどころでした。動輪が空転を始めたら、素早くスロットルを戻して力をセーブしたのです。

■ コンピュータによる制御方法
上記のような上手な運転手の運転方法をコンピュータ制御で実施したのが鉄道の再粘着制御や自動車のトラクション制御です。制動時でも同様な考え方で制御しているのが ABS です。
すなわち、負荷が変動し不安定な滑走領域に突入したとしても、システムが素早く反応するため、安定した状態を保って走行できることを示している。
トラクション状態の時はモータなどの駆動力を低下させて空転しないように対応します。モータの場合は制御によって即座に対応できるのですが、自動車の場合はエンジンやミッションでは即応制御ができないのでブレーキを使って駆動力を押さえます。
ブレーキ状態の時は、タイヤの空転ではなくタイヤロックの状態となりますので、ブレーキを緩めて、車輪の回転を回復させるのです。昔の ”ポンピングブレーキ” をコンピュータ制御にて自動化させたのです。−−− ポンピングブレーキ てなあに?−−−エヘヘ。
では、すべり率はどうやって検知しているのでしょうか。動輪の回転数は各車輪ごとの回転センサにて容易に検知出来るのですが、車速はどうやって検知しているのでしょうか。
Googleの検索欄にて質問してみました。AIによる回答は、
ABSの車速検知は、ホイールスピードセンサーが各車輪の回転速度を測定し、その情報をABSコントロールユニットに送ることで行われます。コントロールユニットは、各ホイールの回転速度から車両速度に近い車速を推定し、タイヤのロックが懸念されると判断すると、アクチュエーターを介してブレーキ圧を制御して車輪のロックを防ぎます。
でした。4輪ともすべてロックする場合は無いので、どの車輪の回転数を使用するのか判断しているのです。
■ 実際の場合の計測装置
実際の場合はどうのような装置を使ってこのような特性を計測しているのだろうか。自分も鉄道模型の動力特性を測定するためいろいろ参考にさせてもらったが、多くの企業や大学、研究所などが、この課題に長年携わってきており、多くの論文や書籍も公表されている。
● 部品によるベンチテスト
まず、車輪tとレール、あるいはタイヤと路面との関係を観察・追及するため、大掛かりな台上(ベンチ)テスタが工夫され、多面的に研究されている。興味ある方は調べてみてはどうですか。μ特性に関する研究はこのベンチテストで究明されているのだ。
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● 実車テスト
実車状態でのテストも多くの実施例がある。
鉄道車両に関しては、「鉄道模型工学概論 動力特性の測定方法」(2010/12/15 )で紹介したように、大正3年 国鉄の大井工場の中に、この機関車定置試験台が設置され多くのSLの動力特性が測定されています。詳しくは鉄道ファン Vol.21 No243 号に紹介されていますので参照してください。新幹線の車両もこれに似た新しい設備でテストされていましたね。現在でもこのような大掛かりな装置があるのかどうか分かりません。
自動車の場合は、シャシーダイナモと言われている装置で実施されており、自動車分野では一般に広く普及している。 この装置は円筒のドラムを路面に見立て、その上に車輪をのせた定置型の試験機です。測定方法は上記の装置と同じ原理です。動力特性の他に排ガス規制値のテストや燃費テストなど実車状態でのベンチテストも多く実施されています。
また、計測技術が進歩したので実路面での走行時のデータも測定されているかも知れません。凍結した湖での氷上試験など昔から実施されています。
● 鉄道模型の場合の計測装置
多くの場合、簡単なテストしか実施されていないようです。スタック時の連結棒引張力程度です。アメリカでは坂道を使った装置での報告があるようですが、不明です。そこで自分なりに工夫してNゲージながら測定を実施してきました。その内容は当サイトで報告済みです。
でも最後までできなかったのが、このμ特性なのです。滑走領域でのデータをうまく取得出来ず、あきらめていた領域なのです。
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■ μ特性を測定する方法のヒント
さるブログの「物理実験」という記事を検討している時に、このμ特性を測定する方法のヒントを得ることが出来たのです。もしかして、うまくいくかも知れないと考えて装置を作って見ることにしました。
そのいきさつを簡単に説明しておきましょう。