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鉄道模型調査室   KATO製ポイントの構造

 

■ いきさつ

 KATO製ポイントについて、分解して内部の構造を調査しよう。

 

■ 4番ポイントの分解

 分解調査は、KATO製の電動ポイント4番(左) EP481-15Lで、品番が 20-220 のポイントについて実施した。 表と裏の外観を下に示す。

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 このポイントは、走行用電流の線路への流れ方を、「選択式」と「非選択式」とコントロール出来るように設定ネジが設けらている。 右の写真参照。

 非選択式の場合には、定位と反位の両方の状態の場合でも、常に両方に電流が流れる様になっており、DCC システムで使用する場合に設定するそうです。 通常は選択式にしておきます。 また、フログレールへの通電も ON/OFF する設定が可能です。

 直進側と分岐側への通電が個別に設定出来るので、場合によって使い分けが出来そうです。

 また、裏蓋の取り付けネジの頭は、特殊な形の穴なので、それに対応するドライバーが必要でした。 その特殊ドライバーを使って裏蓋を取り外した状態を下に示す。

下左の写真が定位、即ち直進状態で、下右の写真が反位の状態です。 黒いプラスチックの可動部品が左右に動き、レールを切り替えています。 一つのソレノイド、二つの磁石の構成になっています。

 その可動部品の両側には磁石が嵌め込まれており、ソレノイドの吸引力によって動きます。 その可動量は 7mm も有りました。 また可動部の裏側にはバネ線を挟む部分があり、可動部品の移動によって、斜めに取り付けられたこのバネ線を左右に振るように構成されています。 そしてバネ線の先端はトングレールの連結板の穴に差し込まれているために、黒い可動部品が動くことによってトングレールが切り替わることになります。

 一方、黒い可動部品の曲がったレバーの先には、十字型の可動電極と連結されており、黒い可動部品が動くことによって、こちらの電極も回転します。

 基板を固定している4個のナットとフログレール固定用ネジを緩めて、電気系部品を取り外します。 下左の写真。 ポイントの裏から見えていた選択用ネジはそのままにしています。 赤色の大きな部品は銅板でできた熱を伝える部品です。 コイルに発生した熱ををサーモプロテクタに伝えるもので、UCHIYA製のUP61型サーモプロテクタによって70°C以上になるとコイルに流れる電気を遮断するします。

 電気部品を取り外した後のベースを下に示す。 4個の特殊なネジと3個のナットが見えてきました。 下右の拡大写真。

 3個のナットは選択ネジのためのナットで、基盤の裏側に残っている3個と合わせて、6個のナットが使われています。 そしてベースにはナットの位置決めと回り止めのために6角形の形の堤が形成されています。 芸が細かいですね。

 特殊ネジを観察すると、その先端は、ポイントの表側で、レールの底面の両側を挟み込んでカシメ?られていました。 ここで、レールとの連結が実施されていましたが、これで本当に大丈夫かと心配になります。 4本の特殊ネジは、両外側の2本のレールと、分岐後の内側の2本のレールに対応しています。

 次に基板の様子を観察してみましょう

 基板の表側と裏側の様子を上に示す。

 3個の小ねじは選択用ネジですが、その位置を変えると隣り合った回路が通電するようになっています。 左上の小ねじは直進側で回路は遮断位置に、右の小ねじは分岐側でこれも遮断位置に、真中のネジはフログレールへの通電回路で、これは通電位置になっています。 ネジ頭の裏側を使って隣り合った回路を通電状態にしているのである。 なるほどね。 通電を確実にしたいのであれば、このネジの代わりにスリット部分をハンダ付けすれば良い事が分かります。

 次の可動電極の下側の回路を確認するために、電極を取り外しました。 それは裏側のスナップリングをドライバを使って外しました。 下左の写真。 可動電極部分には緑色の膜が塗布されていましたが、おそらく絶縁のためと考えられます。

 この回路を理解するため、レールとの接続状況を上右の写真に示す。 これによって、走行用電流の線路への流れ方が理解できます。 下の写真に、可動電極の位置を示しておきましたので、回路を追ってみてください。 

 

■ 6番ポイントの分解

 少し大きめのポイントについても、構造は同じだろうと思いながら分解してみたが、基本構造は同じながら細部はかなり違っていた。 分解した製品は、電動ポイント6番(右) EP718-15R で、品番が 20-203 である。

 裏蓋はアルミ製でたった2本のネジで止めてあった。 このため、裏板が反って両脇が浮いていたが、アルミなので容易に修正出来るが、すぐに変形してしまうだろう。 また、4番ポイントのような選択ネジなどは無かった。 この機能は付与されていないのだ。 裏蓋を開けると、構造は簡単であった。 基本的にはひとつのコイルと二つの磁石の構成で、コイルの吸引力で稼働する可動部品によって、トングレールの切替と回路の切替を実施する基本構造で、4番ポイントと同じである。

 配線はコネクタを使わずに直接基板にハンダ付けされていた。 コイルの吸引力によって稼働する黒いプラスチック部品は二つに分解されており、先端は可動電極に連結されていrた。 この可動部品の本体は、下左の写真のようにバネ線を介してトングレールを可動させるが、4番ポイントとは異なり、穴を通する構造となっていた。 

 二つに分解される可動部品は、ポイント全体がたわんでも、スムースに作動できるように配慮したのだろうか? 回転電極はネジで止められていたが、基板とベースとはネジ類を使用していなかった。 取外そうとしても出来なかったのよく見るとレールにスポット接合された部品が基板のスリッドの間を通して折り曲げてあり、回路の通電と基板の固定を実施しているのに気が付いた。 基板とは折り曲げただけなのかスポット溶接されているのか確認していないが、分解はここで中止した。 確認のためにもう一度分解してみたが、溶接ではなくて折り曲げて接触させているだけであった。

 また、赤い線がハンダ付けされた部分と回転電極の中心とに配線のための回路が見えるが途中で穴が開いているのだ。 不思議の思って拡大鏡で観察すると、回路はこの穴で切断されていた。 何のための回路だろうか? いくら考えてもその設計意図がわからなかったので、ついに、「穴加工を追加して設計ミスに対応した!」 との結論に達した。 この回路は必要ないのだ。 かえって走行電源とポイント駆動電源が連通して干渉し、悪さをする恐れさえあるのだ。 昔々のお前の経験からなのかと言いたい推測である。 思い出すな・・・・・・・・(´・ω・`)・。

 

■ 気になっている点

 分解して、その構成を作動状態を理解出来ましたが、気なっている疑問点が残っています。 それは、ポイント切替の作動は確実の様ですが、過去の経験より、通電不良が発生していたこともあり、通電性は大丈夫だろうか? との疑問は解消されていません。 過去の例として、「モジュールレイアウト ポイントの分解掃除」参照。

  1. 可動電極の通電性能は? 4番ポイントではメンテナンス時にここまで分解しないといけないので大変である。
  2. 4番ポイントの場合、特殊ネジとレールの連結部分は?

 さて、何とかしてこの件を調査してみよう。

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  2017/11/7