HOME >> 鉄道模型レイアウト > モジュールレイアウト ポイントの分解掃除 

モジュールレイアウト ポイントの分解掃除 

■ はじめに

 先回報告の「レールの電気抵抗」に於いて、ポイント部の通電性に問題が有る事を報告しました。 そこで、この通電不良を解消するために、ポイントの分解掃除を実施しることにしました。

 

■ 通電不良の状況を確認する

 まず、通電不良の状況を確認するために、不良ポイントをモジュールから取り外し、各部の電気抵抗を測定した。

 レールの各端子を上の図のように名前を付けて、それぞれの端子間の電気抵抗値を測定した。 ポイントの直進状態と分岐状態でそれぞれ測定した結果を下に示す。

 
TOMIX N-PL541-15
KATO EP481-15L
直進 分岐 直進 分岐 直進 分岐 直進 分岐 直進 分岐 直進 分岐 直進 分岐 直進 分岐
        5.1Ω 〜 ∞ 3.8Ω 〜 ∞         6.6Ω 〜 50.8 Ω 0.2 Ω 0.2 Ω
0.6 Ω 0.6 Ω         0.3 Ω 0.3 Ω 13.2 Ω〜48.9 Ω        

 赤色で示した部分が通電不良の個所である。 測定するたびに値が変化して接触不良の状態は明らかである。 緑色の部分は正常に通電している個所で、橙色の個所は通電が切れているが、これが正常な状態です。

 また、TOMIXのポイントは「完全選択式」のタイプであるため分岐した側にしか通電しないが、KATOの場合にはただの「選択式」の状態であるため、外側のレールは常に通電状態である。 即ちイとロの間、および、ニとヘの間はレールは常に導通しており、切れていないのである。

 以前のTOMIXのポイントは、KATOと同様に普通の「選択式」のタイプでしたが、最近の製品はこの「完全選択式」のタイプに変更されています。 今回のポイントもその変更後の製品で、識別のためにまる新の落書きが裏側にしてありました。 当方には旧製品と混在していますが、孫達は、ロとヘの部分の線路の切断部を見て判断しているようです。 賢いね!

 やはり通電不良であったので、分解掃除することにする。

  .

 

■ TOMIX製のポイントの分解掃除

 TOMIX製のポイントについては、何回も分解掃除を実施していますので、様子は分かっています。 分解にあたって、細かい部品を失くさないよう菓子箱の中で作業します。 道具はドライバとピンセット、およびクリーニング用品などを用意しました。

 まず、ソレノイド部分を外して、小ネジをゆるめ回路基板を取り外します。 この時、スライド部品やバネなどが落下する恐れがあるのでゆっくりと基板を外しましょう。 そして、小物部品が組込まれている状態を覚えておきましょう。 後から元に正規の位置と状態に組付けなければならないからです。 特に中央部にはめ込まれている2個のコイルスプリンには注意しましょう。

 接触不良となる原因は、基板の回路部分と、それに接触する部品の間が汚れているためなので、綿棒にクリーニング液を付けて、該当する回路部分と相手側を綺麗に掃除します。 レイアウトに組込まれていたポイントは、バラストやターフ、あるいはボンドなどが滲入してきて、汚れていたりこびり付いたりしていますが、この部品は新品同様に綺麗な状態でありました。

 慎重に再組付けを行って、再度抵抗値を測定したが、不思議な事に通電性は改善されていませんでした。

 接触不良が改善されていないと判断し、もう一度分解することにしました。 そして、基板とレールを連通させるリン青銅の端部が怪しいと考え、右上の写真で示した部分の端部をペーパーで軽く磨きました。 リン青銅の表面が酸化し、その酸化膜が悪さをしていると推定したのです。

 再組付け後、抵抗値を測定してみると、両方とも見事 0.5 Ω となり、通電不良は改善出来たと判断した。 修理完了です。

  .

 

■KATO製のポイントの分解掃除

 次にKATO製のポイントの分解掃除を実施した。 KATO製は初めて分解するので慎重に分解することにします。 裏ぶたを止めているネジの頭が特殊な形状であったため、急遽ホームセンターに走り、特殊ドライバーを調達してきました。 ネジはタッピーネジでしたので、何度も組付け取り外しを実施するとバカになる恐れがあるので慎重に取り扱う事にします。 裏ぶたを分解した状態を下に示します。

 簡単な構成のTOMIX製に比べてかなり複雑に出来ています。 じっくりと観察して構造を理解しましょう。 ソレノイド部分の配線は細い電線なので触れない方が得策のようです。 稼動する部品は、ソレノイドに依って左右に動く可動片と、それに連結している十字型の通電子、および、線路を切り替える転てつ部品と細いバネ線だけですので、導通に関係するのは十字型の通電子だけと判断します、

 そこで、本当に十字型の通電子の導通不良なのかどうか判断するために、もう一度組付けて、下右の写真に示すように「非選択」の状態にして通電テストを実施してみました。 この「非選択」の状態は、DCCユーザーのために(?)、ポイントの「直進」と「分岐」の状態に関係なく、常に通電状態にするもので、十字型の通電子の接触部分を通さずに通電させるものです。 その結果は、イハ間の分岐状態で 0.3 Ω、ニホ間の直進状態で 0.5 Ωと全然問題のない数値でした。 これによって、通電不良は、十字型の通電子の接触部分と判断することが出来ました。

  この十字型の通電子は心棒が裏側で固定されているようで、基板を分解しなければ分解出来ませんでした。 そこまで分解するのは得策でないと判断し、接触部分にクリーニング液を付け、通電子を何度も回転させて汚れを擦り取ることにしました。 左右に動く可動片を取り外し、十字型の通電子が自由に回転できるようにして作業を実施しましたが、あまり実施すると大切な基板のパターンが擦り減ってしまいますので適当なところで完了させ、「非選択」の状態を「選択」側に戻すと共に、再組付けを実施して後、通電テストを実施しました。

 その結果は、イハ間の分岐状態で 0.6 Ω、ニホ間の直進状態で 0.7 Ωと改善されていたので、分解掃除は成功と判断しました。

 その後、モジュールに使用していた他のポイントの通電テストを実施した結果、TOMIX製の他のポイントは全て合格でしたが、KATO製のポイントは2個とも同じ様な状態で不合格でした。 購入からかなりの年月がたっているので仕方が無いですね。 この二つのポイントも同様なメンテナンスを実施した事は言うまでも有りません。

 

■ モジュールへの再組付け

 ポイントとジョイントのメンテナンスを実施後に、モジュールへ再組付けを実施しました。 この制御モジュールは、この様なメンテナンスを考慮して、線路は取り外し可能にしています。 下の写真を参照。

 線路は、架線柱のための固定台を使い、そのスナップ作用で固定しています。 固定台とモジュールの土台は接着剤や紙粘土を使って固定しています。 そして、バラストやターフを播く時に使用する液体のボンドの浸み込みを防止するため、線路を取り外した状態にして工作するようにしています。 この細工のため、線路は容易に取り外す事が出来るのです。 そして必要なメンテナンスが実施出来るようにしています。

 架線柱のための固定台は、TOMIXとKATOで方式が異なっていますが、TOMIXの場合には長手方向に線路をスライドさせる事が出来ますので、これによって長手方向の組付け位置の調整も容易です。

 いよいよお座敷レイアウト用のモジュールの製作も一段落したので、未完成ながらテスト走行を実施してみたいと考えています。