HOME >> 鉄道模型実験室 > XBeeを搭載したドクターカー その3 レイアウトでの測定
■ はじめに
いよいよ無線通信モジュール XBee を搭載したドクターカーを使って、実際のレイアウトを走行させてみた。 その結果を報告する。
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■ 測定装置の設定
まず初めに、関係する機器類を2階のレイアウト室に設置する作業から始めた。 パソコンはいつも実験測定に使用している古い機種を移動させ、椅子の上に置いた。 不安定であるがここしか場所は無いのである。 右の写真参照。 キーボードは床下に、マウスは他の椅子の上に菓子箱を置いてその上で使用する。 もう応急処置そのものである。
無線基地局となるArduino シールド類は、レイアウト前の框にテープで貼り付けあり、センサ類の配線は、その下のATS配電盤に接続させた。 その様子を下の写真に示す。
電源電圧を取り出す部分は、先回工作した小型電圧モニタのターミナル部分に接続し、さらに、ATS制御側と走行電源側のGNDを共通にするために、黄色のクリップ線を使って接続している。 「自動列車停止装置 システムの検討」にて説明している回路図をご覧いただければ分かるように、ATS制御側と走行電源側のGNDは切り離しているのである。 走行側の電源はプラスマイナスが逆転する場合があるので、どちらがマイナス側かが特定出来ないからである。 しかし、今回の測定回路では電源電圧の測定回路とセンサ信号回路を同時に取り込むので、GNDの共通化が必要と判断したからである。
レイアウトに設置された通過センサーからの信号を取り出すには、まずATS制御回路のジャンパーピンの位置を左にずらしてリレー制御を中止させ、センサーからの信号回路を開放する。 「自動列車停止装置 制御盤を作る」参照。 この開放されてピンにセンサー信号線を差し込んで、信号を頂くようにしている。 センサの番号はあらかじめ記入されていたので、迷うことなく作業出来た。
■ 実際の測定
まず最初に、外周路を走らせてみた。 EXCELの測定回数は500回に設定しているので、受信ポートのオーバーフローは心配ないはずである。 ただし、一周させるためには、2回に分けて測定する必要があった。 少し面倒であるが、無理をして一度に表示させると、時間軸が圧縮されてデータが読みにくくなる心配もあるので、この方法で実施することにした。
測定結果を下に示す。
センサー信号も確実に記録されており、データ収集は成功である。 このセンサ信号をもとに、走行区間と給電位置を探ってグラフ上に表示させてみた。 給電位置を赤い三角マークで表示している。
電圧降下は大きいし、データもピクピクしているが、給電位置との関係もフムフムと思いながら観察していた。 電圧が落ち込んでいる場所は、レイアウトブロックの接続部にあるスライドレールが怪しと睨んでいるが、それにしてもデータがピクピクしているのが気になって、レールのクリーニングを実施してみることにした。
■ レールのクリーニングの実施
レイアウトでのクリーニングは何時もTOMIX のクリーンングカーを走らせて実施している。 今回も充分に走らせ、動力車の車輪のクリーニングを実施した後での測定を下に示す。
効果はテキメンですね! レールのクリーニング効果がこれほど影響するとは驚きですね。 今回もセンサ信号をもとに、走行区間と給電位置を探ってグラフ上に表示させてみた。
閉塞区間のつなぎの部分では電圧の段差は当然と思われる。 またポイント位置は青い三角マークで表示したが、駅構内でのポイント部分ではやはり電圧降下発生しているようである。 また、トンネル部分からでも無事無線通信は届いていますね! 上記で疑ったスライドレール部分での電圧乱れは認められないと判断した。
しかし、給電位置から離れるにしたがって、電圧がこんなにも低下するのかと、今回も疑ってしまった。 走行中の車両はこんなにも速度変化は無いのである。
■ パワーユニットを交換してみる
パワーユニットのPWM制御を避けるために、容易に交換できるTOMIX の N-401ユニットに交換して再度測定を行った。 交換したユニットの写真を下に示す。
そして測定した結果を下に示す。 これまた驚きですね! 実験を始めてすぐに、ダイヤルが動いてしまったので供給電圧がアップしていますが、これは実験ミスです。
センサ信号をもとに走行区間と給電位置を探ってグラフ上に表示させてみました。
やっぱりレールによる電圧降下は非常に少ない事が分かる。 電圧降下の様子は同じような傾向に見えるが、PWM制御の場合の方が顕著に表れるので、レール検査のためにはこの方が良いかもしれない。 でも何故、PWM制御ではこの様な電圧降下現象が顕著に表れるのか疑問のままである。
■ まとめ
XBee方式の無線機を搭載したドクターカーにより、レイアウトの保守状態を観察チェックすることは可能である事が分かった。 そして、不具合がどこにあるかもチェックすることが出来ると思っている。 しかし、設置作業がやや面倒なので、もっと簡単に出来る方法を工夫しなければならいないようだ。
また、測定時のパワーユニットはPWM方式なのか、そうでない機器を使う方良いのか判断に迷うが、不具合状態が顕著に表れるPWM方式でも良さそうである。 ただしその電圧降下量については、そのまま信用してはいけないと考えて置くことにしよう。
今なお、未解決の疑問点として、
を挙げておき、今後の研究課題としておこう。
2016/12/24 作成