HOME >> 鉄道模型実験室 > パワーユニットを知ろう TOMIX製パワーユニットN-1001-CL の分解

鉄道模型実験室 No.133  パワーユニットを知ろう TOMIX製パワーユニットN-1001-CL の分解

 

  .

■ はじめに

 パワーユニットを知ろう の第6弾として、TOMIX製パワーユニットN-1001-CL を分解し、フリーホイールダイオードがどのように実装されてるのか確認してみるkとにした。

 

■ パワーユニットの分解

 分解対象にしたパワーユニットは右の写真に示す、TOMIX製パワーユニット N-1001-CL である。

早速、禁断の分解作業を実施した。 底にある4個のゴム足を剥がすとネジ穴が見えるの、その4本のネジを緩めると、ケースが上下に分解出来、内蔵された基板を観察することが出来た。 ただし、ダイヤル部分はつまみを強く引き抜き、さらにボリュームの軸を止めている6角ナットををラジオペンチで緩める作業が必要であった。

 そして、分解された状態を下に示す。 ネジ類を緩めただけなので故障することはないだろうと考えるが、今後も使用するため注意して取り扱うことにしている。

 まず、分解した状態で、基盤の表と裏を下に示す。 ダイヤルは、2重になっており常点灯機能のためのダイヤル制限用ストッパリングが細工されていた。

 基板の表と裏の拡大写真を下に示す。

 基板の中央には大きなスライドスイッチが鎮座していた。 DIRECTION スイッチである。 大きな8本の足によってハンダ付けされていた。 そして、制御用のパワトラと大きなダイオードを探したが、それぞれ2個しか見つからなかった。

 モータの正逆回転制御のためには、Hブリッジを組む例がネット等で紹介されていたため、てっきりパワトラも4個必要であろうと考えていたからである。 そしてそれに応じてフリーホイールダイオードも4個必要となるはずとの先入観があったのである。 例えば DCモータドライバIC の説明書で紹介されている回路図のように。

 Hブリッジを組む代わりに中立位置のある3ポジションのスライドスイッチを使い、パワトラとダイオードは1個で済ましていたのである。 するともう一つのパワトラとダイオードは何に使っているのか知りたくなり、回路図を読み解くことにした。

 基板の裏側は部品が少ないので回路構成は容易に読み解けるが、表側は部品が邪魔してその足がどことハンダ付けされているのか分からない箇所が何か所もあったし、外国製の部品のようであったのでそのカタログが分からず、推測しながらの調査であったが何とか回路図に落とすことが出来た。 それを下に示す。 素人が調査したので不正確かも知れませんが、悪しからず。

 パワトラは J329 と記されていたので 2SJ 329 のPowe Mos FET と解釈し、PチャンネルのMos FET パワトラと判断した。 その使い方は全然知識がなかったが、マルツのサイトの解説に従って、Pチャネルのソース駆動回路に倣って回路図に落とした。 この回路では入力信号と出力信号は反転するのだ。

 DC入力部近くには、0.33Ωの大きな抵抗が挿入されていたので、シャント抵抗と解釈し、それに続く回路によって、最初のパワトラが駆動されていた。 その出力はTCS出力やポイント駆動のためのサイドコネクタに接続されていたため、過大電流時の遮断回路と判断する。 そこからの信号が3本脚のLEDにもつながっていたので、異常時の赤ランプ点灯機能と解釈した。 正常時は緑色が点灯する回路にもなっていた。 この部分の回路構成は理解できないが、調査目的とは異なるので、これ以上の調査はパスすることにした。

 ポイント駆動回路は 4700μF のどでかいコンデンサを使って回路を構成していた。 N-401 の場合は 2200μF であったので倍増している。 そして回路にはPTC と言う見られないチップ部品が挿入されていた。 ネットが探ると Surface Mount PTC Devices とあり、リセッタブルヒューズとのことであった。 020の数字はその容量を示しているようであり、要するにポイント切り替えに発生する異常電流を遮断するための部品と解釈する。 また、その前に挿入されていた D103 のダイードは大きなものの一つであった。

 第2のパワトラは、最初のパワトラの出力からDCフィーダに続く回路を構成していたので、これがモータ制御用のパワトラと解釈する。 そしてそのコントロールは、タイマーIC の555が制御していた。  7番ピンの接続が浮いているようで、何度もチェックしたがどこにも接続されていなかった。 また、不思議なことに2このダイオードが挿入されていたのである。 PWM制御回路の色々な説明では、発振回路とデューティー制御は別々の回路となっていたが、ここではタイマーIC ひとつで実施しているようであるので、説明書類を漁ったが類似の例が見当たらなかった。

 この様な時は実験してみるのが一番であると、ブレッドボードを持ち出して実験してみるこtにした。

■ タイマー IC によるPWM制御の実際

 まず、部品を揃えてブレッドボードに回路を組み立てた。 可変抵抗は、先回の実験で使用していたのでそれをそっくり使い、C103 とC105 の 472J 即ち0.0047μF のコンデンサの手持ちが無かったので、0.0033μF を使用した。

 電源電圧は DC5.0 ボルトとして出力波形を観察した。 

 波形は綺麗な矩形波ではないが、可変抵抗の値を変えるとその幅は変化することが確認できた。 この信号をパワトラに入力して ON/OFF させればPWM 制御が出来ると思われる。 第7番ピンの接続が浮いていたり、ダイオードの2個使いでも制御できるのである。

 その後、ネットでブラブラと検索していたら、下のような回路を見つけたので、これもブレッドボードにて構成して波形を観察した。

 この回路は、秋月さんが販売している 「PWM(スイッチング方式)DCモーター速度可変キット」 のキット組立説明書の一部を無断コピーしたものであるが、ダイオードの使い方が同じようであったので、この回路も実験してみた。 その波形を下に示す。

 見事な矩形波を発生しており、可変抵抗によってデューティー制御もバッチリと可能であった。 さすが秋月さんが販売するキットであり、その品質レベルは高いと感心しました。 なお、この様な作動をする理屈は分かりませんが、タイマーIC 555 は奥が深いのですね。

 

■ まとめ

  フリーホイールダイオードの実際を目で見ることが出来たが、少し大きめのダイオードがひとつ鎮座していました。 そして、タイマーIC の新しい使い方を知ることが出来たので満足することとしましょう。

 

ページトップへ戻る  .


 2017/1/21 作成