HOME >> 鉄道模型実験室 > PWM制御のコントローラとコンデンサの関係
先回の報告「卓上レイアウトで楽しもう 自動運転 その13-2」(2020/1/9)では、使用していたモータドライバユニットと、PWM制御式のパワーユニットの相性は合わないので使用出来ません、とオシロでの確認なしに結論していましたが、実験室としてはそのままにしておくことが出来ませんでした。 そこで、オシロを持ち出して波形観察より、実際の様子を見ることにしました。
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■ パワーユニットの出力波形を観察する
まず、出力波形を観察するための実験の様子を下に示す。 制御用のボックスを取外し、給電系の配線とオシロを接続しました。 給電は、外周路路を使い、駅構内にも給電するように二股に分けています。 そして、その接続部には、問題のモータドライバユニットと接続した状態と、取り外した状態を観察しました。
問題のモータドライバユニット、TB6612使用Dual DCモータドライバキット(K-11219)の新しいユニットを持ち出して実験しました。
オシロの観察は、給電された線路からフィーダーで電圧を取り出し、オシロの1チャネルに接続しました。
モータドライバユニットとの接続は、プラス側の端子を外したり(下左の写真)、接続したり(下右の写真)で実施しました。
■ 観察結果
ダイヤル目盛を変えて、観察した結果を下に示します。 尚、線路上には車両を走らせていませんので無負荷の状態です。
ダイヤル目盛 1/4 接続せず | 接続 |
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デューティ比 = 13% 平均電圧 = 1.0volt |
平均電圧=11.2volt にアップ |
モータドライバユニットに接続しただけで、PWM制御は形無しにとなっていることが分かります。
ダイヤル目盛 2/4 接続せず | 接続 |
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デューティ比 = 49% 平均電圧 = 5.4volt |
平均電圧=11.4volt にアップ |
PWM制御のパルス幅を広げると、交流成分がほとんどなくなってしまっています。
ダイヤル目盛 3/4 接続せず | 接続 |
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デューティ比 = 82% 平均電圧 = 9.5volt |
平均電圧=11.5volt にアップ |
こうなると、もう全くの直流となってしまって、最大電圧となっています。
■ コンデンサの容量を変えるとどうなるだろうか?
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コンデンサの影響は分りましたが、その容量によって影響が違ってくるはずです。
TB6612使用Dual DCモータドライバキット(K-11219)では、10μFを使用していましたので、それよりも小さい容量の場合を観察してみました。
なお、線路上には車両を走らせていませんが、右の写真のように、踏板型方向指示LEDを2ヶ所使っていますので、このために多少の電力を消費しています。
また、0.1μFと1.0μFの間の容量のコンデンサを持っていませんでしたので、0.1μFコンデンサを4本重ねて0.4μFとしました。
ダイヤル目盛 1/4 0.1μFのコンデンサ | 1.0μFのコンデンサ | 0.1μF×4本 |
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すでに、三角波になってしまっている。 |
平均電圧が 11voltにもなっている。 | 綺麗な三角波になってしまっている。 |
パスコンとして多用されている0.1μF程度でも、もうすでにパルス波形が崩れてしまっています。 コンデンサの影響はすごいですね。
■ 色々な状態での波形
そこで、色々な状態での波形を観察してみましょう。 ダイヤルを約1/3に設定して鉄コレの12m級電車を走らせました。 下左の写真。 そしてテープ式LEDの室内灯を装着したS系客車も線路上に置いてみました。 下右の写真。 テープ式LEDはチップLEDが3個直列に配置されているため、点灯させるには12voltが必要であり、PWM式のパワーユニットが必須なのですが、綺麗に点灯しているのが確認できます。
鉄コレ電車は、モータの逆起電力によってマイナス側にヒゲ電圧が現れ、その影響でパルス波がくっきりとした矩形波になっています。 S系客車の場合は、消費電流が大きくないので、パルス波形はほとんど変化しておりません。 なお、室内灯にはコンデンサを取り付けていません。
ダイヤルを目盛約1/3に設定 | 鉄コレ車両を走らせる | S系客車(テープ式室内灯付) |
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コンデンサなし |
コンデンサなし | コンデンサなし |
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■コアレスモータの場合
次に、この客車をコアレスモータを装着しているKATOの C12 で牽引させてみました。 右の写真。
下に示すこの時の波形を見ると、鉄コレの場合のDCモータとは違う波形が観察されます。 この件については以前の「パワーユニットを知ろう PWM制御とコアレスモータ 波形観察」(2017/1/3)で報告していますが、ここでもDCモータとコアレスモータとの違いがはっきりと観察されます。
KATOの C12 で牽引 | 同左 拡大 | ダイヤルを下げる |
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コンデンサなし |
コンデンサなし | コンデンサなし |
次の、この時のコンデンサの影響を観察してみましょう。
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まず、モータドライバユニットの10μFのチップコンデンサを強引に取り外して、改めて接続した状態にしてみました。 そして、C12を走行させた状態を下に示します。 何ら問題無いですね。 やはり、このコンデンサが影響している事が分かりました。
コアレスモータのC12 |
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コンデンサなし |
次に、モータドライバユニットの代わりに、コンデンサを接続してその影響を見る事にします。 車両はC12を走らせています。 コンデンサの接続方法は、右上の写真に示します。
コアレスモータと0.1μFのコンデンサ | コアレスモータと1μFのコンデンサ | コアレスモータと10μFのコンデンサ |
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コアレスモータ特有のパターンが消えた。 | もう、三角波になってしまっている。 平均電圧 = 9.6volt |
平均電圧が 10.2voltになってしまった。 |
やはり、0.1μFと言えども影響している事が分かります。
■ DCモータの場合
次に、一般的なDCモータの場合を観察しましょう。 DCモータ動力車の場合は暴走して脱線してしまいますので、モータだけを取り出して、線路と接続させた状態で観察することにします。 モータは以前実験に使用したKATOのモータを使用しました。
この時の波形を下に示します。
DCモータと 0.1μF | 0.1μF×4本 | 1μF |
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波形が崩れかけてきた。 |
平均電圧が 7.7voltにアップする。 | もうクシャクシャですね。 |
波形の崩れ方はコアレスモータと異なりますが、やはり駄目ですね。
■ まとめ
今回の観察によって、0.1μFと言えども影響が出ることが分かりました。
コンデンサの威力を、まざまざと思い知らされました。
これは、PWMの周波数が高いので、小さな容量でも極めて効果的にパルス波形を平滑化しているものと推定しています。 電流値も測定出来れば良かったのですが、今回は手抜きして、電流は測定しませんでした。
発車や停車時に使用している加速と減速時のPWM制御の効果に付いても検証する必要があるのですが、周波数が低い事と、正常に作動している様子なので問題ないことにします。
なお、モータドライバユニットについては、コンデンサを取り外すと正常に作動することが分かりましたので、今後はこちらのユニットを使用していく事にします。 その狙いはテープ式LEDの室内灯を組込んだ客車をコアレスモータを搭載したC12で走らせ、のんびりとした走行を楽しみたいたいからです。 そのC12の走行状態を見てみましょう。
やはり、ミニレイアウトにはぴったりですね。
2020/1/12 作成