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鉄道模型実験室 No.161  室内灯のチラツキを低減したい -- ダイオードの種類

 車両整備の一環として、室内灯としてテープ式LEDの工作を実施しましたが、走行時のチラツキがひどいため手が止まってしまいました。 でも、このテーマは避けて通れないので、少し首を突っ込んでみたいと思います。 今回はダイードに関する情報を把握しておきましょう。

 

■ ショットキーバリアダイオードを使ってみる

 噂のショットキーバリアダイオードの単品の手持ちがあったので、その効能を試してみることにした。  この部品は、順電圧が小さいと言うことで昨年入手していた物であるが、使用されずに保管されていた部品である。

 テストは先回の「問題点はどこか?」(2020/7/2)と同様な方法でテストしてみた。 そして下の図のような回路にしてPWM制御波形を観察した。 実験では供給電源の極性を変更する必要がないので、何もブリッジ構成にする必要は無いと判断している。

 観察した結果を順不同でリストアップしよう。

  1. ダイオード上流の波形は、コンデンサがあっても変形していない。
  2. コンデンサが無くても、パルスOFF時のロハの電圧は、4ボルト程度もあり、ゼロまで落ちていない。
  3. コンデンサがあると、パルスOFF時のロの電圧は8.5ボルト、ハの電圧は5.5ボルト程度もあり、蓄電効果が見られる。
  4. パルスOFF時に、ロとハの間に電圧差がある事は、750Ωの間を、4mAの電流が流れている事になる。 この電流はテープLEDを流れているkとになるので、LEDは点灯している事になる。

 次に、コンデンサの位置を変えて実験してみた。

 この観察によると、

  1. ロとハの間の電圧について、パルスON時には、12.0ボルトと8.5ボルトの電圧差があるが、パルスOFF時には、両方共5.5ボルトで差が無くなっている。
  2. これはパルスOFF時には抵抗部分を電流が流れない事を示している。 コンデンサの電流はテープLEDの方向にしか流れないのだ。

が分かる。

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 ダイオード上流の電圧は、コンデンサが有ったとしても微動だにしていない事が分かる。 そして、μ秒での範囲では、電流はダイオードを逆流していないことが確認できた。 

 すなわち、ショットキーバリアダイオードを使うと、チラツキ防止のコンデンサは上流側のPWM制御に影響を与えないと言うことが出来るのだ。

 

■ 色々な種類のダイード

 このような効果は、ショットキーバリアダイオードだけなのだろうか? そこで手持ちのダイオードを探してみた。

 報告書作成時点では、すでにショットキーバリアダイオード仕様のブリッジダイオードも入手済みであるので、これを含めて上左の写真に示す。 上右の写真は、1、4,5の部品の状態を示す。

番号 品名 種類 品番 仕様
汎用整流用ダイード シリコン整流器 IN4007 1000V 1A VF=1.1V
ブリッジダイード ブリッジダイード DB107 1A 1000V DIP-4 Poilee
ブリッジダイードDIP型 ブリッジダイード S1YB20 200V 0.4A VF=1.05V
整流用ショットキーバリアダイオード ショットキーバリアダイオード(SBD) 1S4 40V 1A 順電圧:0.5V 逆電圧:40V
汎用小信号高速スイッチング・ダイオード スイッチング・ダイオード 1N4148 Vr=100V Io=200mA VF=1.0V Pd=500mW
ツェナーダイオード ツェナー(定電圧)ダイオード GDZJ3.3B Vz=3.3V PD=500mW
ショットキーバリアダイオードブリッジ ショットキーブリッジ SDI260 60V 2A 順電圧:0.68V 逆電圧:60V DIP4
表面実装用ショットキーバリアダイオードブリッジ ショットキーバリア TS260S 60V 2A 順電圧:0.7V 逆電圧:60V MICRO DIP

 この他にも、定電流ダイオードやチップ品も有りましたね。 

 上記の実験では、No.4の部品を使いました。 そして、、No.5の部品のスイッチング・ダイオードにも注目しています。 200mA と許容電流は小さいものの、室内灯向けには充分な使用です。 高速スイッチングと言うからには、PWM制御などの高周波に対応しているものと思われます。 カタログによると Reverse Recovery Time は、4.0ns とのことであるので、問題の逆回復時間は、ナノ秒レベルである。 ショットキーバリアダイオードと比べて順電圧 VF=1.0V が少し高めであるが、コンデンサ対応としては使用出来そうだ。

 

 次回は、上記の1、4,5の3種類のダイオードを使ってコンデンサに貯まった電流はどちらに流れるのかの実験を報告しましょう。

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 なお、対策品として入手したショットキーバリアダイオードブリッジと小型の100μFのコンデンサによる室内灯の試作品を走らせてみました。その様子は、別室のブログの「室内灯のチラツキ対策」をご覧ください。 工作内容は、これからこちらで順次報告してきます。

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 2020/7/4 作成