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鉄道模型実験室 No.178  新しい測定装置のテスト測定

 新しい測定装置の準備作業が全て完了したので、いよいよ実際の測定を実施することにしました。 初めに今までの測定データと比較しながら、どこまで改善されたのか、期待を膨らませてテスト測定を実施したのですが・・・・・・・・・・・。 装置の差異なのか、測定モデルの差異なのか判断が付かないままの結論になってしまいました。 

 

■ 測定の様子

 新しい測定装置の実施状態を下に示す。 測定台はスッキリとしており、部屋の片隅で実施できますのでのびのびと実施出来ます。 測定台には、テスト車両に専用台車を牽引させて実施します。

 給電のための電源は古い菊水製の安定化電源を使用しています。 データ収集はノートパソコンを使い、Excelでデータ処理を実施しています。 データはグラフにリアルタイムで表示されていきます。 平坦路単機走行状態での速度特性の測定では、グラフを見ながら電源の電圧を手動で変えて行きながら測定を進めます。

 牽引力特性を測定する場合は、傾斜台の昇降方向とその昇降程度をグラフを見ながら調整しますが、後は自動的にデータ収集が行われています。 測定はグラフに集中できるようになり、楽になりましたね。

 

■ テスト第1弾 EF210-114号機を測定

 このモデルの測定は、「動力測定装置がおかしい?」(2020/8/27)で測定を実施したモデルですが、今回の装置一新のきっかけになったモデルです。 そこで、最初にこのモデルを使って、新しい測定装置での改善具合を検証することにします。

 測定実施: 2020/10/4    重り車両: 126.3グラム

  新しい測定方法 以前の測定方法 考察
速度特性

全体的に少しスピードが上がっているし、データのバラツキが少なくなっている。

 

消費電流が少し小さくなっている。
牽引力特性

当然ながら、問題となった二重特性は解消されている。

牽引力がかなりアップしている・・・・?

制動領域でのデータが不安定なり。

牽引力がかなりアップしているが、傾向は一致している。

 新しい測定台は、登りと下りではそれぞれ専用ゲートで測定しているので、二重線は当然ながら解消出来、後は再現性の問題と判断している。 これはデータのバラツキとして表れてくるが、今回のテストではそのバラツキも小さくなっていると判断出来る。 ただ、不十分な暖機運転時にはそのバラツキも大きかったので、測定し直している。

 また、牽引力特性の制動領域に、二重特性が表れているが、これはモデル車両の特性では無いかと疑っているので、今後の実験のN増しが必要である。 制動領域ではウォームギヤ部の噛み合い不安定が起因するのだ。 「制動領域での動力特性」(2012/6/18)参照。

 そして最大牽引力が増えているのは何故だろうか? 測定系の較正値が間違っているのか・・・・・・? モデル車両の当たりが付いて来たので摩擦抵抗が少なくなり、伝達効率がアップしたからなのか・・・・・・・? まだ、判断出来ないが、このため、今回の測定では、傾斜台は測定最大領域近くまで達していたので、重り車両としてさらに重い車両を用意する必要が出てきた。 前回と同じ重り車両( さらに専用台車の 11.4 グラムが増えているのだ )を使用したのに!

 計算間違い? 効率アップ? 判断が付かないのでN増ししよう。

 

■ テスト第2弾 チビ凸新動力車を測定

 安定して走りを見せているKATOのチビ凸用新動力車を使って測定することにした。 以前の測定は、「たのしい街のSL列車 ※動力ユニット改良品」(2020/8/26)にて実施しているので、この時のデータと比較することにした。 ただし、今回は、品番が11-110(チビ客車用動力ユニット)ではなくて11-109(チビ凸用動力ユニット) を使用した。 測定実施: 2020/10/4 重り車両: 48.8グラム

  新しい測定方法 以前の測定方法  
速度特性 両者とも同じと判断出来る。
両者とも同じと判断出来る。
牽引力特性

データのバラツキが大きくなっている・・・・・・・?

二重特性が再発している?

特性の傾きが違っている?

スリップ領域での牽引力が増えている?

同じ電流でも牽引力が大きくなっている?

 コアレスモータを搭載しているので特性が安定していると思っていたが、モデルの個体が違うと牽引力も違ってくるのか? 当然と言えば当然か? また、牽引力データのバラツキも大きくなっているし・・・・・・・・・・・(泣き)。  これでは新旧の装置の比較テストにはなっていません!

 

■ テスト第3弾 昔のベストのチャンピオンデータの車両を使う

 今までの測定データより、データが綺麗に取れた車両を使って測定してみることにした。 今までの測定データの中から C58−127号機を選定いて走らせた。 以前の測定データは、「C58 127」(2013/6/26)に示す。 車両も測定も古いものであるが、結果は如何に!

 測定実施: 2020/10/4    重り車両: 126.3グラム

  新しい測定方法 以前の測定方法  
速度特性 特性が少し歪んでおり、値も小さくなっている。

無負荷走行時なのに、消費電流が 50mAも上昇しており、線形も崩れているのだ。

バラツキも大きい!

何かおかしいぞ!

牽引力特性

特性はガタガタである。 昔の面影もない!

速度も一律に落ちている!

消費電流はメチャクチャである!

なんで?

電流値が測定減を越えている。

モータの特性上、電圧設定、即ち速度によって消費電流は羽生とんど変化しないはずである。 それが特性の勾配が違ってきているのだ。

 この試みは見事に失敗である。 

 これは車両側の原因と推定する。 原因として考えられるのは、動力機構のコジレが油切れか! モータがいかれたか? でも測定中の走行具合は順調であった。 ただ、極低速では少しギクシャク走行をしていたが、特に問題無いと思っていた。 見た目の観察と測定データが合わないのだ。

 このままにして置けないので、この車両を一度分解し、油をさしたり調整したりしてメンテナンスを実施してみよう。 そして再測定である。

 

■ まとめ

 新旧装置の比較を実施するつもりのテスト測定であったが、見事に失敗である。 装置のチェックなのか、車両のチェックなのか が分からなくなってしまった。

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 何をやっているのでしょうかね? 自分でも自虐的になりました。 もし会社での業務でしたら大目玉ものですね。 試験装置の信頼性をもっと検証して、大切な商品のチェックを実施するのだ。 商品はお客さんに提供する製品なので、自己満足している場合ではないぞ!

 幸いにもホビーとして楽しんでいるので、新しいテーマを見つけたようです。

 

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 2020/10/7 作成