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鉄道模型実験室 No.192  モータドライバとPWM制御 TOMIX製のパワーユニットN-1001-CL

 コアレスモータをPWM制御で駆動すると、デューティ比と車速の関係が なぜ非線形になるのか と言う疑問に対し、こだわり屋の実験室長はショットキーバリヤーダイオードを持ち出して実験した。 その結果、モータドライバの種類によって状況が異なることが分かったので、今回はTOMIX製のパワーユニットN-1001-CL をさらに詳しく観察した。

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■ TOMIXのパワーユニット

 今回は、車速の測定と、ダイオードを挿入しない場合との比較を実施するため、再度観察を実施した。 その様子を下に示す。

 走行させた動力車は、先回と同様にコアレスモータ搭載車のチビ凸用動力ユニットを走らせた。 下に紹介する動画は、オシロの画面をハードコピーし、その波形画像を動画として取り込み、同じ物を5回繰り返す様に編集している。

  

ショットキーバリアダイオード無の場合                    ショットキーバリアダイオード有りの場合

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 左のダイオードの無い場合の動画と、右のダイードが有る場合について、パワーユニットのダイヤルを操作して実験をすすめたので、動画のタイミングが一致していません。 悪しからず。 また、ダイードが有る場合については先回も報告しましたが、車速を同時に測定するために新しく観察し直しています。

 ふたつのケースを比較しながら観察すると、ダイオードの有の時の青色の線、即ちモータの上流(ダイオードの下流)のCH2の電圧波形が、ダイオードが無い場合の波形と殆んど同じである事が分かる。 これは、モータの挙動が上流に影響している事を示していると考えられる。

 同時に測定した車速データと、オシロ画面から読み取ったデューティ比の値をグラフにしてみた。 右のグラフです。

 殆んど無負荷で走行しているチビ凸用動力ユニットは、その車速がデューティ比に対して非線形であることや、ダイオードが有っても無くても全く同一である事がわかる。

 この観察結果より、自分が出した結論は、

  1. 特性が非線形になるのはコアレスモータの特徴である。
  2. このパワーユニットには、東芝製モータドライバTB6612に見られような、PWM駆動の電流回生の回路は内蔵されていない

である。 でも、探求すべき目的である何故コアレスモータは非線形特性になるのかは、まだ理解できていないのです。

 

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 この原稿が仕上がって来た時、以前にこのコントローラを分解調査したことを思い出しましたので追記します。 その時調べた回路図を見ると、右の様でした。 「パワーユニットを知ろう TOMIX製パワーユニットN-1001-CL の分解」(2017/1/21)参照。

 パワトラ Q101で制御されたポートからフィーダーに供給されていますが、ここは R105 の3.3KΩの抵抗を介してGNDに落としている事が分かります。 パワトラがOFFの場合は、GNDと接続されるもそこに抵抗があるため電流回生が、東芝製モータドライバTB6612のようにスムースに出来ないものと考えます。

 もし、ここにQ101と反対動作をする新たなパワトラを配置すると、電流回生がスムースに機能し、コアレスモータでも直線的な特性になったのではと想像するのですが・・・・・・・。 素人の妄想ですな。

 

■ 追記

 今回の実験中に、またもや失敗をしでかしてました。 その時のオシロ画面を下左に示します。

     

 突然、今まで見たこともない線図が現れたのです。 ダイオード上流側のCH1の黄色の線がおかしいのです。 最初は訳も分からずウロウロしたのですが、やっと気が付きました。 使用したダイオードを間違えていたのです。 サイズが少し違うだけで形状が同じの通常のダイオードを使用してしまったのです。

 使用したダイオードは、汎用整流用ダイード 1N4007 で Vf = 1.1volt のダイードです。 一方、今回の実験で使用したのは、整流用ショットキーバリアダイオード 1S4 で、 Vf = 0.5 volt です。 その代表的なオシロ画面を上右に示します。

 画像を比較すると一目瞭然ですね。 今回、しつこつ ショットキーバリアダイオード と言っていた理由でもありますが、自分でもミスるとは老いぼれたものです。

 その違いは、「チラツキを防止したLED式室内灯 まとめ」(2020/12/7)でも報告した ダイオードの逆回復時間 の違いなのです。 一般的なダイードでは10μ秒程度との事ですが、上記の画面を見ると、20μ秒程度かかっている事が分かります。 一方右側のショットキーバリアダイオードの場合は一瞬何か動いたかなと思われるヒゲが発生している程度です。 ダイオードの逆止弁効果を発揮する時間が遅れると、下流側の影響が上流側にも表れてしまいます。 その様子が中間部に現れた凸型の変形部分と解釈しました。 

 また、ON時の電圧差を見ると、ダイオードの電圧降下量が読み取れますが、これも仕様どうりですね。 そして、LED式室内灯で苦労して得られた知見を、ここでも確認できたと認識しています。

 

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 2021/5/21 作成