HOME >> 鉄道模型レイアウト > 物置部屋のレイアウト ヤードのポイントを交換する
■ はじめに
物置部屋のレイアウトについて、工事は着々と進んでいたが、そのレイアウト工作は手が止まっている状態であった。 その理由は、先日偶然にも 「Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記」 さんのブログを見てしまったのだ。 TOMIX製ポイントの通電不良や作動不良の原因を調査しておられ、自分の経験とも合致するので、納得しながら拝見させていただいた。 今回、リニューアル中のレイアウトは殆どがTOMIX製であり、一部のポイントには作動不良や通電不良のままの物を、諦めながらも使用している状態ののである。
本当にKATO製ポイントの方がベターならKATO製に変更するなら、今からでも間に合うのだ。 そこで、自分なりの調査でも確認しようと、分解調査や特性測定を実施していたのだ。 その調査結果は、「鉄道模型調査室」のコーナーで報告した。 そして、「ポイントの通電特性を測定する その4」にて、
との判断をし、物置部屋の新しいレイアウトにおいて、ヤード部分のポイントは動作がより確実なKATO 製に変更し、もし通電不良が多発するようでしたら、ポイントを非選択にして、通電回路に手動のスイッチを挿入して対応する方向で検討してみることにした。
しかし、KATO製ポイントはポイントの種類が少ないため、限られたスペースの中で、ヤードとして構成できるのかどうかが問題であった。 実は、この問題点に対して、事前にチェック済みで、幾つかの制約の上で成立する事を調査ずめであったのだ。 今回は、実際にレイアウトに組み込む工作を実施した。
■ 線路の設置状態
まず、TOMIX 製ポイントで構成していたヤードを、KATO 製のポイントに置き換えた状態を紹介しよう。 電気配線はまだ実施していないが、線路が無理なく接続されている状態をご覧ください。
■ 線路構成の要点
ヤードを構成するにあたり、幾つかの問題があった。
◆ ダブルスリップポイントが無い
まず最初に、KATO 製のポイントには、ダブルスリップポイントが無い事であった。 分岐機能とクロス機能を併せ持ったダブルスリップの有難さを痛切に感じた。 あれこれ考えた末に、短い区間で多数の留置線に分岐させるのは無理と判断し、次のような決断をした。
それは、上り(右回り)専用と下り(左回り)専用の別々の留置線とすることである。 下に示す1番と2番の留置線が上り専用であり、4番と5番が下り専用である。 上り本線からヤードには、下り本線上のクロスを通ってヤードに出入りする必要があるが、このクロスには分岐機能がない。 このため、下り線用の分岐ポイントが必要となり、この二つの出入り口を連絡させる構成が出来ないのである。 ただし、一ヶ所だけは可能なのだ。
区間を長く取ればすんなりと構成できるのであるが、下の写真のように、すぐに曲線区間になってしまうので、この直線区間内で成立させる必要があったのだ。 TONIX やPECO の様なカーブポイントも無いし・・・・・・・・。
幸いな事に、KATO の線路間隔は 33mm で、TOMIX の 37mm よりも 4mm も狭いのである。 このため、もう一本の留置線を設ける余裕ができたのである。 そして、それを二つの専用線ゾーンの間に通し、機回し線としても使える様に、両方のゾーンに接続する構成とした。 この3番は、上りからでも下りからでも出入り出来ようにした。 これによって、ターンテーブルからも機関車を回すことが出来るのである。
また、ターンテーブルのある機関庫からの出入りのために、留置線に入らなくても良い様に引き上げ線を設けた。 面倒ではあるが、これによって機関車の付け替えが出来ると期待している。 ただ、1番線は機関車の頭やお尻が本線上にはみ出してしまうので、機関車の引き上げ余裕がないのだ。
この番線では、ワープ法で実施しよう!? 即ち、機関車を手で持ち上げで交換するのだ。
◆ 複線間隔が広くなる
本線を跨ぐために必要なクロス線を使用すると、KATO 製の場合には、複線間隔が41.4mm にもなってしまうのである。 本線は、TOMIXをそのまま使用するつもりなので、37mm まで狭くしなければならないのである。
途中で狭くする? みっともない!
そこで、右のように、クロスの一部を切り取って間隔を狭くすることにした。 計算すると、17mm も切ろ取る必要があった。
こうして複線間隔の37mm は確保出来たものの、今度は、 長手方向の寸法が狂ってくるのである。 右の図では、フレキブルレールの細工で調整したが、ヤードの反対側はスライドレールで逃げている。
◆ ポイントでの脱線防止の配慮
ポイント構成によってはS字カーブ状態での分岐になってしまう場合があるが、こうした状態では機関車の先輪での脱線が多発した経験を持っている。 このため、分岐ポイントに進入する場合には、直進状態になっているようにポイントの配置を工夫するようにしている。 しかし、機関車引き上げ線では、成立させることが出来なかったので様子を見ることにしよう。
◆ 長手方向はスライドレールで調整
無理な構成を押し込んだために、線路の長さの調整に苦労した。 端数線路を使って調整するも、どうしても出来ない部分はスライドレールを使用した。
◆ TOMIX のジョイントレール
最近発売されたTOMIX のジョイントレール S35-J (品番:1530)は有難かった。 TOMIX レールと KATO レールとの繋ぎに多用させてもらった。 KATO 製のジョイントレールよりも繋ぎの部分がしっかりしており、線路上面高さもピタリと一致するのである。 但し、道床までの高さに差があるため、最終的には1mm のスチロール板を下にひいて高さを調整することにした。
◆ 曲線部分はごまかした
ヤードゾーンを直角に曲げている曲線部の線路構成はいかにごまかすかに苦労した。 ポイント部でのズレの吸収や、同心円の確保などの制約に対して、手持ちの R282、R315、R348 の3種類の曲線を使って構成した。
一部では対応できなかったのでスライドレールを使用せざるを得なかったが、見た目にも少しおかしいかな程度に収める事が出来た。
◆ 給電ポイントとギャップの設定
ヤード内では本線とは独立して速度調整が出来るように電源供給を別にした。 このため、ヤードの出入り口にギャップを設けて絶縁し、ヤード専用の給電ポイントを設けた。
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ポイントの番号付けと給電ポイントの位置を左のイラストに示す。 すべてのポイントを定位状態にしておくと、ヤード内の動力車は停車状態を保つことが出来るのだ。橙色の線がその時の通電状態を示しているが、ターンテーブルとの間は別電源となるのでギャップを設けていたものの、5番の留置線が通電状態になることに気が付き、慌ててギャップを追加した。
なお、本線上のポイント A、B、H、I は、ヤード出入り口にギャップがあるので、ポイントの通電特性の良好な非選択状態にしている。
ここでも先の通電特性の調査結果を生かしているのだ。
■ 電気配線工事
ポイントの位置が決定したのでポイント駆動や給電のための配線を実施した。
本線への給電は、給電ポイントは移動させたものの、今までの配線をそのまま使用している。 上右の写真。
ポイント用や給電用の配線は、標準品では長さの足りないものが多くあった。 この場合、延長コードを買って使用するよりも、線を切断して別の電線を追加した延長工作を実施している。 勿論ハンダ付けし、熱収縮チューブで絶縁保護を確実に実施している。 これによって裏側の配線もスッキリさせることが出来ている。
なお、ボードの裏側に散見する白い断片は、レール固定用の釘の先が飛び出ているので、手などへの傷防止のために、5mm のボード断片を貼り付けているのである。
■ 完成状態
パワーユニットやポイントスイッチを設置し、ターンテーブルなども置いた状態を下に示す。
また、EF65 を使ってブルートレインの4編成をヤードに入線させてみた。 そして、ヤードから本線への出入り状態など、走行テストを実施した。
まだ脱線が散発し、機関車それ自体のメンテンナスや、カプラーの調整も必要であったが、おおむね走行状態は良好であった。 このため、KATO 製ポイントへの交換作業は一応完了したことにする。
なお、使用したポイントの通電特性は使用前に再測定しているので、1年後か2年後に取り出して通電特性を測定し、経年変化のデータとするのも面白そうである。